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昨年(2025年)、ブラックバス移入100周年を記念して有志たちが芦ノ湖に集まりました(タイトルバックの写真はその際に開催された、有志たちによるルアーキャスト風景です)。その中には100年前、この地にブラックバスを移入するために尽力した、赤星鉄馬氏の親族も参加されていました。
芦ノ湖漁協の協力のもと、記念放流も検討されましたが実現には至らず。代わりに各人が持参したバスカラーのルアーを湖にキャストし、移入100周年に思いを馳せたといった具合です。
バス移入101年目となる本年、100年に渡り育まれてきた「バスフィッシング」の歴史や文化、そしてその魅力を改めて見つめ直してみたいと思います。
ブラックバス来日101年、その魅力を改めて考える

2026年は、ブラックバスが日本に来て101年目を迎えました。多くの釣りファンを魅了してやまない「バスフィッシング」。同じ未来を見てバスフィッシングを楽しんでいる方にとっては、ブラックバスは単なる対象魚ではなく、人生を豊かにしてくれる存在になることがあります。
日本におけるトップウォーターフィッシングの祖である故則弘祐氏は、「ブラックバスの魅力は、人間に一番近い魚だからなんだよ」と言っていました。その意味とは、生活圏が人間の住む環境と似ており、さらに人間に近い行動をとる…ということからだそうです。
人間の身近に生息していて、怒りや警戒心などの感情があり、神経質でありながら、ときに大胆な行動を見せる。そのようなことから、アングラーが感情移入しやすい魚のようです。
バスフィッシングと出会えたことで、人生が幸せになった方は多いことでしょう。
「自然の中でブラックバスと対峙することで気分転換になり、ゆとりが生まれた」「トーナメントに参戦することで、競技者として非日常を過ごすことができ、生活に張りがでた」「同じバスフィッシング好きのコミュニティに入ることで仲間が増え、活動的になって充実した日々を送っている」「ブラックバスのことやバスタックルの歴史を知ることで見識が広がり、それが日々の生活に役立った」「バスフィッシングをしていなければ出会うことがない人との接点が生まれ、それが人生を豊かにしてくれた」など…。
バスフィッシングは日々の生活に彩を添える釣りともいえます。

日本のバスフィッシング文化の原点、
赤星鉄馬の功績
100年前、当時はタンパク源確保が国家的課題であり、その一環としてブラックバス導入が計画された時代背景があります。昨年の2025年6月22日はブラックバス移入100周年。100年前のこの日、神奈川県芦ノ湖にブラックバスの移入が決まったのです。

移入に尽力した中心人物は赤星鉄馬氏。
赤星氏の功績は数多くありますが、代表的なものは私財を投じて日本初となる学術財団「啓明会」を設立したこと。啓明会の活動は、研究者を助成することでした。その助成は分野を限定せず、幅広く行っていました。日本民俗学で著名な柳田國男氏も、啓明会から助成を受けていた1人です。
しかし、そういった事実を知る人は少ない…。というのも、啓明会の設立は、赤星氏の売名のためではなかったからです。会の運営にはほとんど口を出さず、ただひたすらに裏方として学術を支えたのでした。
赤星氏によるブラックバスの移入は、日本の文化を支えた数ある活動のなかにおいては、小さなものであったかもしれません。しかし、バスフィッシングと関わって幸せになった方にとっては大きなことです。
バスフィッシングを楽しんでいるアングラーには、赤星氏のことをもっと知っていただきたいと、切に願います。日本のバスフィッシングは、1人の支援者の志から始まったのです。


そんなことから、昨年の6月に100周年を記念して、大磯にあるショップ「1925(イチキュウニーゴー)」が主催するイベントが行われたというわけです。
大磯はブラックバスの移入に尽力した人物、赤星氏が終の住処としたところでもあります。

未来へつなぐバスフィッシング文化
2026年の6月21日。赤星鉄馬氏に感謝するという意味で冠された「赤星杯(「1925」主催)」の第2回目が、バスアングラーにとっての聖地・芦ノ湖で行われました。
有志が集まって開催した釣り大会では、「赤星バス」と呼ばれる、100年の時をアングラーとともに歩んできたブラックバスがキャッチされました。その一尾は、次の100年に向けてもバスフィッシングが存続できる環境であってほしいという大会の願いに、花を添えてくれました。


また、バス移入100周年の大きなニュースとしては、アメリカ発のバスフィッシング団体である「メジャーリーグバスフィッシング(MLF)」の日本シリーズが発足し、101年目となる本年度からは、霞ケ浦水系に加えて琵琶湖シリーズもスタートしています。
さらに、日本初の「ショアフィッシングプロリーグ」(優勝賞金30万円)も開催されています。ちなみに、ボート部門のプロリーグで年間優勝すると、賞金金額世界一の「RED CREST」という大会へ参戦するための道筋ができるそうです(このトーナメントの優勝金額は1億円を超えます)。
バスフィッシングは100年という年月のなかで、スタイルや楽しみ方を広げながら、多くのアングラーに親しまれる文化へと発展してきました。
その一方で、ブラックバスを取り巻く環境は大きく変化し、外来魚問題をはじめ、自然環境や地域社会との関わりなど、目を背けることのできない課題もあります。だからこそ、この文化を未来へつないでいくためには、1人ひとりのアングラーがルールやマナーを守り、地域や自然環境への理解を深めながら楽しんでいくことが、これまで以上に求められているのではないでしょうか。
トップウォーター縛りの「赤星杯」
トップの釣りの面白さとは?
ところで、バスフィッシングにはさまざまなスタイルがありますが、「赤星杯」はトップウォータールアーのみを使って釣る大会です。
ボートを使用したバスフィッシングでトップウォーターにこだわるアングラーの基本は、座って釣りをするスタイルが基本とされています。また、多くの場合は2人1組でボートに乗船します。後ろのアングラーが操船を担当し、前のアングラーは後ろのアングラーが釣るスポットを残しつつ、進行方向の斜め前へキャストしていくといった具合。
そのため、釣果は1人のアングラーだけの力で生まれるものではなく、操船やボートポジションを支える後方のアングラーとの連携があってこそのもの。魚が釣れた喜びを2人で分かち合えることも、このスタイルならではの魅力です。

使うタックルのスタンダードはベイトタックルです。ロッドは5~6ft前後のスローテーパーアクションのもの。そしてリールは、オールドの丸型タイプを使う方が多いです。ラインはPE派とナイロン派に分かれます。
ルアーはハンドメイドのウッドプラグが主流ですが、プラスチック製を愛用する方もいます。また、オールドプラグにこだわるアングラーも少なくありません。一般的には1/2oz以上のウェイトがあるプラグを好む方が多い一方で、小さく軽いルアーをスピニングタックルでキャストして楽しむ方もいます。
楽しみ方は人それぞれで、どこにこだわるかによってスタイルも変わってきます。ただ釣果だけを追求するのではなく、こうした世界があるのも、バスフィッシングのいいところです。

魚を釣るだけじゃない!
バスフィッシングの奥深い魅力
釣りの多くは、魚が実際に食べているエサやエサに似たものを使い、釣った魚を持ち帰って食べることで完結します。そしてそのような釣りでは、魚や、魚を釣るためのエサを愛でることはありません。しかし釣った魚を逃がすことが一般的なバスフィッシングにおいては、それがちょっと異なります。
バスを逃がすときには「釣れてくれてありがとう」「もっと大きくなってね」「元気になって、また釣れてくれよ」と願う方が多いです。また、「釣ったルアーに感謝する」「歯形が付いたルアーを仲間に見せて、釣れたときのことを思い出して語り合う」「釣りはしなくてもルアーや道具を集める」方も少なくありません。

釣りのスタイルも、「岸釣り」「ボート釣り」「フローター」「カヌー」などとさまざま。さらに「トップウォーターしかやらない」「大会に出て競いたい」「自分が釣れると考えた釣り方を試したい」「ビッグベイトしか使わない」「フライフィッシングにこだわる」といったアングラーがおり、バスフィッシングにはいろいろな楽しみ方があるのです。文化的であり、本当に奥の深い釣りだといえるでしょう。

ブラックバスが日本へやって来て101年。ブラックバスやバスフィッシングに対する世間での賛否が渦巻き、苦慮すべき問題は多いものの、これまで多くの人の人生を彩ってきたこの魚は、これからも新たな出会いや感動を与え続けてくれることでしょう。
釣果だけでは語れない奥深さがある……それこそが、バスフィッシングという文化の魅力なのではないでしょうか。
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