キャスティングマスターへの道
より遠くへ!よりまっすぐ!飛ばす方法とは?

text_広川嘉孝-photo_岳原雅浩

01_ キャストシーン(寄り)

ルアーを投げること。ルアーを飛ばすこと。これすなわちキャスティング!
ルアーフィッシングを楽しむ上で、一番回数をこなさないといけないのが「キャスティング」という基本の作業です。この投げるという動作は、ただ前にルアーを投げるという単純でかんたんな作業と思いきや、意外に難しく慣れるのに時間がかかるのも確か…。

今回は、そんな「キャスティング」の基本を押さえながら、「より遠くへ飛ばす方法」「まっすぐに飛ばす方法」について解説していきます。頑張って文字に書き起こしてみましたので、頭の中でイメージして役立ててみてください。

1.キャスティングで大事な作業は2つ!

02_ キャストシーン(横から)

まずキャスティングには、「より遠くへ飛ばす」という竿の弾力や身体の使い方を必要とする作業。そして、「ねらった場所に投げ込む」というコントロール性を必要とする作業。大きく分けてこの2つがあります。この2つが釣り場の状況やねらう魚といったシチュエーションに応じて重要となり、精度が求められ、釣果へと影響してくるのです。もちろんルアーの重さや使用するタックルによってキャスティング動作の感覚が異なってきたりしますが、まずは基本に忠実に、扱いやすいエギングやシーバスロッドあたりから始めてみるのがよいでしょう。

03_ タックル(複数)

よく初心者の方々から、「まっすぐ飛ばない…」「遠くへ飛ばない…」この2つのことを耳にします。まさにこの2大巨頭が、初心者からベテランまで釣りをしていく上でずっと求められるのです。しかし、最初は難しいと感じるかもしれないこの2つの作業も、慣れてくると意外に身体が覚えてきて、ある程度の段階まではトントン拍子に進んでいくのでご安心を。本当は現場に通って身体で覚えていくのが一番の早道なのですが、まずは理屈と知識から身につけていきましょう。

2.どうしたら遠くへ飛ぶのか?

04_ キャストシーン(後ろから)

気持ちよくシュビーン! とルアーがスムーズに飛んでいくのはすごく気持ちいいことです。この爽快感はキャスティングの魅力的な部分でもあり、飛距離を競うスポーツキャスティング大会が国内外で開催されているほどです。普段の釣り場では、横に並ぶライバルたちよりも遠くへ飛ぶと、それだけで謎に勝者の気分にもなれます(笑)。

 

(1)基本は竿のしなりを活用すべし

遠くに飛ばすために基本となるのは、まず、竿のしなりを十分に活用することです。竿の反発力、復元力を最大限に活かして、腕力をカバーできるようにルアーの重みを竿にしっかりと乗せることが重要となってきます。もちろん最初は自重のあるルアーをチョイスして練習をはじめてください。8ft(フィート)前後のロッドで、20~30g程度のルアーが扱いやすいでしょう。長さのある竿はより遠くへ飛ばしやすいのも事実ですが、慣れないうちは振り抜きのよさを考慮して8ft前後が扱いやすいかと思います。

05_ タックル

そして竿の調子なのですが、先調子(ファーストテーパー)ではなく、胴調子(スローテーパー)気味のアクションの方が覚えやすいかと思います。もちろん一番クセのないレギュラーテーパーでもOK。柔らか過ぎずに、全体的に張りがあって曲がる竿がオススメです。
ロッドのスペック部分を参考にしつつ、ルアー負荷10~30g程度といった竿をチョイスしてみてください。たいていの竿は表記以上の重さのルアーを投げても大丈夫な作りとなっていますが、投げ方や取り扱い方を間違うと、ラインが竿先に絡まり、すぐに折れてしまう可能性もあるので注意が必要です。

06_ ロッドスペック

(2)姿勢はキッチリ!
投げるときは回転力を高めよう

さて、実際の投げ方の手順を見ていきましょう。
まずはリールのベールを起こして、竿先からルアーの垂らしを30cm程度取ります。この垂らしの長さも意外と重要な部分で、短すぎたり長すぎたりすると、投げ方や力み具合によって竿先へラインが絡みやすくなります。まずは30cm程度から始め、慣れてきたら少しずつ垂らす長さを長くしたり、短くしたり、好みに応じて自分なりに調整してみてください。振り子のように投げる「ペンデュラムキャスト」という投法もあるので、上達に応じて自分にあった垂らしの長さを確立させるのがよいでしょう。

07_ 垂らし

次に、片手(利き手)はリール部分、もう片方の手は竿尻を握った状態で竿を後ろに傾け、テイクバックの状態で一度止まってみます。このときに重要なのは、竿尻側の腕の脇が開いていて、リール側の腕の脇が閉まり気味になっていること。きっちりと竿が地面とほぼ平行の状態で後ろにあることです。この平行気味に竿を寝かすことができないと、竿先にルアーやラインが絡まって竿先の破損につながります。

08_ テイクバック姿勢

リールを握った利き腕を後ろにテイクバックした状態から、前に竿を振り出しはじめ、ゆっくりとルアーの重みを竿に乗せていきます。利き手の手首は後ろ方向に寝かせたまま、肘から先の腕を前に動かしていきます。ちょうど左右の手が上下にきたあたり(竿の位置は12時前くらい)、そこから利き手の手首を返して、さらに竿の曲がりを利用しルアーの重みを竿に乗せていくのです。
腰の動きとしては、先の動作に合わせて前方向へと回転させ、遅れてついてくる肩へと回転が伝わります。そして肩から腕へとムチのように回転力を強めていきます。このときにリールと逆の手は竿尻を引くように身体へと引きつけて、さらに竿の曲がりを強めるように補助します。リールを持った利き手を支点に竿尻を引き込むことで回転力を補うのです。
ラインをかけている人差し指は、竿の位置が2時くらいのほどよいタイミングで開き、ラインを解放します。

09_ 一連の流れ1
10_ 一連の流れ(寄り)1
11_ 一連の流れ2
12_ 一連の流れ(寄り)2
13_ 一連の流れ3
14_ 一連の流れ(寄り)3
15_ 一連の流れ4
16_ 一連の流れ(寄り)4
テイクバック姿勢からの一連の流れ。後ろに竿があるのが9時、頭の上が12時、人差し指を離すタイミングが2時と、釣り人を左側から見て時計のハリの位置をイメージしてください

ルアーを飛ばしたあとは、竿をそのままラインの放出の角度に保つのがベストです。投げたあとにすぐに竿を寝かしてしまうと、ガイドに擦れるラインの摩擦で飛距離が少し落ちるのを防ぐためです。
ルアーが着水したら、竿を立てるなり寝かすなりして、リールを巻き糸フケを取っていきましょう。

17_ キャスト後姿勢
18_ キャスト後姿勢2
19_ ライン放出
ラインが自然に放出されるように、キャスト後は竿をラインの出る角度にまっすぐに。着水後は竿とラインをコントロールして糸フケを取りましょう