手持ちタックルが即戦力!目指せ!マルチアングラー No.6 アタリ明解!引き味爽快!
ライトタックルでブッ込み釣りのキビレはいかが !?

竿を手に投げて巻いてはランガン、アクティブに釣るのもよいけれど、時には複数の竿を並べ、じっくりアタリを待つ釣りも、休日をのんびり過ごすには最適だ。日差しが心地よい初夏、家族連れやカップルでピクニックを兼ねての釣行にぴったりなのがキビレねらいのブッ込み釣り。竿尻が跳ね上がるほどアタリは明確かつ爽快、掛かったキビレは右へ左へ疾走し引き味も抜群。海面に浮かび上がったシルバーの魚体に興奮マックス! お手持ちのスピニングライトタックルなら何でも使えちゃうキビレのブッ込み釣りをぜひ!

フィールドとポイント
河口部の砂底カケアガリ。
たとえば武庫川河口のカセで確実&快適に!

キビレとは標準和名キチヌのこと。同じタイ科のクロダイ(チヌ)に似ているが、腹ビレ、尻ビレ、尾ビレ下葉が黄色いのが最大の特徴だ。日本では主に千葉県以南の太平洋岸や内海に分布している。

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クロダイ同様というよりクロダイ以上に汽水を好む魚なので釣り場になるのは河口周辺。真水と海水が入り混じるエリアだ。ポイントは砂底がメインでエサのゴカイなど多毛類やエビ、カニなど甲殻類を求めて回遊している。何の変哲もない砂底のポイントでキビレと高確率に出会えるのはカケアガリと呼ばれ起伏がある底の斜面部分。または、ところどころにある根など障害物の周りもキビレのエサが多く好ポイントだ。

キビレ
河口部の汽水域に多いキビレはブッ込み釣り格好のターゲット。近年はルアーのナイトゲームでねらうアングラーも増えている

フィールドは釣りが可能な河口周辺ならどこでもといってよいが、陸からだとキビレが岸近くにまで回遊する夜間がメインになる。そこでオススメなのが岸から少し離れた場所に固定されたカセと呼ばれる小舟からの釣り。カセなら日中でも沖の深みを探れるためデイゲームが高確率で成立するのだ。たとえば大阪湾の最奧部、兵庫県尼崎市と西宮市の境を流れる武庫川河口のカセ。今回は武庫川のカセを例に、キビレのブッ込み釣りを紹介しよう。

武庫川のカセを運営しているのは武庫川渡船さん。
梅雨時期に入り川が増水すると営業終了となるので5月中がチャンス!

カセ
武庫川河口と阪神高速湾岸線の中間あたり、左岸寄りにかけられた武庫川渡船のカセ。漁船の上部を取っ払ったものなので広く快適。トイレも付いている
カセの釣果
カセの釣果
カセの釣果
今シーズンの武庫川カセの釣果。小学生以上でないと利用できないが家族連れで出かける人も多い。釣れるキビレは30~35cmがレギュラーサイズだが40cmクラスもまじる(写真提供:武庫川渡船)

タックルと仕掛
ライトなリール竿なら問題なし。
軽いキステンビンに1本バリで

カセで使用するタックルはメバリングやアジングに使うライトゲーム用、シーバスタックル、エギングタックル、ボート釣り用タックルなどライトで長さが6~7f程度のものなら何でもOK。リールはスピニングが扱いやすいがベイトリールでも構わない。岸からブッ込み釣りをする場合は足下の障害物をかわしたりしなければいけないので4m以上の磯竿1.5~2号クラスが適している。

武庫川のカセの場合、ラインはナイロンなら1.5~2号がベスト。0.6号など細いPEラインなら1ヒロほど2号程度のナイロンもしくはフロロリーダーを接続しておけば問題ない(0.8号以上のPEなら、そのままで大丈夫)。

仕掛は投げた時に絡みが少なくてすむキステンビンを使用。オモリは4~6号。テンビンの先にハリス1.5号を50~80cmつなぎチヌバリ2号を結ぶだけと超簡単だ。

タックル図
※クリックで画像が拡大します
ライトショット 立つ天秤 スマッシュ
ハヤブサ製品なら『ライトショット 立つ天秤 スマッシュ』がおすすめ。アームが海底で立つので仕掛が浮き気味になりエサが漂いやすくキビレなどにハイアピールする

エサと釣り方
アオイソメなどが1パックあれば充分。
時折、仕掛を動かして誘えば完璧!

エサは半日の釣りでアオイソメがワンパックもあれば充分。武庫川のカセでは「青コガネ」というエサが定番になっており渡船店で購入可能。ハリには1匹長いまま。頭部分にハリを通し掛けし全体がクネクネ動くようにしておく。この動きがキビレの食欲に火を付けるのだ。

アオイソメ
エサはアオイソメ、青コガネなどを丸ごと1匹ハリに刺す。クネクネと元気に動いてキビレの食い気を誘う。動きが鈍くなったら、どんどん交換しよう

エサをセットしたら仕掛を投げ込んで釣り開始。オモリが海面に落ちる直前に人差し指でスプールに触れ、軽くブレーキをかけてやると仕掛絡みが少なくてすむ。さらにオモリが着底したら少しリールを巻き海底でハリス部分を伸ばしてやる。あとは竿をカセの船縁に立てかけ、ラインを張り気味にしてアタリを待つ。時折、仕掛を少しだけ動かし誘いをかけ、仕掛が足下近くまできたら回収し再びキャスト。また回収時にはエサのチェックを忘れずに。エサに元気がなくクネクネ動かなくなっていたら交換しよう。

武庫川のカセではトラブルを避けるために「竿は1人2本まで」と決められているが、釣り客が少なくスペースに余裕がある場合は3本、4本と竿を出しても構わない。

リールのハンドル
時折、竿を手に取りリールのハンドルを2、3回転。仕掛けを動かしてキビレに「エサはここだよ」と誘いをかけよう

水温低下などで活性が低い場合はその限りではないが、アタリはおおむねガンガン!ガツ~ン!と派手で強烈。時には竿ごと海中に持っていかれることもあるので、アタリを待つ間はリールのドラグをゆるゆるにしラインが出るようにしておくのが無難。竿を手にしてからドラグを締め糸フケを巻き取ってから大アワセ。左右に走るキビレの引きを楽しみながら、ゆっくり取り込もう。武庫川のカセには備え付けのタモ網があるので安心。タモ入れに慣れない人は同行者にお願いしよう。

タモ
キビレが掛かったら慌てず騒がず、竿を立ててリールをゆっくり巻いてカセの縁まで。フィニッシュはタモで。武庫川渡船のカセにはタモが常備されている

さあ、これでキビレゲット! のんびり竿先を見つめアタリを待つ「静」の時間帯から、キビレが食ってファイトに切り替わる「動」への瞬間が何よりエキサイティング。ぜひお試しあれ!

武庫川渡船

住所:兵庫県尼崎市平左衛門町66
HP:http://www.amagyo.com/