仕掛屋さんのプチ知識 No.10 仕掛担当が教えてくれた
初心者向けオモリの選び方!オモリってどんなのがあるの?

釣り道具において「仕掛」は、ロッドやリール、ルアーほど脚光を浴びるわけではないが、魚に直接触れるアイテムとして、また、仕掛の良し悪しによって釣果が左右されるなど重要なアイテムだ。そんな仕掛を扱うメーカーならではのプチ知識を、開発担当者に聞いてみる当企画。「これ知ってたらお得」「釣果アップにつながる」「釣りが快適になる」…といったアイデアを紹介しよう。

01_ 清水くん

今回「オモリの選び方」について教えてくれたのは、エギングやライトゲームが大好きな清水さんだ。

エサ釣りに使うオモリの基準

02_ 釣り場でのオモリ(手元・サビキ)

釣りモノに関わらず、いろんな釣りに必要なアイテム「オモリ」。水の中にいる魚の口元にエサやルアーを届けるために、主に「沈める」「飛ばす」ための用途として使用する重要なアイテムだ。エサ釣りにおいても、実にさまざまな形状のオモリを使用するため、初心者さんにとっては選ぶのになかなか苦労するのではないだろうか?

03_ 堤防の足下

清水さんによると、釣りモノによってその重さの基準は異なるが、サビキ胴突仕掛といったタテ方向の釣りでは、「1号(3.75g)=1m」が一つの目安とされているとのこと。たとえば堤防やオカッパリで釣りをする際、足下の水深が5mならば、5号を選べば一先ず安心というワケだ。
しかし状況に応じて、潮が強く流れていたり、極端に水深があり底取りしづらい場合などは、適宜、重めの号数を選ぶとよいそうだ。

04_ サーフ風景

また、遠くに投げて引きずりながらヨコを探る釣り、すなわち投げ釣り(ここではちょい投げ)などでは、7号(26.25g)を基準にオモリを選ぶとよいそうだ。より遠くへ飛ばしたい、また、潮が速く流されてしまう場合などは、やはり重くすればよいとのこと。
(ちなみに、本気の投げ釣りなら15号(56.25g)程度を基準の目安に)

「ただし、竿(ロッド)に対してどのような重さでも大丈夫というワケではないので注意してください」と清水さん。ロッドには「オモリ負荷」というものがあり、「●号(g)~●号(g)まで投げられますよ」と、扱える重さの幅が示されているので要注意とのこと。ロッドに見合わない軽すぎるオモリを使えば感度や操作性が悪く、重すぎるオモリを使えば破損につながる。使う竿のオモリ負荷を確認することが大切とも教えてくれた。

05_ ロッドのオモリ負荷表示
写真のルアーロッドには、ルアーの重さ「7~35g」とある。これがオモリ負荷の表示だ

サビキ釣りや胴突仕掛といった「タテの釣り」

サビキや胴突仕掛を使った釣りでは、おおよそ仕掛の下にオモリを装着する。管付きであることが多く、スナップ1つで交換がカンタンなのが特徴だ。そんな、沈めるために使うオモリについて、清水さんにいろいろと教えてもらった。

06_ 仕掛図(サビキ・胴突)

どのオモリをどう使う?

「まず仕掛の下に付けるオモリは、サビキカゴのようにエサを入れて沈めるものと、管付きオモリ(ナス型・棒状)のように単に仕掛を沈めるものが代表的です。足下を探る、タテ方向を釣る際に使いますね」と清水さん。
「沈めるという用途は同じで、サビキ釣りにはエサカゴとオモリが一体となったサビキカゴを使い、沈めると同時に魚を寄せます。胴突仕掛を使った探り釣りではナス型オモリ棒状オモリを使い、足下に潜むカサゴやメバル、ベラといった居着きの魚をねらいます。魚を寄せるか寄せないか、根掛かりしやすいかしにくいかだけの違いですね」。

号数の選び方

「(前述しましたが)号数の選び方については、『1号(3.75g)=1m』」を基準に、水深に合わせて選んでみてください。そして、潮の速さ(強さ)に対してオモリが軽すぎる(=流れてしまう)場合は、1m=1号よりも重くしてみてください。堤防からの釣りの場合、底取りできるかどうかが一つの判断材料です」と清水さん。
ちなみに、よく分からない場合は、操作性を重視して重めを選ぶとよいそうだ。

09_ 探り釣り仕掛

飛ばして「ヨコに釣る」投げ釣り

続いて、投げ釣りにおけるオモリについても清水さんに伺った。
清水さんによると、投げ釣りでは「仕掛を飛ばすため」といった役割が主なようで、種類としては天秤オモリ中通しオモリの2つがあるそうだ。

10_ 仕掛図(投げ)

どのオモリをどう使う?

「投げ釣りにおいて、天秤オモリと中通しオモリのどちらを使うかは、ねらう対象魚によって(釣りモノによって)使い分けます。
キスやカレイをねらう、いわゆる投げ釣りでは天秤オモリを。チヌやアナゴ、スズキ(セイゴ)、コイなどをねらう、ブッコミ釣りには中通しオモリ(遊動オモリ)を使います。どちらも共通点としては仕掛やハリの上(竿側)に付けて使用しますね」と清水さん。

また、「天秤オモリは海底を引きずる際、少し浮き上がり気味に引いてこれるので根掛かりが少なく、飛ばす際もオモリから仕掛が離れるので糸絡みを軽減できるのが特徴です。一方、中通しオモリはラインとオモリが固定されていないので、魚がエサをくわえた際に食い込みがよいのが特徴です」とも教えてくれた。

号数の選び方

「何号のオモリを選べばよいかについては、釣りをする場所にもよります。堤防で投げ釣りをする場合はちょい投げでOKな場合が多く、サーフでは遠投する必要があります。なので、堤防では基準通り7号(26.25g)を目安に潮の具合をみて調整してみてください。そして、サーフは重めを選ぶ…こんな感じでしょうか」。
一口に投げ釣りといっても、釣りをする場所で魚のいるポイントや条件が異なるため、やや号数選びに迷うかもしれない…。しかし、「飛ばす」「底を探る」という釣りの特性を考えれば、ねらうポイントに届くかどうか、潮の流れに負けていないかといったことを判断材料に、重さ(号数)を調整すればよさそうだ。(潮が速すぎる場合はスパイク付きのオモリもあるそう)

13_ 投げ釣りシーン(天秤とキス)

ウキを使った釣り

メジナをねらうフカセ釣りや、ヘラブナをねらうウキ釣りにおけるオモリの役割は、これまでの「タテの釣り」や「ヨコの釣り」とは少々違うかもしれない。仕掛を沈めるという意味では同じかもしれないが、より自然により優しく、そして仕掛を釣り人の意のままにコントロールするという繊細なもののようだ。そのあたりを引き続き清水さんに教えてもらった。

14_ 磯フカセ釣りシーン

どのオモリをどう使う?

「ここでのウキ釣りは、フカセ釣りとヘラ釣りに絞ってお話させてください。
警戒心の強いメジナやチヌを1本バリでねらうフカセ釣りでは、仕掛の周りにマキエを撒きます。ハリの上のハリス部分にガン玉と呼ばれるオモリを付けるのですが、潮の流れに対し仕掛をマキエと同調させる目的です。ウキの浮力を利用し、いかに自然にサシエ(ハリに刺したエサ)を落としていくか、そんな微調整に使用されます。
そしてヘラ釣りでは、板オモリを使用するのですが、こちらもハリの上にオモリを巻き付ける形で使用し、ウキが浮き上がり過ぎず沈み過ぎずという適切な位置になるよう、浮力調整のために使用します。より細かな調整ができるように、好きな長さにカットして使えるのが特徴です」。

ん~、先ほどまでのサビキ釣りや投げ釣りと違い、かなり繊細な調整にオモリを活用しているようだ。コアなアングラーの多い釣りモノだけに、なかなか奥が深そうだ。

号数の選び方

「オモリの重さは、『浮力に対して選ぶ』『潮や風に対して仕掛を安定させる適切な重さを選ぶ』といったところです。ではどのくらいの重さを選べばいいかというと……、ゴメンなさい。実に細かすぎるので今回は割愛させてください」と清水さん。ナヌ? 教えてもらえない…残念。
しかし、それだけ繊細で、専門的な内容になっていくことは容易に想像できるので、今回の初心者向けオモリガイダンスとしては致し方ない。またの機会に語っていただこう!

17_ ヘラ釣りシーン

ほかにもあるゾ!特殊なオモリ

さて最後に、ほかにもあるいろいろなオモリ、特殊なオモリについても教えていただいた。ザっとご紹介しよう。

18_ 船キス天秤オモリ

●船キス天秤オモリ
船からキスをねらう釣りにおいて、オカッパリのようなヨコの動きだけはなくタテの動きも加わるため、仕掛が潮の影響を複雑に受けて絡みやすい。仕掛を沈める用途以外に、天秤があることで仕掛が道糸に絡みづらく、快適に釣りを楽しむことができる秀逸なアイテム。

●キャロシンカー・テキサスシンカー
こちらは既にエサ釣りではなくルアー釣りのアイテムだが、バス釣りなどで使用されるオモリだ。ワームのような軽いものを遠くに飛ばすためのもので、その意味では投げ釣りのオモリに用途は近い。しかも、中通しオモリのような感覚で使用するので、バスの小さなアタリも敏感に察知しやすい。

21_ ティップラン用シンカー

●ティップラン用シンカー
ティップラン用シンカーは、船からアオリイカをねらう「ティップラン」という釣りに特化したもの。アオリイカをねらうのに、オカッパリからアオリイカを釣る際にも使用するルアー「エギ」を使うのだが、船釣りだけに水深が深い。そのため、エギの頭にヘルメットのように装着し、エギを沈めてあげるという役割。

22_ 貼るオモリ

●貼るオモリ(シールタイプ)
好きなところにペタペタと貼ることができるシールタイプのオモリは、ルアーのチューニングに使用するもの。手持ちのルアーを深く沈めるために使用したり、姿勢を意図的に調整したりと、使い方は自由自在。ちょっとした違いにこだわれば、釣果に大きく影響するかもしれない。

といったわけで「オモリの選び方」はココまで。釣りに詳しいエキスパートなら「な~んだ」な知識かもしれないが、釣りを快適に、スムーズに楽しむための知識としてお役に立てれば幸いだ。
仕掛のスペシャリストとして日々開発に携わるなかで、きっとアングラーのタメになるアイデアがいろいろとあるはず! そんな目から鱗なプチ知識を発掘し、引き続きお届けしていこう。