船釣り初心者歓迎!手軽な釣りモノはコレだ No.7 東京湾に一大ブーム到来!
テンヤタチウオの面白さにハマる人が爆増中!

エサのイワシ探しでスーパーマーケット巡り!?
イワシはハリの軸に対してまっすぐが超基本!

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イワシをハリの軸に対してまっすぐなるようにエサ付けする。イワシが曲がっていると海中でイワシが不自然な動きになり、アタリが遠のく原因にもなる

テンヤタチウオでは、付けエサにイワシを用いる。乗船料に含まれる形で「イワシ○尾付き」という船宿もあれば、別途エサの販売をしている船宿もあったり、はたまたエサのイワシを持参の船宿もある。こちらも事前に確認を入れておきたい。
もし、イワシを持参する場合には、自分で入手する必要がある。通常であれば、近所の釣具屋さんで冷凍イワシを購入すればよいが、これだけのブームが起きているだけあって売り切れで入手できないこともある。私もその1人だったが、そうなると近所のスーパーマーケット巡りになるわけだ。

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テンヤタチウオに出会ってから、スーパーに行くと無意識にイワシを探している自分がいる。写真のイワシは1尾当り80円。私のなかで「1尾当り30円~40円」であればお買い得という判断基準にしている。またサイズは20cm以上を選んでいるが、これは「大は小を兼ねる」という観点と、大きい方が「食べ終わるまでに時間が掛かる=長い時間タチウオと勝負ができる」という算段だ
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購入したイワシは、塩を振ってからしばらく置いて余計な水分を出した後、ステンレス製のバットにキッチンペーパーを敷いてから冷凍庫で保管。このとき、5尾ずつ小分けにして冷凍しておくのがおススメ。釣行時はバットごとクーラーボックスに入れて持参し、船上でエサの消費量を見ながら追加で1バットずつ解凍していけるので便利だ

では、イワシを何尾準備すればよいのか。これは正直、その日のタチウオの活性次第! ちなみに私は最低でも20尾ほどは持参するようにしている。また、暑さ厳しい夏には、鮮度管理の観点からイワシエサを入れるための小型クーラーボックスを持参する人も多かったが、これからの時期は気温もグンと下がるため、そこまでデリケートに考える必要はない。
もしエサが足りなくなったら…と心配な人は、多めに持参すればよい。それで仮にたくさん残ったとしても、次回の釣行で使えるため無駄にはならない。

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テンヤにイワシの頭側から順にセットし終えたら、付属のワイヤーで頭側はキツめにグルグルグと3、4回ほど巻き、そのまま尻の方に向かって間隔を広めに巻き付ける。そして、フックのカーブしている部分で折り返して、今度は逆に頭の方向に巻いて、余ったワイヤーをテンヤのヘッドのアイに巻き付けて止める。なお、当日の活性やテンヤのハリに合わせて、大きなイワシは頭をカットして巻き付けてもよい。イワシの背側から見たときに、まっすぐになっていればOK(写真右)
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イワシはドリップ(脂分や水分など)が出やすく、それが船ベリに付着して乾燥すると「あとで掃除するのにひと苦労」なんて話をよく耳にする。そんなときの思いやりアイテムが、100円ショップで購入できるステンレス製のトレーだ。解凍時やテンヤ交換時、常にイワシをトレーの上に置いておけば、イワシ汁で船を汚す心配もない
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同行した高橋賢治さんがハヤブサ「船太刀魚テンヤFA」の幼艶グローで食わせた良型。8対2調子の電動タックルと、7対3調子の手巻きタックルを使い分けながら、良型ぞろいで合計8尾を釣り上げた。途中、ひときわ重量感のある引きでスーパードラゴンサイズが海面まで浮上したが、無念のフックアウト。その大きさは目を見張るほどで…(涙)

テンヤタチウオは食い込ませる釣りにあらず!
“掛けられるアタリ”の判別が難しくて面白い!

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同行した北村順司さんもテンヤタチウオファンの1人。丁寧な誘いでアタリを出して、バシッと掛けた良型タチウオ

大前提として、テンヤタチウオは「掛ける釣り」である。例えるなら、生きイワシを用いたヒラメ釣りのように、しっかりとイワシを食い込ませて、ヒラメの口の中にイワシ(&ハリ)が入ったタイミングでアワセを入れる釣りではない。
仮にテンヤタチウオ釣りがヒラメ釣りのように、イワシをしっかりと食い込ませて釣るスタイルであれば、必然的にタチウオテンヤのハリは下向きではなく上向きのハズ(?)である。では、なぜハリが下向きなのか。それは、食い込ませる釣りではなく「掛ける釣り」であると同時に、タチウオの捕食の習性にも関係がある。

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テンヤのハリが下向きなのは、イワシの下方から食いにきたタチウオを「掛けて釣る」からだ。仮に食い込ませる釣りであれば、ハリは上を向いてイワシの背側からハリ先を出すのが自然だ

そもそもだが、タチウオは「立魚」とも表記される通り、頭を上にして「立ち泳ぎ」のような格好で泳ぎ、自分より上にいる獲物を探して捕食する習性がある。とくにイワシの腹部分が好物で、そこを目掛けて“下から”食い付いてくることが多いのだ。

また、ヒラメ釣りにおける“食い込ませる”という意味合いは、「ハリをしっかりとヒラメの口の中に入れて掛ける」ことだ。「ヒラメ40」なんて格言もあるが、早アワセ禁物の釣りものの代表格でもある。
一方で、タチウオ釣りにおいて大切なことは、ハリをタチウオの口の中に入れて掛けることではなく「イワシに食い付かせて、掛けられるアタリを出す」ということだ。つまり、それが“掛けられる”アタリであればすぐにアワせればよいし、“掛けられない”アタリであれば、もっと掛けやすいアタリを出すために継続して誘わなければいけない。

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私は全長120cmを超えるタチウオを「ドラゴンサイズ」に据えている。時に150cm級の「スーパードラゴン」サイズも潜むのが東京湾のポテンシャルの高さだ

 
掛けられるアタリ、掛けにくいアタリとさまざまだが、まず第一に「アタリを出す」ことが重要。アタリを出せた後に「そのアタリが掛けられるアタリ」なのか否かの判別が必要になる。つまり、ここでアワセどころの見極めの奥深さが露呈することになる。
ちなみに、この釣りではタチウオの頬の部分にハリ掛かりしているのが、アワセのタイミングとして最適という判断基準がある。その理由は、下記の写真を参照してほしい。

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かなり無理があるが、私の手をタチウオだと思ってほしい(笑)。仮にこの位置にタチウオがガブッと食い付いてきたと仮定すると、アワセを入れればタチウオの右頬にフッキングする

掛けられるアタリの代表格は、上へ上へと誘い上げてくるなかで、竿先のテンションが「プッ」と抜けるアタリ。これはタチウオがテンヤ&イワシを食い上げたときに出やすいアタリのこと。ほかには最初は「クンッ」と竿先に出るアタリの後、継続的にアタリが続いて、誘いを続けると「グイーッ」と竿が引き込まれるアタリ。後者がヒラメ釣りでいうところの食い込みのアタリとなる。
逆に掛けにくいアタリは、単発的かつ瞬間的なアタリのこと。決して掛けられないアタリではなく、アワセを入れるタイミングが難しいアタリのことだ。このような瞬間的なアタリが頻発するときは、自然と「アッ」と声が漏れる…。

もしアワセどころで迷ったときは、アタリすべてに積極的にアワせてみるのも一手。ただ、注意したいのは、シャープかつコンパクトにアワセを入れること。前述の通り、タチウオはイワシに対して下からアプローチしてくるため、仮に掛からなくても、コンパクトなアワセでシュッと動くテンヤが次のバイトの誘発にも繋がる。
逆に大きくアワセを入れてしまうと、テンヤの移動距離が大きくなり、その後の継続したアタリが出にくくなる。例えるならば、街で偶然見かけた友人の後ろから肩をトントンと叩いたとき、勢いよく振り払われたらすごく嫌な気持ちになる、それと同じ(?)だ。