メジナ釣りのエサ取り対策6選!
初夏の高水温期はエサ取りとうまく付き合う!?

有効なエサ取り対策はコレだ!

07_ メジナ釣果3

ところで、気になる「エサ取りについては何らかの対策が必要となります。しかしながら、私たちが普段呼んでいる「エサ取り」といっても実に多種多様で、その日その時その釣り場に行ってみないことには何が有効な手段なのか分からないことが多々あります。
そして古今東西、これが絶対というエサ取り対策は未だ「ない」というのが実情です…。

とはいえ、「エサ取りだ!」とアレルギーを起こさず冷静に観察することにより、また、ここでお話しすることを予備知識として参考にしていただくことで、これまでとは一線を画する対策につながればと思います。

【対策その1】マキエを多めに準備する

魚類生体のごく基本的なことになりますが、適水温の範囲内において魚類は水温が高いほど多くのエサを食べるようになります。マキエをケチってしまうと本命のいるタナあるいはエリアに、エサの付いたハリが届く前にエサ取りにやられてしまう確率が高くなってしまいます。
エサ取りを足止めするためにも、マキエは多めに準備しておきましょう。

08_ マキエ

【対策その2】沖から来るエサ取り

前述した通り、エサ取りと一言で言ってもいろいろな種類がいます。たとえば、(とくに朝夕の)小サバ小アジタカベなど表層を回遊しているエサ取りは、主に沖から集まってきます。
そうしたエサ取りをかわすには、仕掛を投入する前に沖側にマキエを投入し、本命用のマキエは手前側に投入します。そして、エサ取りの集まる場所から離れた位置に仕掛を静かに投入します。

09_ 沖から来るエサ取りの対策
沖から来るエサ取りの対策…回遊性のエサ取りは沖側から移動してくることが多いので、マキエを沖側に投入し足止めする

【対策その3】磯際にいるエサ取り対策

チョウチョウウオスズメダイカワハギなどは比較的磯際に多く見られるエサ取りです。これらが多いときは最初に磯際にマキエを投入し、少し間を置いて本命用のマキエと仕掛を沖側に投入します。そのときサシエがすぐに取られてしまうようであれば、本命用のマキエを少し多めに投入し、表層近くのエサ取りの動きが鈍くなったタイミングで仕掛を投入します。
仕掛はマキエが効いているポジションよりも2~3m沖側に投入し、投入後は道糸を張って位置修正を掛けます。

10_ 磯際のエサ取り対策
磯際のエサ取り対策…磯際にエサ取りが多い場合は足下にマキエを多めに投入し、仕掛は沖側から入れるようにする

【対策その4】全層にエサ取りがいるとき

これはとても厄介です。フグは表層にも低層にもいます。たとえばベラ類のような海底付近に多くいるエサ取りであれば、釣っているタナを少し浅くすることによって交わすことができます。しかしフグはなかなかそうもいきません。
その場合辛抱強くマキエを投入していると、やがて本命を含む別の種類の魚が集まってくることがあります。そうなればフグはいつの間にか姿を消してくれます。フグが多いときは根負けしないことが重要です。

11_ フグ

【対策その5】釣りバリに工夫を…

たとえば表層にいる小サバなどはキラキラと光るものを好みますから、釣りバリは金メッキのものではなく黒いものを使えば、かなりエサ取りを避けることができます。
また一方、小型のフグやハギ類のような口の小さいエサ取りが多い場合は、ハリのサイズをアップしてオキアミを3~4匹ハリに刺してみましょう。これは単なる物理的な対策ですが、エサ取りは一旦噛みついて口の中にエサが残っている間は沈下していくエサを追尾することはありません。釣りバリの色やサイズを調整するのも対策として有効な手段です。

12_ フッキング

【対策その6】最新のエサ取り対策!サシエの色を黒くする!?

これはほかにはない最新の方法です。
実は魚類は色彩の判別よりも明暗の判別能力の方が高いことが学術的に判明しています。この魚の視覚能力を利用した対策があるのです。

13_ 人と魚の視細胞感度の違い
人の色彩を判別する感度を1とした場合、明暗を判別する感度は20。対して、魚類の場合は色彩の感度を1とした場合、明暗を判別する感度は100といわれています。人と魚の色彩の感度は同じではありませんが、魚は物体の明暗に対して人よりも敏感であると言えるでしょう。
(視細胞には2種類あり、かんたんにいうと色彩を感じることができる視細胞を「錐体(すいたい)細胞」、明暗を感じ取ることができる視細胞を「桿体(かんたい)細胞」といいます)

表層付近にいる多くのエサ取りはマキエやサシエが投入されるや否や、視覚を頼りに群がってきます。このときマキエに混入しているオキアミは白っぽいため、エサ取りからはとてもよく見えているようです。それはサシエも同様です。
ところが、この中のサシエだけ色彩を暗くすると、マキエの中の通常の明るさを持ったオキアミはとても目立ちますが、暗い色彩に加工したサシエのオキアミは目立たなくなり、エサ取りの視覚から外れるのです。

このような原理を利用したオキアミブラックという商品を、解凍したオキアミに振りかけて黒くすることによりかんたんにその効果を体感することができます。
そのうえ、この黒い色素は本命がいるタナに沈下している間に色素が抜けるため、着色加工したオキアミがタナに届くころには元に近い色彩になり、本命の食いつきが低下することはありません。実際には黒いままでも食ってきます。さらにはマキエの使用量を減らすことにもつながります。

16_ オキアミブラックの原理
オキアミブラックの原理…表層にいるエサ取りはマキエに混入している明るい色彩のオキアミ目がけて集まってくる。一方、オキアミブラックで着色したサシエはエサ取りには目立たない。そして沈下しながら黒い色素が抜けて本命のタナに到達するころには通常に近い色彩になる

余談ですが、昨年から大型のクロダイをよく釣るようになりました。改めて考えてみると、オキアミブラックを使ったことでサシエが深いタナまでハリ残りしたまま届いたことが要因ではないかと思っています。
私自身、最初は「オキアミを黒くして食ってくるのか?」「本当にエサ取りを交わすことができるのか?」半信半疑でしたが、あまりにも劇的な効果があったので友人にも勧めたところ、やはり絶賛してもらえたことが商品化につながりました。

ちなみにオキアミブラックは常温保存なので、釣り場に行ってエサ取りが少ないようであれば、使わずに次の釣行に取っておくことができますよ。

さて終わりに、エサ取りも必死ですから対策も一筋縄でいかないこともあるでしょう。でもエサ取りがいて、それをかわす工夫をする釣りはある意味面白さが増すのではないかと思います。エサ取りを嫌がらず、ぜひ釣り場に出掛けてもらえれば嬉しい限りです。

17_ メジナとオキアミブラック

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レポーターREPORTER

長岡 寛
プロフィール:長岡 寛
1960年生まれ、東京都出身
北里大学水産学部(現・海洋生命科学部)を卒業後、大手釣りエサメーカーに入社し研究開発担当として数多くの新製品を手掛けた経歴を持つ。
定年退職後の現在は、「フィッシング彩」代表としてメジナ、クロダイ用の立ちウキ「彩ウキ」を製造・販売するほか、釣り関係の新聞・月刊誌などの執筆、大学や高校での講師としても活躍。代表著書に「釣りエサのひみつ(つり人社)」がある。
趣味はもちろん釣りだが、写真撮影、魚の組織標本作成、釣りに関連したアニメーション作成など多方面にわたる。さまざまな活動を通じて、ハードルの高い釣りのとっつきにくさやその先入観を拭い、できるだけ手軽に楽しんでもらうキッカケづくりができればと考えている。