「伝馬船」を知っていますか?
自由度が高くのんびり釣れる、その魅力を紹介

私は船釣り、陸釣りともに楽しんでいるアングラーなのですが、その双方の釣り(釣り場)には特徴があります。
陸釣りだとのんびりできる分、釣り人が多いとできる釣りがどうしても制限されたり、入りたい場所へ入れなかったりすることがあります。一方、船釣りであれば釣り座は確保されています。しかし、乗合船だとほかのお客さんへの迷惑を考慮して、指定の釣り道具をそろえる必要があるなど準備がやや面倒です。

今回、そんな船釣りと陸釣り両方のイイとこ取りしたような釣り施設「カセ(筏・伝馬船)」について、とくに最近私がよく通っている「伝馬船(てんません)」がどんなものなのか、紹介していきます。

カセ(伝馬船)釣りとは?

01_カセ(伝馬船)

動力のないボートを動力船で沖にあるポイントへ引いていってもらい、アンカリング(小船を固定)して釣りをする釣り方です。
アンカーを投入し固定するのを船長の指示で釣り人が行う場合と、船長自身がアンカー投入から固定までしてくれる場合がありますので、出船前にボートの固定方法や帰り際の行程などを確認しておきましょう。

02_カセ(伝馬船)牽引風景

伝馬船の魅力とは?

(1)船長おすすめのポイントへ案内してくれるので悩まない

日ごろ釣果の出ているよいポイントへ船長が船を持って行ってくれます。
貸しボートでの釣りのように、釣り場所に悩むこともありません。

(2)場所の移動も可能な限りしてくれます

電話や見回り時に移動するか聞いてくれる船宿があります。
船宿によって違いますが、カセの特性上、一度アンカリングすると移動できない分、様子をうかがいに動力船で船長が見回りに来てくれるのです。

出船数が多い場合は、ほかの船もありますので移動が難しいこともありますが、見回りの際に船長に相談してみましょう。

(3)自分の好きな釣りができる

エサ釣りはもちろんルアー釣りもできます。船釣りでできる釣りは大抵できます。
私は完全ふかせや天秤ズボ釣りなどをやることが多いのですが、カセにルアーロッドを持ち込んでおき、魚が跳ねているときや気分転換にルアーを投げて楽しんでいます。

03_釣れた魚を追いかけてきたのでルアーロッドに持ち替えて釣ったシイラ
釣れた魚を追いかけてきたのでルアーロッドに持ち替えて釣ったシイラ

(4)気兼ねなく釣りができる

知り合い同士か自分1人でしかカセの上にはいないので、席の交代も自由にできますし釣り座にも困りません。

(5)釣れる魚の魚種が多彩

釣行する場所にもよりますが、いろいろな釣り方を試せるのでねらえる魚は多いです。

完全フカセという釣り方で私が釣ったことがあるのが、カツオ、ヨコワ(クロマグロの若魚)、ハマチ、シイラ、イサキ、メイチダイ、ウスバハギ、カワハギ、マダイ、アジなどなど。本当に魚種が豊富です。

04_完全ふかせと天秤ズボ釣りで釣れた魚

(6)手軽なタックルで大物がねらえる

汎用の船竿や短めの磯竿などがあればいろんな魚種がねらえます。
カツオ、ハマチなどのよく引く魚やイサキ、アジ、サバなどの美味しい魚が釣れるのもカセ釣りの魅力です。

場所によってはトイレつきのカセもあったりするので、女性や子どももチャレンジしやすいと思います。

05_同船した友人が天秤ズボ釣りで釣り上げた石鯛
06_完全ふかせで釣れた シオ(カンパチ)

(7)釣行スケジュールは自由

各カセに分かれているので、釣況が悪く釣れていないときや逆にたくさん釣れて満足したときなど、早めに帰路に着きたいときは電話を入れて早めに引き上げてもらうことが可能です。船酔いしたまま船上で過ごすなんてこともありません。

マイペースで余裕をもって釣りができるので、たまには休憩を入れてカセの上でご飯を食べたりするのも、のんびりとして気持ちいいですよ。

07_カセの上からの風景

カセ釣りでオススメの釣りはコレ!

(1)完全フカセ釣り

エサのオキアミを撒きながら、ハリに刺したオキアミを一緒に流して魚を釣る方法です。
仕掛は下図のような具合で3m程度の船竿か海上釣堀用の竿などに、フロロカーボンラインを巻いたリールの道糸へ直接ハリを結ぶだけの、とてもシンプルな仕掛です。

08_完全フカセ釣り仕掛図

マキエ(オキアミ)を撒いたあとにオキアミを付けた仕掛を投入。ラインをフリーで出る状態にして潮の流れにのせて流し、マキエと仕掛が同じ層を漂うように定期的にマキエをしながら魚からのアタリを待ちます。魚が掛かれば糸が引っ張られるので、糸の出を止めてアワセをいれ巻くだけです。
シンプルな釣りですが豊富な魚種が釣れるので、何が来るか分からないというのがこの釣りの魅力です。

エサを撒く用の柄杓(ひしゃく)があると便利ですよ。

09_柄杓

(2)天秤カゴ釣り

(1)の完全フカセ釣りと比べると少し複雑な仕掛ですが、潮の流れが上層と下層で違う場合などにとても有効な釣りです。

要領は完全フカセ釣りと同じで、カゴから出たオキアミとハリに刺したオキアミを一緒に漂わせて魚を釣る方法です。比較的底を中心にねらえるのでイサキやメイチダイなど釣りたいときに大活躍してくれます。

10_カゴ天秤仕掛図

(3)ルアー釣り(メタルジグやプラグ)

カセで釣りをしていると、目の前でサバや青物、シイラなどが水面でボイルすることもあるので、投げられるルアーロッドを1本持っていくと思わぬ大物が掛かるかもしれません。

11_ルアー仕掛図

仕掛図にはアバウトな仕掛を書いています(笑)。とくに決まっているわけではないので参考程度に…。すでにご自身が持っている道具で気軽にチャレンジしてみてください。
ちなみに、私のルアーロッドも陸釣りで使用する長めのものです。ややカセでは扱いづらいですが、そのまま使用しても十分に釣りを楽しめていますよ。

 

私なりに「伝馬船」の魅力とオススメの仕掛(釣り方)をお伝えしましたが、いかがだったでしょうか? まわりを気にすることなく自由度の高いカセ釣り。カセの上では自由に釣りを楽しめるのでオススメです。一度、手持ちの道具で気軽にチャレンジしてみてはいかがでしょうか。
ついでに、私がお世話になっているおススメの船宿さんは下記のとおりです。よければご参考くださいね。

木下丸」 和歌山県
庄門丸」 和歌山県
さかむらイカダ」 和歌山県

 

レポーターREPORTER

森 康介
プロフィール:森 康介
大阪府在住
関西の海釣りを中心にルアー、エサ問わず釣りを楽しむ、生粋の釣り好き。釣り以外にもキャンプ、スノーボードも楽しむアウトドア派。
インスタグラム:
@kosuke1089 (URL: https://www.instagram.com/kosuke1089/)