ミャク釣りを基本に自由にアレンジ
手軽に楽しむ「ハゼ釣り仕掛」の使い分け

秋も深まり数釣りに、大型ねらいにと佳境を迎えるハゼ釣り。地域によって多少のズレはあると思いますが、近年は冬場の河口域で「落ちハゼ」を釣る人も増えており、ねらい方次第では秋以降も十分に楽しめる釣りモノです。
今回は普段私が使っているハゼ釣り仕掛と、その使い分けについてまとめてみました。

基本はミャク釣り

オカッパリにボート釣り、のべ竿にリール竿、エサ釣りにルアー釣り。身近ゆえに釣り方の選択肢も多いハゼ釣りですが、どんな方法でやるにしても、大前提となるのは底を釣ること。仕掛を底に置いておくことができれば、なんとかなるのがハゼ釣りのよいところです。

02_ ハゼ

そんなハゼ釣りで私が基本としているのは、のべ竿を使った「ミャク釣り仕掛」道糸とハリを自動ハリス止め(またはヨリモドシ)を介して接続し、カミツブシのオモリを打つだけの仕掛です。この仕掛は起伏や水深の変化に合わせて竿を上下するだけで常にエサを底に置いておくことができ、「ブルブルッ」というハゼのアタリを手元でダイレクトに感じられることが魅力です。

こんな仕掛でハリにエサを付けたら、静かにポイントに投入します。食い気のあるハゼがいればすぐにアタリがくるはずですが、少し待ってもアタらない場合は竿を上下して仕掛を躍らたり、手前に引いたりして誘ってみます。

うまく釣るコツは糸を緩めず、オモリが底に付いた状態でやや張り気味にしておくこと。オモリは軽すぎるより、若干重いくらいのほうが底を感じ取りやすくなります。オモリはサイズ違いを何種類か準備しておき、号数を変えたり個数を加減したりして使いやすい重さに調節してください。

深場やピンポイントを攻めやすいブラクリタイプ

ミャク釣りの仕掛を基本に、もう少し深いポイントを探りたい場合は「ブラクリ的な仕掛」を使います。ミャク釣り仕掛との違いはオモリをカミツブシから2号~5号程度の中通しタイプに変えることと、ハリスを極力短くすることです。目印はあってもなくてもかまいませんが、私は面倒なので付けていません。

05_ ブラクリタイプの仕掛
重めの遊動オモリを使ったブラクリタイプの仕掛。右はオモリから下の部分をあらかじめ作っておいた自作仕掛

ブラクリタイプの最大の特長は、ポイントをダイレクトに攻められること。潮の流れが速い時間帯や、水深のあるポイント、テトラポッドの隙間をねらう「穴釣り」など、仕掛を一気にポイントに入れてしまいたい場面で重宝します。

オモリはナツメ型や丸型など中通しオモリ各種を使用。赤やオレンジに着色したものはよく目立って集魚効果も抜群ですが、無着色のものでも問題ありません。また、狭い隙間を攻めることも多いため、効率UPと根掛かり防止の意味でハリスは3cm前後と短くしておきます。

アピール抜群!濁りに強いスプーン+エサ仕掛

逆にもっと浅いポイントや、ハゼが広範囲に散っているポイントでは、広く探れる「スプーン仕掛」を多用しています。

06_ ハゼ釣果
スプーンとエサの併用仕掛で釣れたハゼ。シンプルでよく釣れ、古いスプーンのリサイクルとしても活用している

スプーンを併用したハゼ仕掛は以前も当サイトでご紹介しましたが、実は私が最も信頼しているハゼ仕掛と言っても過言ではありません。

カンタンに言うと、前述したミャク釣り仕掛のオモリ代わりにマス用のスプーン(ルアー)を使う釣り方で、スプーンの色や、ヒラヒラと揺れながら沈む動きがハゼに強烈にアピールします。これはスプーンならではの利点です。また、水が濁ってハゼの視界が効かない状態でもハゼに気付いてもらいやすく、広範囲に散ったハゼを寄せる効果も抜群。ものすごい勢いでハゼが追尾してきます。

07_ スプーン+エサ仕掛
フックの代わりにハリス止めを装着し、ハリス付のハリを短くセット。ハリにはイソメなどのエサを刺して使用する

ちなみに私がスプーンの釣りに使っているタックルはトラウト用のスピニングタイプですが、ポイントが近ければのべ竿も使用。スプーンはトラウトフィッシングで使い古して色が剥げてしまったり、錆びてしまったりしたものがほとんどです。重さは5gを基準に、水深や流れの強さで加減しています。超シンプルでよく釣れるうえに、出番が少なくなったスプーンの再利用にもなるので、ぜひお試しください。

チョイ投げや船釣りで活躍するテンビン仕掛

ハゼ釣り場のなかにはそれなりに川幅があってポイントが遠いところも多く、のべ竿では届かないケースもしばしば。また、ボートで船下をねらうこともあります。そんなときに重宝するのが「テンビン仕掛」。リール竿にテンビン、オモリ、仕掛とつないで使います。

08_ ハゼ釣果2
テンビン仕掛で釣れたハゼ。チョイ投げやボート釣りで多用する仕掛だ

テンビンはいろいろなタイプがありますが、ハゼ釣りに使うならワイヤーが細く、全体的にコンパクトなものがベター。私は通常、アームの長さが15cm以内のものを使っています。

仕掛はハゼ仕掛の2本バリタイプ。ハゼ用のほかにキス用、カレイ用などでも代用できますが、ハリが大き過ぎたり、仕掛の全長が長すぎたりするものはNG。ハゼバリ、キスバリの6~8号で、仕掛の全長が50cm~80cmのものが扱いも楽でおススメです。オモリは4号~8号くらいを多用しますが、根掛かりのリスクを軽減するため、底が取れる範囲でなるべく軽いものを使うようにしています。

09_ 天秤仕掛
市販の2本バリ仕掛とテンビン各種、オモリ。天秤も仕掛もコンパクトなものをチョイスしている

この釣りは置き竿でアタリを待つのも楽しいのですが、アタリがなければ竿を手に持ち、仕掛をゆっくり手前に引いてハゼのいる場所を探すことが肝心。ハゼがたまっているポイントを探り当てれば、2本バリの両方にヒットすることも珍しくありません。

10_ ハゼ釣果3

目で見てアタリを楽しむウキ釣り仕掛

さて、ここまでの仕掛はいずれも手元にくる感触でアタリを取っていくタイプですが、「のんびりとウキの動きを目で追って楽しみたい」という方もいるのではないでしょうか。そんなときは「ウキ釣り仕掛」がおススメです。

ウキ釣り仕掛はのべ竿に向いた仕掛。リール竿で遠くをねらう釣りには向いていません。また、ウキ下の調整によってエサを底にキープするため、水深の変化が激しい釣り場や、底に石や岩などの起伏があるポイントではこまめな調整が必要になります。したがって、砂地でフラットな地形により適しているといえます。

11_ ウキ釣り向きの地形
ウキ釣り仕掛は比較的フラットで根掛かりの少ない地形に向いている

仕掛を入れてもなかなかアタリが出ないときは、エサが底に届いていない可能性があるので、ウキ下を伸ばして探ります。逆に入れるたびに根掛かりする場合はウキ下が深すぎるので、ウキ下を短くして対応します。

この調整が面倒といえば面倒ですが、ピクピクと動いたり、水中に消し込まれたり、ミャク釣りにはない視覚的な楽しさを味わえるのがよいところですね。

仕掛を自作する場合は道糸、ゴム管、ウキ、オモリ、ハリス止め、ハリがあればOK。もちろん、市販の仕掛も売られています。市販の仕掛は長さ別になっているので、購入の際は竿の長さに合ったものを選んでくださいね。

以上、私がよく使う仕掛とその使い分けをご紹介しましたが、ハゼ釣り仕掛はほかにもまだまだ無数に存在します。思いきりこだわってマニアックに楽しむもよし、シンプル&イージーに楽しむもよし。とにかくエサを底に置くことさえできれば、なんとかなるのがハゼ釣りのよいところです。みなさんも自分なりの工夫をして、よい釣りを楽しんでください。

14_ ハゼ釣果4

レポーターREPORTER

プロフィール:高橋 大河
1960年東京都出身。釣り媒体の編集・ライティングを経て現在はフリーランスで活動するライター。得意な釣りは、淡水・海水のルアーゲームをはじめとした身近なライトゲーム全般。間口が広く奥の深い釣りがとくに好き。「釣りは釣れなくても楽しい」がモットー。