仕掛屋さんのプチ知識 No.9 仕掛担当が教えてくれた
釣りバリの種類や号数…適切な選び方って?

釣り道具において「仕掛」は、ロッドやリール、ルアーほど脚光を浴びるわけではないが、魚に直接触れるアイテムとして、また、仕掛の良し悪しによって釣果が左右されるなど重要なアイテムだ。そんな仕掛を扱うメーカーならではのプチ知識を、開発担当者に聞いてみる当企画。「これ知ってたらお得」「釣果アップにつながる」「釣りが快適になる」…といったアイデアを紹介しよう。

今回「釣りバリの選び方」について教えてくれたのは、長年仕掛開発に携わる中川さんだ。

釣りモノによって適切なハリがある

02_ 魚の口に掛かったハリ

「まず、釣りバリにはさまざまな種類があり、本当に多いんです。当社だけでもザっと50種類以上あるので、選ぶのに悩むはずですね…(笑)。釣りモノによって使うハリは異なるのですが、それは対象魚によって適切なハリがあるからなんです」と中川さん。いきなり選ぶのが難しそうだ…。

「何が適切なハリかというと、魚の口のサイズやエサの食べ方によって『ハリ掛かりしやすい』『(ハリを)吸い込みやすい』形状が違うので、対象魚の特性に合った形状ということですね。一般的には釣りモノでおおよそ使うハリが決まっているので、釣りモノごとに捉えるといいと思います」。
中川さんによると、釣りモノごとに次のようなハリを使っているとのことだ。

  • ●サビキ釣り(アジ・サバをねらうサビキ仕掛):    アジ・袖
  • ●探り釣り(メバル・根魚・カワハギをねらう胴突仕掛):チヌ・丸セイゴ・チンタ・ハゲ
  • ●投げ釣り(キス・カレイをねらう投げ仕掛):     流線・キツネ
03_ ハゲバリ IMG_2288_2023
一例として、おちょぼ口でエサだけをツンツンと突き「エサ取り名人」ともいわれるカワハギには、ハリ先で掛ける「ハゲ」バリのような特殊な形状のハリを用いる

ハリで考えるより、仕掛で考えた方がラク!

サビキ仕掛にはアジバリ、胴突仕掛にはチヌバリ…。ぞれぞれの仕掛(釣りモノ)に合ったハリがあるのは分かったが、やはり一から選ぶとなるとなかなか大変…。
「ハリにこだわる上級者さんなら、一からハリや糸を選び準備するのもアリでしょう。ですが、ハリ結びや仕掛作りといった専門知識や技術がいるので少々難しいでしょうね。そんなワケで、私たちメーカーがハリだけでなく、ほかのパーツも含め適切な物を選びセットしているのが『仕掛』です。ねらう対象魚ごとに専用設計しているので、仕掛を使ってもらえればハリ種に悩まずに楽ですよ! (宣伝っぽくてスミマセン)」。

04_ 仕掛オンパレ IMG_2259_2023

確かに、中川さんが言うように「ハリを選ぶ」というよりは、「仕掛を選ぶ」方がラクそうだ(笑)。長年蓄積されたメーカー独自の知識や情報から、適切なハリやパーツを選んでくれているのだから間違いないだろう。ハリの種類に関しては、メーカーおススメの物を頼った方がよさそうだ。
となると、あとはハリのサイズを悩むだけだが…。

05_ パッケージハリ寄り1  IMG_2271_2023
06_ パッケージハリ寄り2  IMG_2266_2023
07_ パッケージハリ寄り3  IMG_2267_2023

ハリ号数の選び方!!

釣り場の情報を頼りに。
悩むようなら小さいサイズがベター!

中川さんの話では、ハリの種類に悩むよりハリの号数で悩んだ方がよさそうだが、前提として「今、釣れている魚のサイズに合わせる」ことが大事だそうだ。
「一概に、『この魚のこのサイズは○○号のハリサイズが最適!』とは言えないところが釣りの難しいところですね。季節や場所によっても魚のサイズや食いに違いがあると思います。できれば釣行前に、釣り場の情報を持っている釣具店さんで最近の釣況とともにハリの号数を聞いておくのがオススメです」と中川さん。

08_ パッケージ規格表示(寄り) IMG_2261_2023

「それと、ハリサイズ(号数)に悩むようであれば、より小さいサイズから使うのがベターです。ハリサイズが小さければ、小さい魚が釣れやすいので数釣りが楽しめますし、ボウズで楽しめなかった…なんてことも避けられますから。
ただし、持ち帰らない分まで釣り過ぎるのはやめましょうね。小さい魚はリリースしてあげてください」と中川さんは付け加えてくれた。

釣りモノごとのハリサイズの目安

09_ 釣りバリ(寄り) IMG_2281_2023

ところで、これまでの経験をもとに、(感覚的ではあるかもしれないが)それぞれの仕掛、釣りモノに対して目安となる各ハリの号数も教えてもらったので、下記にてお伝えしよう!

サビキ仕掛

【ハリ:アジ】

  • 豆アジ(10cm未満) 1~3号
  • 小アジ(10~20cm) 4~6号
  • アジ(20cm超)   7号~
10_ イラスト_アジバリ
アジバリ

胴突仕掛

【ハリ:チヌ】…やや太軸・主にカサゴ

カサゴは口が大きいので、正直、何号でもOK。それよりも、魚のサイズやエサの食い、ねらう場所によってハリス号数と合わせてサイズを考えるのがオススメ。
たとえば、「エサの食いが渋ければ、細ハリスに小さいハリ号数」「根ズレが心配なら、太ハリスに大きいハリ号数」といった具合。

【ハリ:チンタ】…細軸で掛かりよい・主にメバル

  • 小メバル(20cm以下) 6~7号
  • メバル(20cm超)   8~9号

【ハリ:ハゲ】

  • カワハギ(15cm前後) 3~4号がスタンダード
  • カワハギ(20cm超)  5号

投げ仕掛

【ハリ:流線・キツネ】

  • ピンギス(10~15cm) 6~7号
  • キス(15~25cm)   8号
  • 大ギス(25cm超)   9号

【ハリ:流線】

  • カレイ(20~30cm) 10~11号
  • カレイ(30cm超)  12号

パッケージの規格表示の読み方

最後に、補足として仕掛パッケージにある「規格表示」の読み方についても中川さんに教わった。覚えてしまえば決して難しくないので、ぜひ仕掛の部位と合わせて覚えて、店頭で仕掛を選ぶ際の参考にしてほしい。

16_ 規格表示の寄り+仕掛図
17_ パッケージ寄り IMG_2286_2023

といったわけで「釣りバリの選び方」はココまで。釣りに詳しいエキスパートなら「な~んだ」な知識かもしれないが、釣りを快適に、スムーズに楽しむための知識としてお役に立てれば幸いだ。
仕掛のスペシャリストとして日々開発に携わるなかで、きっとアングラーのタメになるアイデアがいろいろとあるはず! そんな目から鱗なプチ知識を発掘し、引き続きお届けしていこう。