ブラクリってどんな釣り!? No.1 とにかく現場で「ブラクリ」チャレンジ!
ぶっつけ本番!勘を頼りに釣ってみた

ブラクリチャレンジ

海に囲まれた日本は数千種におよぶ魚類が棲息し、そんな恵まれた環境が、世界でも有数の釣りが盛んな風土を育んだのは間違いない。そして魚種の数だけとは言わないまでも釣り方のバリエーションはほかに類を見ないほど豊富である。
ということで今回から3回にわたり日本独特の釣りである(と思われる)「ブラクリ」について考察してみよう。

関西ではあまりなじみがない釣り?
とにかく釣ってみないと分からない

ある日、スタッフDが僕に言った。「ブラクリ仕掛の使い方、釣り方のコツをまとめてもらえませんか?」と。釣り歴50年、釣りメディア取材歴40年の僕、スタッフFなら「二つ返事」で執筆可能と思ったようである。

ところが……そんな僕にも「?」という釣りがあった。それが「ブラクリ」だ。ブラクリが「赤く塗られた紡錘形のオモリのすぐ下にハリがある仕掛」で、それに魚の切り身や虫エサなどをセットし、岩礁帯や防波堤の敷石、テトラ(消波ブロック)などの隙間に落としこんでアイナメやガシラ(カサゴ)などの根魚をねらう釣りというぐらいは知っている……というか、それしか知らないのである。

02 ブラクリ仕掛
03 ブラクリ仕掛、ルアータイプもある
赤やオレンジに塗られたオモリのすぐ下にハリがあるブラクリ。近年はさまざまなタイプが開発されている

長い取材歴で「ブラクリ」を対象にしたことは皆無で、当然自分で試したこともなかったのだ。というのも「ブラクリ」が北海道や東北でとくに盛んな釣りらしい(?)ということで、関西に身を置く人間にとっては「なかなか縁遠い釣りだった」ということにほかならないから……と言い訳しておこう(笑)。

ではナゼいまブラクリか? とスタッフDにたずねると「HEATでブラクリを特集してほしい」という声が多く寄せられているからという…!?
そんなワケで、「とにかく2人で体験してみましょうか?」と読者のリクエストにお応えすることにしたのだ。まずは浅い知識に加えネットなどで得られる情報も参考に、実際に釣り場に出てみることにしたのだ。

淡路島のとある防波堤
波が高くテトラ内が騒がしい……

場所は兵庫県淡路島の東岸。目指したのは足場がよい防波堤で、根魚、とくにガシラが多く潜んでいそうなテトラとの隙間を安全に釣れる場所。ねらうのは満潮前後の時間帯。淡路島の防波堤は全体に水深がないので少しでも潮位が高いほうがよいだろうという判断だ。エサはサンマの切り身、オキアミ、アオイソメの3種を用意した。

04 堤防・防波堤
最初の釣り場に選んだのは淡路島の東岸のとある防波堤。沖側にはテトラがありガシラが潜んでいそう
05a エサ
エサはサンマの切り身、アオイソメ、オキアミを用意
05b ブラクリとサンマの切り身
05c ブラクリとアオイソメ
05d ブラクリとオキアミ
サンマは適当な大きさにカットして。アオイソメはハリいっぱいに刺し長すぎる部分はカット、オキアミは尾羽根のほうから通し刺しした

タックルは僕が1.5mのイカダ竿にチヌ用タイコ(両軸受け)リールにフロロ道糸2号。スタッフDは1mほどの穴釣り用ロッドにメバリングなどで使っているPE0.6号が巻かれた小型スピニングリール。足下のテトラの穴を探るので竿は短い方が扱いやすい(はず)という選択である。

06 筏竿
1.5mのイカダ竿に骨董品(?)のタイコリール。穂先は細く高感度だ
07 スピニングロッド
1mほどの穴釣り用ロッドに小型スピニングリール。テトラの穴を探るなら、こちらのほうが機動力が上だろう

まずは防波堤の表(沖)側に入っているテトラとの隙間に仕掛を落としてみる。選んだブラクリは2人とも4号。「重いより軽めのほうが違和感なく食い込んでくれるに違いない!」という考えだ。

ところが! 実は前日に通過した前線の影響で意外と波が高く、テトラの隙間といえど海水が渦巻き仕掛が安定しない。テトラの隙間のできるだけ深いところまで仕掛を落とすのがコツということなのだが、軽いブラクリ仕掛はあっちにフラフラ、こっちにフラフラし、挙げ句の果てに根掛かり多発。これではガシラも食いつけないだろうとブラクリを重くすると、仕掛は安定するが結果は変わらず…。ガシラからの反応をとらえられない。

08 テトラの穴
テトラの穴の中も波が騒がしく仕掛が安定しない

 

ここで教訓①
「波が高い日、テトラ内が騒がしいときはブラクリ釣りに向いていない」である。

浅い内側の際底にガシラ発見!
しかしワカメの繁茂で釣りにくい

09 堤防の足下
防波堤内側は浅いが際の底にガシラが居た

そこで比較的波静かな防波堤の裏側、切り立ったケーソンの壁面ギリギリに仕掛を落としてみることにした。ひじょうに浅く「こんなところにガシラいるのかなあ?」なんて思ったが、ここでスタッフDが小型だがガシラをゲット。続いて僕にも人生初のブラクリガシラがヒットした。エサはサンマの切り身だ。

10 ガシラ釣果1
スタッフDがファーストガシラをゲット!
11 ガシラ釣果2
スタッフFにも、ついにガシラが!

しかし防波堤裏面にも問題が。ちょうど季節はワカメが繁茂する時期。防波堤際には多くのワカメがあり、仕掛を底まで落とすのに苦労するし、仕掛回収時に何度もブラクリのハリがワカメに引っ掛かる。防波堤表のテトラの切れ目にもワカメがビッシリで、波が静かでも仕掛を落とすのに苦労する羽目に…。

12 テトラの波打ち際
波が納まり潮が引くとテトラ周りにはワカメがビッシリ生えていた。ひじょうに釣りにくい

 

さらなる教訓②
「ワカメや海藻が多い時期、多い場所は、この釣りに向いていない」だ。

平坦に見える敷石のなかにも深い穴!
じっと仕掛を止めて待つ

そうしているうちに波は落ち着いてきたが潮も引き、底が見えるほど浅くなったので、このポイントで粘っても期待はできそうにない。そこで淡路島の西岸に転進することにした。

場所は手すりがある親水護岸。足下にテトラがないのは気にかかるが、敷石が入っているようなのでガシラはいるだとう(きっと)。

13 テラス
淡路島西海岸の親水護岸。足下にテトラはないが敷石があり、その上にガシラがいるかもしれない……

スピニングタックルのスタッフDはブラクリを少し沖に投げて敷石のかけ上がり付近をねらうものの反応が出ない。サンマの切り身だけでなく「ベラでも」とエサをアオイソメにチェンジしても結果は変わらず。

僕はサンマ、オキアミのエサで直下の敷石の上でチョンチョンと探りを入れるが反応なし。しかし、しばらく探り歩いているうちに平坦に思える敷石帯にも仕掛が深く入り込む穴があることを発見した。

14 足下の敷石をねらう
平坦に見える敷石にも所々に深い穴があるのを発見!

そんな深い穴に仕掛を入れ、ひんぱんに竿先でチョンチョンと誘いをかけるがアタリが出ない。「う~ん、ガシラいないのかなあ……」と、まったく誘いをかけずブラクリを穴の底からほんの少し浮かせた位置で休憩していると……。

ピクピクッ! チヌ用ロッドの繊細なソリッド穂先が魚信をとらえた。どうやら魚の活性が高いときは別にして、食いが渋い場合はジッと止めて待つほうがベターのようだ。この釣り方を発見して小型だがガシラを3尾ほどゲット。エサはすべてサンマの切り身だった。

15 ガシラ釣果3
ピタッと止めて待つと小型だがガシラが食ってきた

 

またまた教訓③
「低活性時は穴の底で仕掛を動かさず待つ」なるほど!

一方のスタッフD、同じく敷石の深い穴を探しサンマのエサでねらっていたが、小アタリは数回あったもののフッキングには至らず。というのも使用ロッドの穂先がイカダ竿にくらべ太く硬かったため、ガシラが違和感を感じたのか食い込むまでには至らなかったのかもしれない。ガシラの活性が高くガンガン当たる夏場などは、あまり気にすることはなさそうだが……。

 

これまた教訓④
「高活性、低活性で使用するロッドの穂先は重要」かもしれない。

 

ということでブラクリチャレンジの第1回はなんとなく終了。とりあえず小型だがガシラを数尾釣ることができたわけだが、今回の教訓、反省点を踏まえ、さらなるチャレンジを続けることにしよう。

16 ケーソンの隙間
ケーソンの隙間はガシラの宝庫のはず。次回ぜひともねらってみたい

今回の「穴釣り」的な手法に留まらず、ブラクリはキャストして沖の砂底を探り、キス、ベラ、ハゼなどをねらったり、ケーソンとケーソンの継ぎ目などもねらえる釣りのようなので、釣り場を変えてチャレンジしてみよう。こうご期待!