キャンプ飯を安全に楽しむために!
知っておきたい「食中毒」の原因と予防策

まだまだ暑い日が続いています。9月に入っても日中は厳しい暑さとなる日があり、残暑のなかでキャンプを楽しむ機会も少なくありません。そんなキャンプの楽しみのひとつが、自然の中で味わう「キャンプ飯」です。炭火で焼く肉や魚、みんなで囲む料理、朝食のホットサンドなど、普段とは違う環境で食べる料理は格別です。

一方で、キャンプでの食材管理は、自宅での調理とは少し勝手が違います。食材をクーラーボックスで運び、屋外で調理するため、温度管理や衛生管理をしっかり行うことが食中毒の予防につながります。「クーラーボックスに入れているから大丈夫」「少しくらいなら常温でも平気」「しっかり焼けば大丈夫」……そんな油断が、せっかくのキャンプを台無しにしてしまうことも。
そこで今回は、キャンプで知っておきたい食中毒のリスクと、キャンプ飯を安全に楽しむための対策を紹介します。

キャンプではなぜ食中毒に注意が必要?

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キャンプで楽しむBBQ。食材の取り扱いには注意したい

9月に入っても、日中は気温が高くなる日もあり、まだまだ食中毒への注意が必要です。
食中毒の原因となる細菌は、高温多湿の環境で繁殖しやすく、多くは20~50℃で増殖しやすいとされ、とくに35~40℃前後では活発になります。秋に向かう時期だからといって、油断はできません。

食中毒は1年を通して発生しています。キャンプでは、自宅とは違って食材を持ち運ぶ時間があり、冷蔵庫のように一定の温度を保つこともかんたんではありません。

キャンプにおいては、

  • 食材を長時間持ち運ぶ
  • クーラーボックスを何度も開閉する
  • 直射日光の当たる場所に置く
  • 炎天下で調理する
  • 手洗いが十分にできない
  • 調理器具の衛生管理が難しい
  • 食材や料理を屋外に出したままにする

など、食中毒のリスクにつながる場面がいくつもあります。

また、クーラーボックスは冷蔵庫ではありません。保冷剤は時間とともに冷却効果が弱まり、開閉を繰り返すことでも内部の温度は少しずつ上昇します。気温が高い日は、思っている以上に食材の温度が上がってしまうこともあります。
そして、もう1つ注意したいのが「しっかり焼けば大丈夫」という考え方です。肉などは中心部まで十分に加熱することが重要ですが、食中毒の原因となるものの中には、黄色ブドウ球菌が作る毒素のように、加熱しても無害になりにくいものもあります。つまり、「加熱すれば大丈夫」だけでは食中毒を完全に防ぐことはできないのです。

だからこそ大切なのが、「付けない」「増やさない」「やっつける」という食中毒予防の3原則です。
手や調理器具から「付けない」。食材を適切に冷やして「増やさない」。肉などを中心部まで十分に加熱して「やっつける」。この3つを意識することで、キャンプ飯の食中毒リスクを減らすことができます。

キャンプで知っておきたいおもな食中毒

食中毒は、食べた直後に症状が現れるとは限りません。数時間後から数日後に発症するものもあり、「昨日食べたものが原因」と思っていても、実際には数日前の食事が原因というケースもあります。代表的な食中毒には次のようなものがあります。

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※発症時期はあくまで目安で、原因となる菌や食べた量、個人差などによって異なります

前述の通り、食中毒は原因によって発症までの時間が異なるため、キャンプの翌日だけでなく、数日後に体調を崩した場合にも食中毒の可能性を考えることが大切です。
とくに肉類は、「新鮮だから大丈夫」ではありません。生肉や加熱不十分な肉には、食中毒の原因となる病原体が付着している可能性があります。原因となる食品や特徴を知っておくことで、普段のキャンプでも予防につながります。

予防の3原則を意識した、今日からできる「食中毒対策」

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生肉を扱う際は使い捨て手袋を着用し、衛生的な調理を徹底する

食中毒予防の基本は、「付けない」「増やさない」「やっつける」の3原則です。ここからは、キャンプで実践したい具体的な対策を紹介します。

【付けない】手洗いと衛生管理を忘れない

キャンプでは、自宅のキッチンのように、いつでも手を洗える環境があるとは限りません。しかし、手には目に見えない細菌などが付着している可能性があります。とくに生肉や魚介類を扱ったあと、そのまま別の食材や食器に触れると、菌を広げる原因になります。

【対策】

  • ●調理前や食事前は手を洗う
  • ●食品用アルコールなどを準備する
  • ●生肉などを扱うときは使い捨て衛生手袋を活用する
  • ●汚れた手袋でスマートフォンや調味料などに触れない
  • ●調理スペースや器具を清潔に保つ
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手洗い用品・食品用アルコール・使い捨て手袋。調理前後の手洗いを忘れずに

手洗いは食中毒予防の基本です。食品用アルコールなどを補助的に活用するのも便利ですが、汚れを落とすことを優先することが大切です。

【付けない】生肉用と取り分け用のトングを分ける

BBQで意外とやってしまいがちなのが、“生肉をつかんだトングで、そのまま焼き上がった肉を取り分ける”こと。生肉には食中毒の原因となる病原体が付着している可能性があります。焼く前の肉に触れたトングをそのまま使うことで、焼いた肉に菌が移る二次汚染につながります。

【対策】

  • ●生肉用と取り分け用でトングを分ける
  • ●焼いた肉を取り分けるトングは別に用意する
  • ●生肉を切った包丁やまな板を、そのままほかの食材に使わない
  • ●使用後の調理器具は洗浄する

BBQなら、トングを2本用意するだけでも、二次汚染を防ぐための分かりやすい対策になります。

【増やさない】クーラーボックスの温度を管理する

キャンプでの食材管理でとくに重要なのが、「クーラーボックス」です。クーラーボックスは便利ですが、冷蔵庫のように自動で温度を一定に保ってくれるわけではありません。保冷剤は時間とともに冷却効果が弱くなり、開閉を繰り返すことでも内部の温度は上がっていきます。

【対策】

  • ●十分な量の保冷剤を準備する
  • ●保冷剤はクーラーボックスの上部に置き、冷気を下へ循環させる
  • ●クーラーボックスの開閉回数を減らす
  • ●飲み物用と食材用を分ける
  • ●傷みやすい食材は優先して低温で管理する
  • ●温度計を使って内部温度を確認する
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温度計を使ってクーラーボックス内の状態を確認

とくに肉や魚などの傷みやすい食材は、できるだけ低温を維持しましょう。保冷剤は上部に置くことで冷気が下へ移動し、クーラーボックス内を効率よく冷やすことができます。
「クーラーボックスに入れているから大丈夫」ではなく、保冷剤の使い方や置き場所、開閉の仕方まで意識して、低温を維持することが食中毒予防につながります。

【増やさない】クーラーボックスを置く場所にも注意

クーラーボックスの性能だけでなく、どこに置くかも重要です。直射日光が当たる場所に置けば、内部の温度が上がりやすくなります。

クーラーボックスは直射日光の当たる場所を避け、できるだけ日陰で管理することが大切です。地面からの熱の影響を抑えるため、クーラースタンドなどを使って地面から離して置くのも効果的です。

【対策】

  • ●タープなどの日陰に置く
  • ●直射日光を避ける
  • ●必要以上に開け閉めしない
  • ●できるだけ涼しい場所で管理する
  • ●地面に直接置かず、クーラースタンドなどを活用する、

「クーラーボックスだから安心」ではなく、冷やした状態をどう維持するかを考えることも大切です。

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クーラーボックスは、置き場所も保冷力を左右するポイント。直射日光を避け、地面に直接置かず、クーラースタンドなどを活用して冷たい状態をキープしましょう

【増やさない】食材や料理を長時間外に出さない

キャンプでは、みんなで料理を囲みながらゆっくり食事を楽しみたいもの。しかし、肉や魚、作った料理などを長時間テーブルに出したままにするのは避けたいところです。とくに気温が高い日は注意が必要です。

【対策】

  • ●食べる分だけクーラーボックスから出す
  • ●調理した料理は早めに食べる
  • ●余った食材は早めに冷やす
  • ●必要以上に料理を作り過ぎない
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食べる分だけ取り出して、料理を長時間放置しない

【増やさない】余った料理を翌日に食べるときは注意

キャンプで多めに作りたくなる料理といえば、カレーや煮込み料理。翌朝に温め直して食べるのもキャンプの楽しみですが、作った料理を鍋のまま常温で長時間放置するのは避けましょう。

【対策】

  • ●余った料理を長時間常温に置かない
  • ●保存する場合は、できるだけ早く冷却する
  • ●浅い容器などに小分けして冷ます
  • ●翌日に食べる場合は十分に再加熱する
  • ●時間が経ち過ぎたものや、少しでも怪しいものは食べない
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煮込み料理も常温で長時間放置しない

とくにキャンプでは、家庭よりも冷却・保存の環境を整えにくいことがあります。「余ったら翌朝食べる」前提ではなく、食べきれる量を作ることも安全対策の1つです。
残った食品は早く冷えるよう小分けにして保存し、時間が経ち過ぎたものは無理をせず捨てることも大切です。

【やっつける】肉や魚は中心部までしっかり加熱

食中毒予防の最後のポイントが、しっかり加熱することです。とくに鶏肉や豚肉、ひき肉などは、表面だけではなく中心部まで十分に火を通すことが重要です。BBQでは炭火の強い火力で表面だけが先に焼けてしまうこともあります。

【対策】

  • ●厚みのある肉は火力を調整して中まで加熱する
  • ●鶏肉や豚肉、ひき肉料理は中心部までしっかり火を通す
  • ●中心部の色や肉汁などを確認する
  • ●生肉を扱った器具を調理後の食品に使わない
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大きな丸鶏も中心温度計を使ってチェック。食中毒予防の目安となる75℃以上まで十分に火を通します

肉の加熱は、中心部まで75℃で1分間以上がひとつの目安です。とくにハンバーグなどのひき肉料理や厚みのある鶏肉や豚肉は、病原体が中心部まで入り込む可能性があるため、中心まで十分に加熱することが重要です。

キャンプ飯を安全に楽しむための持ち物

食中毒対策は、特別な道具をたくさん用意する必要はありません。普段のキャンプ道具に、少し衛生用品を加えておくだけでも違います。

【持っておきたい物】

  • ●クーラーボックス
  • ●十分な量の保冷剤
  • ●クーラーボックス用温度計
  • ●食品用アルコール
  • ●使い捨て衛生手袋
  • ●除菌シート
  • ●キッチンペーパー
  • ●生肉用・取り分け用のトング
  • ●まな板・包丁などの調理器具
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いつものキャンプ道具に、食中毒対策のアイテムをプラス

やってしまいがちなNG行動に気を付けよう!

最後に、キャンプでやってしまいがちな行動をチェックしてみましょう。

  • ×生肉をつかんだトングで焼いた肉を取り分ける →トングを分けよう!
  • ×クーラーボックスを何度も開ける →食材用と飲み物用を分けよう!
  • ×クーラーボックスを直射日光の下に置く →日陰で管理しよう!
  • ×肉や料理をテーブルに出しっぱなしにする →食べる分だけ取り出そう!
  • ×鍋いっぱいの料理を翌朝まで常温放置する →早く冷却・保存し、時間が経ち過ぎたものは食べないようにしよう!
  • ×肉の表面だけ焼いて食べる →中心部まで十分に加熱しよう!

どれもキャンプでは起こりやすいことばかり。だからこそ、「知っておくこと」そのものが食中毒予防につながります。

写真: 15_ 101     左右2分割 回り込み(右)

キャンプで味わう料理は、自然の中で食べるからこそ、いつもとは違った美味しさがあります。せっかくのキャンプでは、食事の時間も安心して楽しみたいものです。
食中毒対策というと少し難しく感じるかもしれませんが、トングを分ける、クーラーボックスを日陰に置く、食べる分だけ食材を取り出すなど、キャンプのなかでできることは意外と身近にあります。

これから秋に向けて過ごしやすい季節がやってきます。いつものキャンプ道具にちょっとした衛生対策を加えて、安全で美味しいキャンプ飯を楽しんでみてはいかがでしょうか。


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レポーターREPORTER

O-chan
プロフィール:O-chan
オートキャンプが大好きな九州在住の50代のオジサンです。おもに九州地方のキャンプ場へ、愛車を自由に転がしながらキャンプを楽しんでいます。グループやファミリーキャンプの際は、私が作った料理が美味しいと喜んでもらえるよう、日々キャンプ飯の勉強をしています。その分、ソロのときは手抜きしまくりですが(笑)。「手軽に本格的」がモットーで、これまでの経験で喜んでもらえたメニューの紹介や九州地方中心のおすすめのキャンプ場の紹介など、何か少しでもみなさんにオートキャンプでの楽しみを伝えることができればよいかな…と思ってます。

 【肩書】
 ・日本オートキャンプ協会インストラクター
  (日本オートキャンプ協会九州支部:https://jac-kyushu.com/