仕掛屋さんのプチ知識 No.7 仕掛担当が教えてくれた
正しいエサの付け方【オキアミ編】

釣り道具において「仕掛」は、ロッドやリール、ルアーほど脚光を浴びるわけではないが、魚に直接触れるアイテムとして、また、仕掛の良し悪しによって釣果が左右されるなど重要なアイテムだ。そんな仕掛を扱うメーカーならではのプチ知識を、開発担当者に聞いてみる当企画。「これ知ってたらお得」「釣果アップにつながる」「釣りが快適になる」…といったアイデアを紹介しよう。

01_ 田中さん

今回「正しいエサの付け方」について教えてくれたのは、長年、仕掛開発に携わる田中さんだ。「オキアミの刺し方」「虫エサの刺し方」について、丁寧に指南してくれた。まずはオキアミの刺し方について見ていこう!

オキアミを刺す前に…

02_ オキアミ

釣りの刺しエサとしてポピュラーな「オキアミ」は、堤防からのエサ釣りにおいて、アジ・サバなどの小型回遊魚やメバル・カサゴなどの根魚、そのほか、ベラ・カワハギ・メジナ・マダイなどなど…ありとあらゆる魚に好まれる万能エサだ。
形はエビそのものではあるが、実は動物性プランクトンに分類されるオキアミ。そんな釣りでよく使うオキアミをエサとして使う際、ハリに刺す前に知っておきたい知識から教えてもらった。

尻尾はカット

田中さん曰く、「まず初めにオキアミの尻尾をカットしてください」とのこと。オキアミの尻尾は仕掛が落ちていく際に、水の抵抗を受けてエサ(エサ付けしたハリ)が回転してしまう原因になるそうだ。知ってた?

03_ 尻尾はカット

「エサ付けのときに少々面倒ですが、尻尾の羽根を付け根からハサミでカットしたり、指でつまんでカットしてあげてください。その際に、尻尾はできる限り羽根だけをカットすること。尻尾からハリを刺す刺し方では、尻尾の根元の硬い部分を残しておくとエサ持ちしやすくなりますよ」と田中さんは教えてくれた。
とはいえ、魚が釣れているときなどは手返しのよさを考えるとやや面倒なため、努力目標だそうだ。

頭は残す

逆に、頭に関しては残しておいた方がよいとのこと。
「オキアミの頭は基本的に残しておいてください。あくまで経験則ですが、目玉とミソが残っている方が集魚力は高いようです。ただし、エサ取りが多い場合や食い渋り時など、意図的に取ることもあります。また、ハリのサイズに対してオキアミが大きい場合などはサイズ合わせのために取ることもありますね」。

04_ 頭は残す

オキアミの目玉は視覚的に魚にアピールし、ミソは味やニオイで魚を寄せる!? 小さなエサもなかなか奥が深いことを田中さんは教えてくれた。

適切なハリサイズは?

05_ 糸付きバリいろいろ

オキアミにもさまざまサイズがあるようで、「小さいハリには小さいオキアミを。大きいハリには大きいオキアミを」使った方が当然よいそう。あとからの刺し方でも出てくるが、「腹掛けしたときにハリ先が頭部に収まるようなサイズ感が目安ですね」とのこと。

ちなみに、一般的なオキアミのサイズ(販売されているサイズ)とハリサイズの相関関係は以下の通りだ。

  • 【オキアミサイズ】
  • S(35mm)             チヌバリ0.5~1号 /グレバリ3~5
  • M(40mm)            チヌバリ1~3号 /グレバリ6~8
  • L(45mm)             チヌバリ3~5号 /グレバリ9~10
  • LL(50mm)           チヌバリ6~7号 /グレバリ11~12

※あくまで分かりやすく(感覚的に)簡素化した目安です。対象魚や実際のエサのサイズ、各社のハリ号数で異なりますので、予めご了承ください

オキアミの指し方5選!

06_ ハリを刺す

さてここからは、実際のエサの付け方(オキアミの刺し方)を見ていこう。田中さんが教えてくれたのは5種類。これらを押さえておけば、ほぼどんな状況にも対応できるだろう。

「腹掛け(胴掛け)」

腹掛けは胴掛けとも呼ぶ、一般的なオキアミの刺し方です。尻尾を取った尾から腹側に向けて通し刺しするので、刺しやすいですね」と田中さん。また、ハリ先をオキアミから出さないことで、警戒されにくいエサ付け方法だそうだ。
「ハリの形とオキアミの形が重なる形なのでキレイですね」。

「背掛け」

「腹掛けとは反対に、尾から背側に向けて刺し通す刺し方が背掛けです。背中の硬い部分で保持されるためエサ持ちがよく、ひじょうに実用的な刺し方なんです」と田中さん。こちらもポピュラーなオキアミの刺し方だ。
エサ持ちがよいので、遠投するときやエサ取りが多いときに有効な刺し方でもあるそうだ。

「尻掛け」

一方、腹掛けや背掛けと異なり、オキアミを真っすぐセットするのが「尻掛け」だ。
「ハリ先を出す向きは腹側でも背側でも、お好みでどちらでもよいのですが、ハリ先をオキアミの頭に収めず外に出す刺し方です。オキアミを真っすぐセットすることで水中での姿勢が安定し、ハリとエサがクルクルと回ってしまうことを防いでくれます。糸がよじれたりするトラブルがなくなるのが特徴ですね」と田中さん。ただし、頭をハリで保持していないので取れやすいのが難点だそう…。

潮の流れが強い状況や深場まで仕掛を送り込みたいときに、トラブルなくオススメだそうだ。

「抱き合わせ」

これまでのシンプルな1匹刺しとは違い、ボリュームを持たせてアピール力を高めるエサの刺し方のひとつに「抱き合わせ」がある。

田中さん曰く、「オキアミ2匹の腹側を合わせてセットする方法で、船釣りや大物ねらいなどで使われるほか、エサ取り対策でも使われる刺し方ですね」とのこと。単純にオキアミ2匹を刺しやすい方法だ。

13_ 抱き合わせ

「背抱き」

抱き合わせと同じく2匹をセットするが、エサ持ちがアップするのが「背抱き(抱き合わせ改)」だ。

「1匹を尻掛けの背側からハリ先を抜いた状態にし、もう1匹を同じ向きで沿うようにセット。腹側から刺してあげます。要領は抱き合わせと同じです」と田中さん。間違って背中合わせにしてしまうと、スクリューのように回ってしまうので、くれぐれも注意が必要だそうだ。
その時々の状況と好みに合わせて、「抱き合わせ」と「背抱き」を使い分けるとよいだろう。

14_ 背抱き
15_ オキアミをハリにセット

たかがオキアミをエサとしてセットするにも、なかなか奥が深い。しかし、差ほど難しい話ではないので、覚えておくと損はナシ。初心者から中級者へのステップアップになるだろう。ぜひエサの刺し方にもこだわって、いろいろと試してみてほしい。

といったわけで今回はココまで。釣りに詳しいエキスパートなら「な~んだ」な知識かもしれないが、釣りを快適に、スムーズに楽しむための知識としてお役に立てれば幸いだ。
仕掛のスペシャリストとして日々開発に携わるなかで、きっとアングラーのタメになるアイデアがいろいろとあるはず! そんな目から鱗なプチ知識を発掘し、引き続きお届けしていこう。

16_ 各種エサの付け方