春夏秋冬!釣果アップの勘所 No.12 電気ウキでねらうフエダイ釣りのツボ教えます!
基本は磯際から仕掛を離さないこと

「釣果アップの勘所」第12回のテーマはフエダイの夜釣り。よく似た名前のフエフキダイではなく標準和名のフエダイだ。鹿児島は薩南方面では古くからシブダイという名前で夏の人気魚種として知られ、磯からの夜釣りでねらうファンが多い。はっきりいって全国的にはマイナーな釣魚ではあるけれど、夏場が旬のこの魚、脂が乗って抜群に美味しいので、今回はあえて紹介させていただこう。

鹿児島ではシブダイという名で
古くから夏の夜の人気魚種

標準和名フエダイは南日本の太平洋岸の岩礁域に棲息するフエダイ科の魚で、体側後方の側線上方に白色点があるのが特徴だ。同じフエダイ科の魚であるクロホシフエダイ、ニセクロホシフエダイなどは黒い斑紋(黒色円斑)があるので、すぐに区別できるだろう。

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フエダイ科のフエダイ。ボディ真ん中より少し後ろの上側に白い点がある

夜行性かどうかは別にして、ねらいやすいのは夕マヅメから夜間だ。日中は沖の深い場所にいて、日が傾き始めるとエサを求めて浅い岸寄りにやって来るのかもしれない。

古くから「シブダイ釣り」が盛んだった鹿児島では釣り方に2通りあってブッ込み釣りもしくは電気ウキ釣りだが、ここでは根掛かりのリスクが付きまとうブッ込み釣りはパス。電気ウキ釣りに限って解説しよう。
ちなみに関西圏でマイナーながら、フエダイ釣りが地元ファンに認知されている徳島県南部の宍喰(ししくい)での釣り方をベースにさせていただく。

平均40cm前後だが引きは強烈!
タックルは頑丈なものを

四国東部の宍喰の磯で釣れるフエダイは40cm前後をレギュラーに大きいもので50cmほどだが、その引きは半端なく強いので、使用タックルは磯竿3~4号5~5.3mにスピニングリール4000~5000番、道糸はPE3~4号、ナイロンなら6~8号。ハリスはフロロカーボン6~8号。ハリはグレバリやマダイバリの10~12号

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写真の電気ウキはオモリ負荷0.5号だが1号前後が使いやすい

電気ウキ(中通しでも環付きでもOK)はオモリ負荷1号前後がおすすめ。道糸とハリスをつなぐサルカン上に1号前後の重いオモリをセットし「素早く仕掛をなじませる」のがフエダイ釣りでは、というより道糸操作が難しい夜釣りには欠かせない。

ハリスの長さは1ヒロもあれば充分。日中のフカセ釣りのように2~3ヒロという長いハリスは必要ないし暗い磯ではトラブルのもと。ウキ下は遊動部分が半ヒロまでの1ヒロ半以内だ。

エサはボイルのオキアミ。ハリが大きいのでサシエ用も兼ねてLサイズの3kg板が1枚もあれば充分だ。サンマ切り身やイカ短冊、マムシなど虫エサを使ってもよいが、これまでの経験でボイルのオキアミだけで問題ない。ハリには大きめのものを1匹通し刺しにしてもよいし、2匹を抱き合わせてセットしてもよい。とにかくエサを目立たせることが肝心だ。

半解凍のオキアミは釣り場に着いたら海水を張ったバッカンに入れ、しっかり解凍しよう。水温が高い時期なのでマキエには配合エサなど混ぜ物はナシ。

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エサはボイルのオキアミLサイズ。半解凍のものをネットに入れて海水に浸すと水を切ってバッカンに移しやすい

ポイントが磯際なのでマキエの遠投は必要なく、混ぜ物をするとかえってエサ取りの小魚(ミナミハタンポや赤ジャコ、小サバなどが多い)を集めてしまい釣りにならない。

ポイントは波静かな磯際
掛かったら一切糸を出さず力勝負!

ポイントは磯際だが、そのなかでもできれば少しへこんだワンドのような波静かな場所がよいようだ。白泡が立つサラシもないほうがよいだろう。サラシや潮流でマキエが拡散される場所よりもマキエが溜まるような場所がおすすめだ。そんなワンド状地形の磯際に仕掛を引きつけるように入れよう。

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フエダイのポイントはサラシがあり潮が通すような場所よりも波静かなワンド状の磯際

こんな場所にボイルのオキアミをパラパラ撒きながら仕掛を入れてアタリを待つ。日が傾き西の空が赤く染まるようになればフエダイタイム。まだライトも不要で、当然電気ウキもオフという明るい初夏~初秋の夕暮れどきになればアタリが出る。

ウキが充分引き込まれるのを待ってから大アワセ。掛かった怪力フエダイは一気に海底に向かって突進するが、ここで道糸を出してはいけない。竿を立てたまま竿の弾力で引きに耐えタックルパワーを信じて一気に海面まで浮かせるべし。30cmそこそこの小型なら抜き上げてもよいが、40cmを超す良型なら落ち着いてタモですくおう。

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条件がよければ複数釣果も期待できるが1尾1尾、大切に釣ろう

というのが宍喰磯での釣り方。本場・南九州にくらべ魚の数は多くないようなので1尾1尾を丁寧に釣ろう。ちなみに宍喰では午後9~10時で渡船が迎えに来る。

関西圏では渡船利用の磯で半夜釣りができるところは多くない。だからといって歩いて地磯に出るのもおすすめできない。近くに磯場がある太平洋岸の防波堤やゴロタ浜で試してみるのもよいかもしれない。実際に宍喰周辺のゴロタ浜ではフエダイの実績あり!

※次回は「波止のサヨリ釣り」について解説する予定です