未開拓の地「下田・神子元」へ
大物マダイをねらって挑むタイラバゲーム!

6月の半ばに伊豆の先端、下田・神子元周辺のタイラバゲームに挑んできました。

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神子元島。起伏に富んだ地形で構成される海。マダイのみならず青物・根魚など、サイズ・魚影の濃さともに伊豆半島を代表する沖釣り師の夢のスポット

このフィールドはタイラバゲームにおいては未開拓の地。地図で見た通り伊豆半島の先端に位置するため、潮、風、天候の影響を受けやすく、ところどころに切り立った島や磯、根が荒々しく存在するといった、どこか「大物が潜む…神秘的な雰囲気」を醸し出すフィールドです。これまでにこのフィールドを攻めた経験は1回のみ。私の住む同じ静岡にありながらタイラバ船も少なく、情報も乏しい未開のフィールドなのです。
遊漁船・千鳥丸さんに乗せていただいた前回、船長のタイラバ熱と開拓精神に共感した私は、再びエントリーさせていただくことにしました。

大物を予感させる複雑な地形
とにかく状況に合わせてアジャストを!

大物を予感させるフィールドで少しでも可能性を広げるために、今回は2DAY釣行を計画。「釣りに没頭する!」「知らないフィールドに挑み、デカい魚を釣って…そのまま温泉に癒されよう!」そんなプチひとり旅にしたいと…。下田は有名な温泉街でもありますから(笑)。

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そうして訪れた初日、空は今にも泣きだしそうな天気で水温は23℃。ノッコミから回復したマダイがねらえるだろうという予測を立てながらスタートしました。
波、ウネリも残り、複雑な地形が生み出す潮がぶつかり入り乱れる状況。流すラインによっては少しズレただけでも違う方向に船が流れていきます。レンジによっても潮の重みが大きく変わる感じです。浮き上がったり、強烈な抵抗を受けたり、ラインが引き出されたり…。タイラバの組み合わせを間違えるとネクタイ&フックとヘッドの絡みも発生しやすくなり、知らず知らずのうちにチャンスを逃すことになりそうです。「スッと落ちてくれてトラブルが少ない」そんなタイラバが求められます。私がハヤブサ「フリースライド TGヘッド」を愛用しているのはこの理由からです。
遊動式タイラバを使用している以上、ヘッドが先に落下するV字でフォールしていくことになりますが、潮が動かない場合でもフリースライド TGヘッドはフォールで暴れないのでフックを拾うようなことが少ないわけです。使い込むほどに“時合を逃さない”タイラバであることがよくわかります。そんな状況では一投一投に変化を感じ、ウエイトチェンジなどでアジャストすることが常に求められます。

船は水深70~120mを集中して流します。そして、誰よりも釣るイメージを完成させている船長が立て続けに釣りました。「なるほど、魚はいる…」と横目に見ながらほかの同船者の反応も確認。マダイが釣れるペースとしてはひと流し1枚のペースのようです。さらに、船長や常連さんが投入しているネクタイのカラーにも傾向があって興味深いものがあります。ローカルシークレットとでもいうのか、それが効く要因は「水質なのか?」「ベイトなのか?」想像を膨らませながら次なる展開を考えていきました。
その後マダイのバイトは遠のいたものの、カサゴ、アヤメカサゴ、アオハタなどゲストはナイスサイズが連発。フィールドの豊かさを感じながら巻き続けました。

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アヤメカサゴ、カサゴ、ウッカリカサゴなど根魚ラッシュも

精神力が試された、未開拓エリアの洗礼!

しかしながら本命のマダイのバイトは遠く、「強気」と「弱気」、「攻め」と「守り」自分の精神力を試されるかのごとく、さまざまなパターンを試さざるを得ないといった具合。とはいえ、タイラバは一投一投が長いのであっという間に時を進めてくれるわけで…。冗談を言いながら余裕ぶっているように振る舞ってはいましたが、いつの間にか“乗り遅れ組“の一員になっていました(笑)。
「どんな状況でもねらった1枚を釣る」これが私のスタイルです。1枚でイイのですが、なかなかマダイのアタリはきてくれません。

そして「無」のまま完全に追い込まれた11時。ネクタイからタコベイトにシフト。アフターから回復したベイトを補食する魚をねらうべく、タイラバ自体にシルエットを出す作戦に。さらに潮の動きも加わり、船長のポイントチョイス&移動も追い込みをかけるかのようにテンポよくなりました。そして…、移動のため大きく膨らんだラインとタイラバを回収しようと速巻きしたその瞬間に「ドスン!」とロッドが曲がったのです! ロッドの曲がりからしてもナイスサイズ特有のファイト。「これだ! コイツを待っていた」と心の底から嬉しくなる1枚でした。

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フリースライド TGヘッドの125gでアイシャドーが美しい良型のマダイを手にすることができた。スリムな体形からアフター~回復に向かう途中にあった魚なのかもしれません

結局、この日はこの1枚に終わりましたが、自分の思考と技量を超えた魚であったと同時に、船中で釣れたマダイのなかでもワンサイズ大きく美しい魚であったため、翌日に繋がる兆しを感じました。そして、ゼロワンゲームをモノにし、そのわずかな可能性をつかめた気がする瞬間でした。「やっぱり浮いていたか」と…。しかし、その再現性こそ極めて難しいテクであることは、自分自身がよく分かっているわけなのですが…。

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その日の晩は荒波に揺られた疲れを温泉宿で癒し、下田の名物店「とんかつ一(はじめ)」でチカラ飯を食らいました。そして、海を見ながら翌日のビッグワンに備え集中してリーダーを組みなおし、タックルを点検・準備する…。今この時間のその“釣り漬け”環境が嬉しく、純粋に「何も考えず…誰にも止められず…釣りまくった」若き日のことを思い出しました。お陰でその夜は、心地よい疲れであっという間に意識が飛び、ぐっすりと眠りについたのでした。

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下田の名店「とんかつ一(はじめ)」でボリューミーな夕飯を取り、海を見ながら温泉でゆっくり癒される。
「とんかつー(はじめ)」:〒415-0035 静岡県下田市東本郷1丁目13-1 TEL:0558-22-6407