東北の寒ブリ10kgオーバーをねらえ!
日本海のブリジギング攻略のポイント

冬の東北地方の日本海側の海況は凪日が極端に少なくなります。3~4日ほど大荒れが続いて1日だけ凪の日が到来、そのあとはまた海況が荒れて出船できなくなるというパターンが繰り返されます。そのため、遊漁船の出船確率はとても低いのですが、うまく海況がよい日に当たれば、大型の「寒ブリ」が釣り放題ということもあります。

春夏のブリはマダイやマグロ釣りのゲスト扱いですが、この寒ブリだけは誰もが獲りたい冬のターゲットです。その理由はやはり脂の乗った大型ブリがねらえるからで、多くのジギンガーが10kgオーバーをねらって釣行しています。当記事では、東北地方、日本海側のブリジギングとはどのようなものか? その概要をお届けします。

東北地方の寒ブリジギング概要

01_ ブリ&ジャックアイ 船マキ
丸々とした9kgオーバーの寒ブリ。食い渋ったブリを誘い出したのは「カンタン巻くだけブレードジグ ジャックアイ 船マキ」でした

寒ブリジギングの釣期

02_ ブリ釣果

ハッキリと明確な釣期はありませんが、海況や天候が秋から冬へと変わるころからが寒ブリジギングの釣期となります。
もちろん、ブリの南下がなければ思うような釣果は望めません。海が荒れ、冷たい季節風で表層の海水がかき混ぜられて水温が下がっていくことや、ハタハタなどのベイトの接岸などといった複数の要因が絡み合って、ブリの南下が本格的になっていくものと思われます。日本海沿岸では、雷をともなった荒れ模様の海況がブリの南下の目安ともなっているようです。期間的には11月から始まって翌年1月いっぱいまでが釣期の目安となります。

点在する寒ブリポイント

東北地方の寒ブリポイントは各地に点在しています。太平洋岸でも大型のブリがねらえますが、今回は日本海側の寒ブリポイントをご紹介しましょう。

  • ①青森県小泊沖
    同、風合瀬周辺
  • ②秋田県男鹿周辺
    同、能代沖
  • ③山形県 酒田周辺
    同、鼠ヶ関周辺

このほかにもたくさんの寒ブリジギングのポイントがあります。これらのポイントは、ブリの南下の際に群れが一定の期間留まるポイントとなっている、あるいは、こうしたポイントを経由しながらブリは南下していくものと思われます。
このなかでとくに寒ブリジギングが盛んなエリアは、秋田県の能代沖のポイントである「テリ場」、山形県の酒田周辺の魚礁周りと山形沿岸南部の天然礁「大瀬」周辺、そして新潟県境にある「粟島」周辺といった海域です。

寒ブリをねらうタックル

03_ リール

秋田、山形の海域での寒ブリねらいでは、水深100m程度までを主にねらいます。ねらい方は船を立てるスパンカー流しがほとんどですので、使用するジグウェイトは300gまでを用意すればよいでしょう。一般的には潮が緩いときは150gでも釣りが可能ですが、標準的なジグウェイトは200g程度と思ってよいと思います。ですので、200g前後を使用可能なロッドを中心に、数タックル用意しておくといいでしょう。

魚のサイズは最大15kg程度。ときには15kgを超える大型も出ますので、それなりのタックルが必要です。
PEラインは1.5号~3号、リーダーは10号~18号程度を目安にするといいと思います。使用するジグはロングジグを主体に、リーフ形状のスロー系ジグやブレードを装着したジグなどもあるとよいでしょう。

04_ タックル
ブリは根に潜る魚ではないので、走るときは走らせるファイトでやり取りします。リールのドラグ性能は大切です

参考までに私のタックルをご紹介します。

参考タックル

スピニングタックル

●ロッド

MT661LR(MCワークス)

●リール:

ツインパワーSW 8000HG(シマノ)(GOMEXUS社CJ-SW-T90mmハンドルに交換)

ライン

PE 2号

リーダー

16号

ベイトタックル1

ベイトタックル2

●ロッド

MOZ 623LM(タカミテクノス)

●リール:

マーフィックスN4(アルファタックル)

ライン

PE 2号

リーダー

16号

ベイトタックル3

●ロッド

BORON 56L(ACライズ)

●リール:

BLUE HEAVEN L50HiL(スタジオオーシャンマーク)

ライン

PE 3号

リーダー

16号

寒ブリのパワーは強いですが、ドラグをうまく使ってやり取りすればライトラインでも切られることはありません。むしろ注意が必要なのは同船者とのファイト時のオマツリです。
活性の高いときはダブル、トリプルとヒットも多くなります。ファイト中に魚同士が交錯したときは、慌てずにお互いのライン角度が大きくならないように立ち位置を取り、クロスしたラインの入り方を見て冷静にオマツリの解消に努めてください。慣れないアングラーはPEラインの号数を3号にするなどした方がいいでしょう。

秋、寒ブリをねらった釣行の模様

05_ 寒ブリ

例年、この時期は日本海でのブリをねらうことを楽しみにして、タックルの準備などを進めているところに友人から釣行の誘いを受けていってきました。釣行日は11月中旬。海域は山形、新潟県境に位置する離島の粟島周辺海域です。

当日の状況

東北地方も今年は猛暑が続き、季節の進行も約1ヵ月程度、遅れているように感じていましたが、11月に入り半ばを迎えると、徐々に秋を通り越して一気に冬の様相を呈する天候もチラホラと見受けられるようになりました。
釣行当日も海上から見る高山は山頂に雪を被っていました。前日から釣行していた友人の話では「魚探のアラームがなり、ジグとのコンタクトがあればよく食ってきた」そうで、3人で数本のブリをキャッチできたとのこと。当日の海況は凪で風も弱く、この時期としては絶好の釣り日和でした。

渋いながらも、食い渋りを克服

期待に胸を膨らませてポイントに向かいます。待望の第1投を投入しましたが、気持ちとは裏腹に魚からの反応は全くありませんでした…。魚探の反応も出ない状況で大きくポイントを移動しました。

移動した先では魚探に魚の反応が出るものの、ジグに対してスレているのか、活性が悪いのか、なかなかヒットにつながりません。スピニングタックルのワンピッチジャークでねらいますが魚からの反応はとても少なく、時間ばかりが過ぎていきました。
ワンピッチジャークでの釣りに疲れて手を休めようと、何気に「ジャックアイ 船マキ」200gにジグをチェンジして、船を魚の反応に入れ直して流し始めました。

06_ 口元に掛かったジグ

ジグのボトム着底からリールをミディアムスピードで40回巻き上げて再フォールすると、フォール中にPEラインがスルスルと走り出します。「何かおかしいな」と思い、リールのベールを返してロッドを持ち上げるとヒット。やはり魚でした。この時点でまだ半信半疑でしたが、やや魚がもたついたあと、急に走り始めて大きく首を振り始めました。間違いなくブリクラスのファイトです。慎重にやり取りしキャッチできたのは10kgオーバーの丸々とした寒ブリでした

このあと、さらに9kgオーバーの寒ブリのキャッチに成功、ヒットジグは同じく「ジャックアイ 船マキ」200gでした。同船の友人に船マキを貸してあげると、ジグを交換して数投で友人もブリをヒット、キャッチに成功しました。

07_ ブリ釣果2

やはりブレードが食い気のないブリに効いたのでしょう。あれほどワンピッチジャークで攻めても反応しなかった寒ブリが、短い時間で3本キャッチできたのですから。これはやはりジグの持つ何かがブリにアピールしてヒットにつながったと考えられそうです。

船マキでの釣果はブリだけではありません。ウッカリカサゴアマダイまでヒットしました。ブレードの持つ集魚力はすごいですね。

寒ブリ攻略のポイント

ねらい目の海況

そもそも凪日自体がとても少なくなる冬場の日本海ですが、ブリねらいの絶好のチャンスは海況が大荒れとなったあとの凪日初日に訪れます。まだ多少ウネリが残っている海況くらいが大型ブリをねらうにはベストだと思います。
石川、福井では冬場の雷を「雪おこし」と呼びますが、そんな天気で海が荒れるとブリがよく網に入るので、「ブリおこし」ともいうのだそうです。不思議と釣り日和の凪日には、寒ブリねらいではよい思いをしたことがありません。

食い渋り対策

寒ブリがいるのに食わない状況は多いものです。釣行日もそんな状況でした。そんな日はジグに反応する時合がごく短かったり、ジグの追い方が弱かったりします。ジグを一般的なスピードで操作して掛かるときは問題ありませんが、かんたんに掛からない状況をどうやって打破すればよいのでしょう。
そのポイントは「ジグの移動距離を少なくする」ことです。通常のスピードでのジャークからテンポを落として釣ることが大切になってきます。リールのギヤ比をローギヤのものに替えるなども有効だと思います。大型ブリはとくにそうですが、速すぎるジグの動きには反応しにくくなる場面も多いものです。ジグのアクションは、ゆったりとテンポを遅くするのがよい結果を出すコツです。

釣行当日のようにブレード系ジグのスイミングが効果あることもありますので、1つの釣りパターンにこだわらず、柔軟な対応も必要かもしれません。

一般的な大型ブリねらいでは、アシストフックは大きめのフックのシングル仕様が多いですが、食い渋り対策としてアシストフックをジグの前後に装着、ダブルフックとするなどしてみてください。ジグへの追いが弱くなったブリを相手にする場合は有効になってきます。

バラさないコツ

12_ 釣りシーン
大型ブリとのファイト。ブリは根に潜る魚ではないので走るときは走らせるのがよいでしょう。無理は禁物です

大型ブリのファイトは強烈です。10kgを超えるサイズはなかなかしぶとく、船を見てからも何度も船下に突っ込みます。ブリが走るときは無理をせず走らせてイナしてください。走りと走りの合間には首を振ってハリを外そうともがきます。そのときはロッドを起こすポンピングは控えめにして、リールを巻けるだけ巻き込み距離を詰めるとよいです。
首を振っているときはテンションが緩みやすくハリハズレの原因になることが多いので、リールの巻きでラインテンションが緩むのを防ぐことです。

13_ カスタムハンドル
ロッドのポンピングを利用せずリールのパワーで魚を寄せるには、ハンドルをカスタムしておくのもいいですね

近海で10kgを超える魚がねらえる釣りはそれほど多くありません。大型ブリがねらえる冬シーズンは最大のチャンスだと思います。ぜひ挑戦してみてください。


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レポーターREPORTER

堀籠 賢志
プロフィール:堀籠 賢志
フライフィッシング、バス、シーバス、ロックフィッシュ、フラットフィッシュ、エギング、鮎釣りまで、さまざまなジャンルを釣りこなすマルチアングラー。現在はスーパーライトからヘビークラスまでジギング全般と、メタルスッテを中心としたイカ釣りに取り組む。
東北エリアの面白い釣りを発信することで、震災復興に繋げていきたいという熱い想いのもと活動中。
GOMEXUS社フィールドテスター /tamaTV社フィールドモニター /キーストン社フィールドサポーター などを務める。
ブログ:Anglershighごめのブログ