釣って楽しく食べて美味しい夏の風物詩
テナガエビ釣りのチェックポイント

うっとうしい梅雨の季節がやってくると、俄然楽しくなるのが汽水域のテナガエビ。かんたんな道具を持って身近な川に行くだけで十分釣りになり、食べても美味しい庶民派ターゲットです。蒸し暑い梅雨時はもちろんのこと、夏場に向けてテナガエビの素揚げ&ビールを楽しみにしているファンも多いのではないでしょうか。
今回は、そんなテナガエビ釣りで私が心がけていることを書いてみましょう。

私なりのチェックポイント

テナガエビ釣りと聞いて、みなさんが思い浮かべるイメージはどんなものですか? だれもがパッと思いつくのは、お手軽・かんたん・初心者にも最適・食べて美味しい…といったところだと思います。

たしかに仕掛はかんたん、釣り場も身近で、エビのいそうな場所にエサを入れるだけのシンプルな釣りですね。でも実際にやってみると、言われるほどかんたんではないこともあったりします。ではその原因は? 確実に釣るためにはどうしたらよいの? ということで、ありがちなミスを防いで釣果を得るための、私なりのチェックポイントをご紹介します。

ポイント選びはシビアに!

テナガエビは川底の石や藻、杭の周囲などに身を寄せているため、そうした障害物がある場所にエサを入れれば、どこでも釣れる可能性があります。しかし、どこでも「よく釣れる」かというと答えは否。より確実なのは、護岸の石積みや消波ブロックのように、目視可能な障害物があるところを見つけて、ダイレクトに穴や隙間をねらっていくことです。
そこで私は手軽な釣りだからと軽く考えず、ポイント選びはシビアに行うようにしています。

02_ 石積みや杭
テナガエビが好むポイントは石積みや杭などの周囲。際や隙間をダイレクトに攻めればヒット率もあがる

また、同じような護岸が続く場所でも、釣れるところと釣れないところはハッキリ分かれるため、アタリがなければ入れる場所を変えるようにしています。

エサはきちんと底に付いているか?

エサは必ず底まで沈めてアタリを待ちます。エビは川底で生活しているので、これは基本中の基本です。
エビが藻や石積みの上を歩き回っていることもありますが、その場合でもエサが中層に浮いているのはNG。いいポイントに入っているのにアタリがないときは、エサがちゃんと底や石積みの上に届いていない可能性があります。底の起伏に変化があるポイントは、とくにこれを注意しています。

05_ 底の起伏
底の起伏があるポイントではエサが底に付いているかを意識

ねらう水深とタイミングを合わせる

テナガエビの釣り場は潮の干満の影響を受ける汽水域がメイン。潮の満ち引きによって水深が変化します。そのなかで私がねらうのは、手返しよく探っていける水深。釣り場ごとに違いがあるので一概には言えませんが、私がよく行く釣り場では水深50cmまでを目安にしています。

また、潮の干満によって流れが強くなっていたり、完全に止まったりした状態よりも、動き始めや潮止まり直前のように、ゆるやかに流れている状況で釣れることが多いと感じます。したがって私の場合は、そのようなタイミングで水深が50cm前後になっている場所を探して仕掛を入れていくようにしています。

ウキ仕掛とシモリ仕掛の違いを知る

先ほどエサが底に付いていることが肝心と書きましたが、きちんと底にエサを入れるために大切なのが仕掛選びです。テナガエビを釣る仕掛には、大きく分けて「ウキ釣り仕掛」「シモリ仕掛」の二通りがあります。

ウキ釣り仕掛はウキ下を調整することでねらいのタナを攻める釣り。
たとえば水深1mのポイントで底を流したいときはウキ下も1m、中層を流したいときはそれより短くすることで、一定のタナをキープすることができます。テナガエビ釣りの場合は底にウキ下を合わせるのが鉄則。釣り場の起伏に合わせて調整が必要です。

いっぽうシモリ仕掛は小さなウキが数個付いていて、ハリに近いウキは水中に沈む設定。ウキ下の調整がファジーなため底の起伏や水深の変化に対応しやすく、水中の微妙なアタリも取りやすい仕掛です。

使い分けとしては、水深変化が少ないポイントではウキ釣り、入れる場所によって水深が変わるポイントではシモリ仕掛を使うのが一般的です。

ハリはエビバリの2号前後がベター

仕掛のなかでもう一つ重要なポイントはハリ。「アタリは頻繁にあるのになかなか掛からない」というケースでは、ハリに原因があることも少なくありません。
テナガエビの口は魚と違って大きく開かないため、細くて小さなハリが必要不可欠です。私も手持ちのいろいろなハリを試してみましたが、ちょっと太かったり、ちょっと大きかったりするだけでハリ掛かりには雲泥の差が出ました。おススメはエビバリの2号前後です。

また、ハリスの長さは10cm以内が標準。あまり長いとアタリが伝わりにくかったり、根掛かりしやすくなったりするので、狭い石の隙間にも入るよう、極力短くしています。

10_ テナガエビの口に掛かったハリ
テナガエビの口に掛かったハリ。エビバリの2号前後がおススメ

食い渋りのときは王道の虫エサ

雑食性で食欲旺盛なテナガエビは使えるエサもいろいろ。王道は赤虫、イソメ類、キジ(ミミズ)などの虫エサです。また、これらが手に入らないときの代用エサとして、魚肉ソーセージやカニカマ、ボイルホタテを使う人も多いようです。虫エサが苦手な人も、こうしたエサなら気軽にトライできるのではないでしょうか。

私は今年、赤虫、アサリ、カマボコの3種を持参して何度か釣り比べをしましたが、アタリの出方自体はどれも大差ありませんでした。しかし、食い込みの深さやハリ掛かりする確率を比較すると赤虫がダントツ。テナガエビの活性が高いときはそうでもありませんが、食い渋りのときは歴然と差がつきました。
ソーセージなどの代用エサでもう一つ釣果が出ない場合は、王道の虫エサを試してみるとよいと思います。

11_ テナガエビ釣りのエサ
私が持参したエサ。左が赤虫、右上はアサリ、右下はカマボコ

魚とは違うアタリとアワセ

そしてテナガエビ釣りと普通の魚釣りの最も大きな違いは「アワセ」のタイミングです。これも釣れない原因のひとつになります。

魚釣りでは、ウキが動いたり、消し込まれたりしたときにアワセるのが基本。それは「ウキが動く」=「ハリが魚の口に入っている状態」だからです。しかしテナガエビの場合、ウキの動きはエビがエサをハサミでつかんだ合図に過ぎず、むしろウキが止まってからが勝負。長い腕でエサをつかんで物陰まで移動し、エサを口に持っていくまで待つのが定石です。
アワセ時(どき)はウキが止まってから15秒といわれていますが、ときにはもっと時間をおいたほうがよいこともあります。

12_ 止まるウキ
魚釣りと異なり、ウキが止まってからが勝負

このタイミングがつかめないうちは、早くアワセ過ぎてすっぽ抜けてしまったり、逆に待ちすぎてエサだけ取られたり、穴の奥深くに入られて糸を切られてしまったりということがよくありました。さらに厄介なことに、エビがその場でエサを食うときはウキがまったく動かないことも。これではいつ食ったかわからず、お手上げです。

その対策として、私はアタリが出てしばらく待ったらゆっくり糸を張るようにして「聞きアワセ」を入れるようにしています。また、アタリが出ていなくても、仕掛を上げる際には必ず「聞きアワセ」をしています。
この聞きアワセのときに、ツンツンとエビが引っ張る感触があればハリに掛かっている証拠。そのまま引き上げます。掛かっていない場合はそのまま落としなおせば、かなりの確率でもう一度食ってきます。

13_ テナガエビ釣果
ウキが動いても、動かなくても、仕掛を上げる際は必ず聞きアワセを入れるようにしている

無事にテナガエビを釣り上げたら、ピンセットやフォーセップなど先の細いものを使って優しくハリを外し、エアポンプをセットしたバケツに入れて生かしておきます。さらにときどき水を換えながら一晩泥を吐かせておけば完璧です。

14_ 生かしバケツ
エビが酸欠にならないようエアポンプで空気を送って生かしておく。美味しく食べるための第一歩だ

テナガエビ釣りの道具

最後に私がテナガエビ釣りに持っていくものを紹介すると、2m前後の延べ竿に釣ったエビを生かしておくバケツエアポンプ。手を拭くための雑巾や、ハリを外すためのフォーセップ(またはピンセット)も必需品ですね。また、安全のため救命具やキャップ、偏光グラスも着用するようにしています。

15_ テナガエビ釣りの道具

仕掛はエビバリ2号前後のシモリ、またはウキ釣り仕掛。それに予備のかみつぶしオモリ各サイズとヨリモドシ、自動ハリス止めなど。かんたんな仕掛なので自作も可能ですが、釣具店には予備のハリがセットになった便利な仕掛も各種市販されているので、より手軽に楽しむならそれらを購入すればOK。購入の際には竿の長さに合った仕掛を選んでください。

16_ 仕掛は竿の長さに合わせて
スペアのハリもセットになった仕掛。竿の長さに合わせて選ぶ

さあ、あとは釣ったテナガエビをカラッと揚げて、夕涼みのビールをぐびっとやるだけ。釣って楽しく食べて美味しいテナガエビ。この夏はぜひみなさんもお楽しみください。

17_ テナガエビの唐揚げ

レポーターREPORTER

プロフィール:高橋 大河
1960年東京都出身。釣り媒体の編集・ライティングを経て現在はフリーランスで活動するライター。得意な釣りは、淡水・海水のルアーゲームをはじめとした身近なライトゲーム全般。間口が広く奥の深い釣りがとくに好き。「釣りは釣れなくても楽しい」がモットー。