ライトタックルで十分楽しめる「落し込み釣り」の魅力

夏から秋はイワシやアジなどの小魚が増え、魚の活性が高くなる季節。いよいよ「落し込み釣り」シーズンが本格的になってきます。落し込み釣りとは、専用のサビキ仕掛でイワシなどの小魚を釣り、そのまま仕掛に掛かった小魚をエサに大型の魚をねらう釣りのことです。
今回の記事では、普段ジギングやタイラバを楽しむ方であればお手持ちのタックルを使用して十分に楽しめてしまう、「落し込み釣り」の魅力をお伝えしたいと思います。

落し込み釣りの準備
仕掛は専用の物を、ロッドやリールは手持ちの物で十分

まずはロッドとリールとライン

今までやったことのないジャンルの釣りにチャレンジするのは「費用面でハードルが高い…」と思っている方は、結構多いのではないでしょうか。しかし落し込み釣りの場合、ジギングやタイラバを普段楽しんでいる方であれば、とくにロッドやリールを新しくそろえなければいけないなんてことはありません。
お手持ちのタックルで代用が可能です。

02_ タックル

【ロッド】
ロッドはSLJやタイラバ用のロッドでOKです。私が使っているのは10年以上前のモデルのSLJロッドですが、タイラバやタチウオジギングだけでなく、当記事で紹介する「落し込み釣り」でも使用しています。
ロッドの調子は、イワシなどの小魚を掛けるときに竿先が柔らかい方がベイトが付いたことを感じやすく、それでいて、本命の大型魚をしっかりと引き上げられるパワーのあるものがベストです。

【リール】
リールもジギング用のリールでOKです。私が使っているのはカウンター付きのジギングリールです。カウンターなしのものでもPEラインのカラーで水深を判断すればよいのですが、毎回仕掛を落とす度にラインのカラーを見続けるのも大変なので、カウンター付きの方がラクに落し込み釣りを楽しめます。

【ライン】
ラインに関して、私がよく通っている鳴門の遊漁船では、PEライン2号とリーダー8号をメインに使用しています。エリアや遊漁船、ねらう魚によって異なりますので、遊漁船さんに事前に確認しておきましょう。

落し込み釣りの仕掛とオモリ

落とし込み釣りには専用の仕掛が数多く販売されています。遊漁船さんにハリやハリスのサイズ、オモリの重さなどを事前に確認してから準備してください。

仕掛をセットする順番は、リーダーに落し込み専用仕掛を接続し、仕掛の一番後ろのスナップ付きサルカンにオモリを装着して完了です。
私はリーダーを仕掛のスナップ付きサルカンに直接結ばず、リーダーの先に3号くらいのスイベルを付けてからスイベルに仕掛のスナップを接続しています。ベイトとなる小魚が付きにくい場合に、仕掛の(魚皮の)タイプを変えたりハリサイズを小さくするなど、かんたんに仕掛を交換するためです。

ちなみに、仕掛をセットする際の豆知識を2つご紹介しましょう!

03_ 仕掛1

1つ目は、乗船して実際の釣り開始までは、仕掛パッケージのビニール部分だけを開封しリーダーとオモリだけ装着しておきます。
仕掛をパッケージから出さない理由は、サビキ仕掛のハリが小さく4本から6本のハリがあるので、ほかのお客さんが出船準備などで通行するときに引っ掛かってしまいやすいから。また、ロッドホルダーから竿を取り出す際も、荷物に引っ掛かりやすく取り回しに気を遣うからです。パッケージから仕掛をすべて取り出してしまうと邪魔になることが多くあります。タックルの準備後、竿を出すまで時間が空く場合は、パッケージから出さないようにしています。

04_ 仕掛2

2つ目はオモリ部分をジグにすることです。
事前に遊漁船さんに確認が必要になりますが、落し込み釣りでベイトがつかなかった場合、または、ジグによく本命の大型の魚が反応する際には、そのままジギングを楽しむことも可能です。もしジグを装着可能でしたら、根掛かりを防ぐためリアフックは付けず、フロントフックのみで準備してみてください。

そのほか、あった方がよい物は、探見丸などの手元で魚群を確認できるものがあれば便利です。どのくらいの水深にイワシなどのベイトが固まっているのかすぐに判断できるので、ラクに落し込み釣りを楽しめます。仮になくても、船長がひと流しごとにベイトのタナや水深をアナウンスしてくれますので問題ありません。耳を傾けておきましょう。

落し込み釣りの釣り方手順

07_ 釣りシーン

落し込み釣りでは、ポイントに着くと必ず船長からアナウンスがあります。船によってアナウンスの仕方は違うかと思いますが、たとえば私のよくお世話になっている遊漁船さんでは、

①「45m」
②「だいたい30から40くらい」
だとか、
①「38m」
②「底付近」

といった2つを指示するアナウンスが多いです。

私が初めて落し込み釣りに挑戦したときは何を言っているか分からない状態でしたが、「①は水深、②はベイトのいるタナがどのくらいのレンジにあるか」をアナウンスしてくれています。

船長の指示に従って、ベイトのいるタナの前後5mくらいにサミング(指で軽くラインスプールを押さえ)でスピード調整しながら落としていき、ベイトを釣っていきます。うまくベイトが仕掛に掛かったら、竿先や手元がプルプルと小刻みに震えますので、そのまま底まで優しく落としていきます
優しくと表現した理由は、仕掛のハリは小さくベイトを掛けやすい反面ベイトが外れやすくもあり、オモリを海底に勢いよくドスンと落としてしまうと、せっかく付けたベイトが外れてしまうためです。

根掛かりを防ぐため海底から1~2mゆっくりと巻き上げたまま、その場でとにかく待ちます。本命の青物やマダイがベイトに食いつき竿先がグイっと引き込まれれば、あとはアワセて巻き上げるだけです。

01_ ベイト

落し込み釣りでは、いかに仕掛にベイトを付けるかが最大のポイントになります。フリーフォールを繰り返してもベイトがなかなか掛からないときは、

  • ①サミングやメカニカルブレーキを調整してフォールスピードを変えてみる
  • ②指示されたベイトのいるタナ付近でフワッと竿をシャクってみる
  • ③フォール中にサミングで急ブレーキを何度かかけてみる

など、いろいろと試してみるといいですよ。

また、海底付近で本命が食いついてこないときは、ベイトがいるタナでそのまま待ってみると、ベイトを追いかけている青物が食いついてくる場合もあります。先ほど待つだけとお伝えしましたが、ときにはいろいろと攻め方を変えることで釣果も変わりますので、ぜひトライしてみてください。

落し込み釣りの魅力

食物連鎖を体感できる釣法

08_ 釣りシーン2

落し込み釣りの魅力はなんといっても、イワシやアジなどの小魚を自分で掛け、「小魚=ベイト(フィッシュ)」の呼び名の通りエサとして利用し、そのまま大型の魚をねらうところにあります。1つの釣りのなかで小さなベイトが大きな魚に捕食され、大きな魚を釣り人が釣りあげてしまう、まさに食物連鎖を体感できる数少ない釣りの1つではないでしょうか。
また個人的な感想ですが、エサを買って準備していくのではなく、エサを釣ってそのまま大物をねらうといった点もお財布に優しいような気がしています。

釣れる魚がバラエティーに富んでいる!

09_ 当日の釣果

落し込み釣りで釣れる魚は、青物・マダイ・サワラ・ヒラメ・キジハタなどとバラエティー豊かです。いろんな種類の魚が釣れれば、ヒラメとサワラの刺身を同時に味わえるなんてことも可能です。
余談ですが、わが家では前日に食べきれなかった刺身をお茶漬けにする…なんて贅沢もしています。

ライトタックルでも楽しめ、ひじょうに魅力的な釣りである「落し込み釣り」ですが、ひとつ難点なのが、落し込みで楽しめるシーズンがそう長くないことです。落し込み釣りはベイトとなるイワシやアジが同じ場所に固まっていないと成立しない釣りですので、シーズンの序盤や終盤にはベイトを探すためのクルージングで終わってしまうこともあります…。
とはいえ私自身は食物連鎖を体感することにハマっていることと、釣れる魚種が豊富であることから、毎年短いシーズンでも必ずチャレンジする釣りになっていますよ。

そして最後に、落し込み釣りを経験するなかで、イワシやアジがどれだけ多くの魚の胃袋を支えているかよく分かりました。私は高松沖と鳴門沖しか経験がありませんが、きっとほかのエリアでは私が釣ったことのないさまざまな魚種も釣れる、魅惑的な釣法であることは間違いありません。


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レポーターREPORTER

fisherman0123
プロフィール:fisherman0123
うどん県在住
鳴門と瀬戸内海をメインにタイラバやジギングなど、オフショアのルアーゲームをやっています。