船釣り初心者歓迎!手軽な釣りモノはコレだ No.7 東京湾に一大ブーム到来!
テンヤタチウオの面白さにハマる人が爆増中!

「当たりダナは?」「誘い方は?」「テンヤカラーは?」
本命への近道は周りのアングラーとの情報共有!

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当日は私を含めた4名で東京・深川吉野屋に乗船。写真は別船の釣友が撮影してくれたもの。左舷大ドモから4名が並んだ。われわれ4名は常にさまざまな情報共有をしながらタチウオ攻略に挑んだ

竿とリールを準備し、仕掛を準備し、イワシをハリ付けしたら、いよいよ実釣開始だ。テンヤタチウオは、エサを付けなければ大きなハリが付いたジグヘッドのようなもの。これにエサのイワシを付けるわけで、まさにルアー釣り+エサ釣りの「ハイブリッドスタイル」といえる。
仕掛のみならず釣り方に関しても、そのときのヒットパターンを見出すまではルアー釣りの要素が強く、アタリが出てから掛けるまではエサ釣りの要素が強い。また、このヒットパターンを見つける部分に面白さと奥深さが凝縮しており、時に感じる歯がゆさが釣り人を熱中させる所以でもある。

 

下記に基本の釣法を紹介するが、本命タチウオへの一番の近道は、周りで本命を手にしたアングラーと情報共有することだ。

【当たりダナ】 ⇒タチウオのアタリが出たタナは?
【誘いパターン】⇒どんな誘いでアタリが出た?
【テンヤカラー】⇒何色のテンヤに食ってきた?

この3点を船上でタイムリーに共有できれば、もう8割タチウオを釣ったようなもの…? もし、人見知りが発動してしまった場合は、目で見て参考にするしかないが、当たりダナは聞かないと分からない。そんなときは「聞くは一時の恥、聞かぬは一生の恥」という言葉を思い浮かべて、大きな一歩を踏み出そう。

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テンヤタチウオ釣りの持参アイテム。タチウオは歯がひじょうに鋭い魚のため、フィッシュグリップは必ず持参したい。ケガの予防という観点からグローブもあると便利。万が一のために絆創膏もあると安心だ

投入~着底

潮上に軽くキャストしてテンヤを投入。こうすることで、オマツリのリスクが減る。指で軽くスプールをサミングしながら、しばらく着底を待つ。テンヤが着底するとフワッと糸がタルむため、それを確認したら素早く糸フケを取って一度大きく竿をシャクる。こうすることで根掛かりの予防になり、底付近にもしタチウオがいればアピールにも繋がる。

肝心の当たりダナだが、取材当日は猿島周りの水深は55m~65mを攻めて、底に反応が出ていたり、底から10mに反応が出ていたりと状況はまちまちだった。船長のアナウンスに耳を傾けることが大切だ。

基本釣法(1) 「ゆっくりタダ巻き」

読んで字の如く、ゆっくり巻き上げて誘う釣法。「ゆっくり」というと抽象的だが、イメージとしては、リール1回転を3秒~5秒ほど掛けて巻き上げる程度。着底後に一度シャクって、そこからゆっくりタダ巻きで上へ上へと誘い上げる釣法。当日の反応の出方にもよるが、最低でも底から15m~20mの範囲は探りたい。竿先を注視しながら、ただただ巻き上げるだけのカンタン釣法だが、意外とこの釣法で連発するなんてことも多いから面白い。

またまた余談だが、今夏にシロギス船に乗船したときの話。
シロギスが掛かり、早めのリーリングで巻き上げ、シロギスが海面に見えたので竿を持ち上げて取り込もうとした際、そのシロギスの後ろから「シュパッ!」という水を切り裂く音とともに大型タチウオが飛び出してきたことがある。そのときのポイントの水深が20mほどだったと考えると、それくらいの距離は余裕で追い掛けてくることが理解できるだろう。

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時に威力を発揮するのが、電動タックル&置き竿での自動タダ巻き釣法。アタリが出たら竿を手に持ち替えてアワせて掛ける。腕への負担は少ないが「私、タチウオ釣ってます感」は手持ちに劣る

基本釣法(2) 「ストップ&ゴー」

「誘い」と「食わせの間」を織り交ぜながら、上へ上へと誘い上げる釣法。定番の誘いパターンは、リール2~3回巻いて止める、リール2~3回巻いて止めるを繰り返す。止めの間も3秒なのか5秒なのか、その正解を探るのも面白いところだ。
リールの回転数も半回転、1回転、2回転、3回転、5回転など織り交ぜる回数をいろいろと試して、そのときの正解を探る。そして必ず誘ってタチウオにイワシをアピールした後、ピタリと止めて食い付く「間」を与えることを忘れずに。

巻き上げからの取り込み

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シャープにアワセを入れて、魚が掛かったら一定速度で巻き上げる。大型は時に強い引き込みがあるため、その際は巻き上げ速度を緩めて竿のやりとりでいなそう。心の中で「バレるな、バレるな」とドキドキする緊張の時間が続く。

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海面にタチウオが見えたら巻き上げを止めて、竿を持っていない方の手でラインを掴んだら、竿をまず自分の横に置く。そこからテンポよくリーダーを手繰る。このとき絶対にラインテンションを緩めないこと。テンションを緩めた瞬間バレることも多いので要注意!

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波の上下と呼吸を合わせて一気に抜き上げる。このとき、絶対に竿で抜き上げないこと。取り込みの際にテンヤが外れてバレることが多く、竿で抜き上げると弓矢の原理で外れたテンヤが勢いよく飛んでくる。顔にぶつかったり、船にぶつかったり、思わぬケガや事故に繋がる。

 

各メディアでテンヤタチウオのさまざまなメソッドが公開されており、東京湾の釣法に関してはまだまだ発展途上国の釣りだろう。しかし、初心者の方はあまり難しく考えず、きちっとエサ付けをして、誘ってアタリを出して、そのアタリをハリ掛かりに繋げて、最後は丁寧に取り込むという一連の動作さえできれば、時にドラゴンサイズを手にできる可能性も十分にある。なんてったって、今年の東京湾はポテンシャルが高い!
例年であれば「数釣りの夏タチ」「型ねらいの冬タチ」なんて言われてきたが、果たして今年の冬はどうなるのか。私も定期的にテンヤタチウオに通って、その奥深さを堪能・追求したい。みなさんもぜひこの機会に、テンヤタチウオにチャレンジしてみてほしい。だって、本当に面白いからー!

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当日お世話になった船宿、深川吉野屋さん。同宿は大型船を多数所有しており、テンヤタチウオの専門船も出船中。テンヤの号数は30号、40号、50号を潮流に応じて使い分ける。冷凍イワシは1パック500円で購入可能

 

レポーターREPORTER

JIRO
プロフィール:JIRO
東京都出身
父親の影響で3歳から陸っぱり釣りを始め、小学4年生のときに船釣りに初挑戦。その日はハゼ釣り大会だったが、ひどい船酔いで釣りにならず。ただ、最初の一投で釣れた奇跡の1匹で「ブービー賞」に輝く。幼心に“もう一生船釣りはしない“と心に決めたが、それから10数年の時を経て、運命のイタズラか「船釣り専門誌」の編集者になる。それを機に船釣りの魅力にどっぷりハマる。現在は船釣りメディアから離れ、おでかけメディアの営業マンとして従事。仕事の合間を縫って月に1~2度は船に乗り、周りの”船釣り初挑戦者“を巻き込みながら、船釣りの魅力を1人でも多くの人に知ってもらうために奮闘中。
Youtube:ジローちゃんねる