おそらく日本人にとってはフナと並んで馴染み深い魚であろうと思われるコイ。だいたいどこの河川や池や沼などに生息しており、日本にいる淡水魚のなかでも、大きくなる魚であることから、コイ釣り師と呼ばれるコイを専門にねらう釣り師がいるくらい人気のある魚です。
実は私もルアーフィッシングに傾倒する前はバリバリのコイ釣り少年であり、小中学生のころは安物のグラス製投げ竿片手に、週末あちこちの地元の川でコイのブッコミ釣りを楽しんだものです。
近年は海外から「ヨーロピアンカープフィッシング」という、新しいコイ釣りのスタイルが逆輸入され、その影響でいろいろと専用タックルや道具がないとできないハードルの高い釣りなのでは? と思われがちですが、そんなことはありません。本来であれば、小学生でも手軽に大物ねらいを身近に手軽に楽しめる釣りであり、現に私もたまにルアーフィッシングのタックルを流用して、コイのブッコミ釣りに興じていたりします。
そこで今回はシーバスタックルを使った、お手軽なコイのブッコミ釣りスタイルを紹介したいと思います。
コイのブッコミ釣りの基本スタイルとは?
パワフルなコイの引きに対応するため、本来であれば長さ3.6m前後の投げ竿に、3500~5000番のスピニングリールを組み合わせたタックルで行うのが一般的ですが(ヨーロピアンカープフィッシングスタイルとなると、さらにロッドポッドやバイトアラーム、ヘアリグといった専用の道具や仕掛、ボイリーといった高価な専用エサがいろいろと必要)、今回はあくまでシーバスタックルを流用したコイのブッコミ釣りを前提として、話を進めていきたいと思います。
ロッド
8ft台(約2.4m)以下のシーバスロッドでもできないことはありませんが、できれば9ft台(約2.7m)以上のシーバスロッドで、なおかつロッドパワーはMLクラス(ミディアムライトクラス)以上のものが理想です。同サイズのシーバスとコイを比較した場合、パワーは明らかにコイの方が上なので、これより下のパワーのロッドだと掛けたコイをいなすことが難しくなります。
リール
とりあえずはナイロンライン4~6号を150m以上巻くことができるラインキャパがある、3000番台以上のスピニングリールがあれば問題ありません。シーバスほど高性能なドラグ性能は必要ないので、現在のスピニングリールであればエコノミーモデルでも必要充分です。ギア比もそれほどこだわる必要はありませんが、パワーファイターのコイが相手ゆえに、巻き取り力が強いローギアモデルの方がやり取りが楽かもしれません。
ライン
ナイロンライン4~6号が基本で、大物が多くいるポイントであれば、7号以上の太さだとやはり安心です。シーバスフィッシングと違って感度はそれほど必要ないので、PEラインを使う必要はありません。ナイロンライン(安価なバルクナイロンラインでOK)を使うようにしましょう。
オモリ
釣りをするポイントにあわせて、10~25号くらいの中通しオモリ(形状は水底で安定する平らな物がベスト)を使用。警戒心の高い巨ゴイや野ゴイをねらうのであれば、使用する前に塩水などに漬けるなどして、表面が光らないようにした方が釣果に繋がります。
仕掛
各釣具メーカーから市販されている、ハリがたくさんついた「吸い込み釣り仕掛」を購入して使うのが一番無難かつお手軽ですが、警戒心の高い巨ゴイや野ゴイをねらうのであれば、1本~2本バリのシンプルな自作による仕掛を使った方がベスト。使うヨリモドシ(スイベル)もステルス性や強度を考慮して、表面に黒いメッキが施されたローリングスイベルを選択した方が、魚に警戒心を与えず、不安なく魚とやり取りすることができます。
ハリスとハリ
ハリスはラインと同じ号数か1・2ランク下のものを使えば問題なし。材質はナイロン、フロロカーボン、ケプラー、ダイニーマ、吸い込み用赤糸など個人のお好みで。長さは30cmくらいがベスト。ハリは伊勢尼かコイバリの13~16号のものを使えば、どんな大物がきても安心です。
そのほかの必要アイテム
ランディングネットはシーバスフィッシング以上に必需品。とくに足場の高いところで想定外の大物を掛けた場合、ランディングネットがないと取り込み時に泣きを見ることに…。普段シーバスフィッシングで使っているものをそのまま流用すればOKです。
そして、ずっと自分でロッドを持っているのであれば必ずしも必要ではありませんが、竿掛けもあった方が釣りが楽になります。あとはアタリを取るために竿先に付ける鈴と練りエサを練るための容器、座るための折りたたみイスも用意しておいた方がいいですね。
エサ
吸い込み釣り仕掛の螺旋(らせん)部分に団子状にして付ける練りエサと、食わせバリに付ける付けエサの2つを用意する必要があります。
練りエサは各メーカーから販売されているコイ釣り用練りエサを使うのが一般的。付けエサは一番ポピュラーなミミズやザリガニの剥き身、小型ザリガニの1匹掛け、タニシ、サナギなどが使われますが、動物性のエサを使うとゲストが釣れることも多く、コイ1本にねらいを絞るなら、やはり昔ながらのサツマイモを主体としたエサを使った方が効果的なことが多いです。意外とオススメなのが食パンの耳をカットしたものや白い部分を練って丸めたもの。コレが意外と釣れます。
ベストシーズンは?
やはり秋の荒食いシーズンを迎える9月から12月半ばまで。あと大物だけにねらいを絞るのであれば、意外とこれからの厳寒期の12月下旬から2月くらいまでが実はベストシーズンだったりもします。
なぜ厳寒期が大物シーズンかというと、体力のある大型の個体であれば、寒さの厳しい時期でも食ってくれるのがその理由です。ちなみに、この時期に釣れるコイはコイ釣り師から「寒ゴイ」と呼ばれ、尊ばれています。
釣り方
コイが通りそうなポイント(コイの通り道)に仕掛を投げ込んでひたすら待ち、練りエサがなくなったところを見計らって仕掛を回収、再度打ち直すという手順を繰り返すのが基本。ゆえに、やたらと遠投をする必要はありません。
また、コイ釣り初心者さんは下手にアワセを入れずに、向こうアワセで魚が掛かるのを待った方がいいかもしれません。そのためにも、置き竿状態にしているタックルからは絶対に目を離さないこと。なぜなら、60cm以上のコイはタックルごと水中に引きずり込むだけのパワーを持ち合わせているからです。
さて、シーバスタックルを流用したお手軽コイのブッコミ釣り、いかがだったでしょうか?
私のコイ釣りの基本は、私が小中学生のころに活躍していた山田勲さんという、有名な野ゴイ釣り師の方の考えやスタイルをベースとしています。そこに私なりの考えや釣りの経験則を組み合わせたものです。いちスタイルとして参考にしてもらえれば幸いです。
近所で手軽に大物をねらうことができるのがコイのブッコミ釣りの魅力。ぜひ一度チャレンジしてみては? それではよいフィッシングライフを。
レポーターREPORTER
ラパラルアーとアメリカンルアー、アニソンとZABADAKとPerfumeの曲をこよなく愛する心優しきオッサンアングラー。さらに競馬や雑学、サブカルチャー系の知識全般にやたら造詣が深い。