「釣餌レストラン」第2回のおすすめメニューは箸休め的サイドディッシュ。コーンにグリーンピースは季節や地域限定ながらも、彩りも鮮やかに雑食性のお魚さんの食欲を刺激するスペシャルメニュー。さあ、お早いうちに!
「コーン」チヌ御用達!
サラダのトッピングやスープの具材としてわれわれ人間におなじみのコーンは、雑食性のチヌも大好きな食材だ。焼き肉の付け合わせのトウモロコシや縁日の焼きトウモロコシがわれわれの食欲を刺激するのと同様? エビやカニ、貝類、虫エサなどを主食にするチヌの目にも魅力的に映るようである。
釣りのジャンルとしてはイカダやカセなどからの、かかり釣りや防波堤や磯から海底をねらう紀州釣り、バクダン釣りなど、いわゆるダンゴ釣りがメイン。
いずれも米ヌカと砂をベースにしたダンゴにサシエを包み込み海底まで落とし、割れたダンゴから飛び出したエサを食わせる釣りだ。ダンゴの目的は集魚とチヌが好む濁りを出す役割をするのと同時に、海底までエサを無事に届けることにある。そう、エサ取りからの防御策なのだ。
しかし、いくらダンゴにエサを包んだからといって、水温が高くベラやカワハギなど、いろいろなエサ取りが元気な夏や秋は、ダンゴから飛び出した瞬間にエサ取りの餌食になってしまう。特にオキアミやアケミ貝のムキ身など軟らかいエサは一瞬で食われてしまう。
そこでエサ取りにも食われにくく、少しでもお客様のチヌに食していただく時間をプレゼントできるエサのひとつがコーンなのである。たとえばアケミ貝の丸貝といって貝殻が付いたままをエサにする方法だと、エサ取りには非常に強いわけだが、チヌだって硬いエサを口にしたくないときだってあるかもしれない。そんなときにエサ取りにも強く口に入れやすいエサの代表がコーンというわけだ。
使用するのは缶詰のコーン。ハリには2、3粒を刺す。たったこれだけ。サシエにするだけなら小さな缶詰が1個あれば1日釣りが可能だが、ダンゴに混ぜ込んだりサシエと一緒にひとつまみダンゴのアンコにするなら、大きめの缶詰か解凍した冷凍コーンを使うと経済的だ。
「グリーンピース」タルイチ限定メニュー!
人間でも好き嫌いがはっきり分かれるグリーンピースで魚が釣れるなんて……。初めて緑のお豆さんで魚を釣る話として聞いたのがアメリカはカリフォルニア。ウエストコーストでのオパールアイねらい。オパールアイというのは北米太平洋岸に分布するメジナ科の1種。そう日本のグレ(メジナ、クロメジナ、オキナメジナ)と同属の魚で、何となくオキナメジナに似た印象を受ける。なるほど! 本来は藻食性のメジナ科の魚だからグリーンピースで釣れるのにも納得がいった次第。
ところが日本にもグリーンピースで魚を釣る特異な場所があるのだ。そんな釣り方がスタートしたのはカリフォルニアのオパールアイのウワサが釣り人の間で広まった以後のことかもしれないが、とにかく兵庫県神戸市は垂水、明石海峡の急潮が洗う垂水一文字と呼ばれる沖堤だ。
その垂水一文字で春から秋にかけ、エサ取りの小魚が多い時期にグリーンピースをエサにフカセ釣り。ターゲットはチヌにマダイ。ハリに1粒か2粒かを刺して、オキアミと同様にウキ釣り仕掛を流すのだ。コーンと同じくサシエにするだけなら小さい缶詰があればよいのだが、垂水では配合エサにグリーンピースも混ぜてマキエにも使用するので、冷凍の袋物を使うのが定番になっている。
もともと垂水のグリーンピースもエサ取り対策としてスタートしたはずではあるが、このグリーンピースに食い付く魚が意外と多い。ベラにガシラなども好んで食ってくる。垂水ではかえって藻食性のグレをねらうことは少ないらしい。釣れないことはないそうだが……。
(次回のお品書きは万能エサの定番、オキアミの予定です)