釣魚御用達!「釣り餌レストラン」 All About Fishing Bait 【第6回のお品書き】虫エサ その1
投げ釣りの定番!マムシとアオイソメ

「釣餌レストラン」第6回のメニューは予定を変更して「投げ釣り」の定番であるマムシとアオイソメ。戻りガレイのシーズンはもう少し先だが、接岸前のカレイをねらえる沖に浮かぶイカダやカセからの「かかり釣り」や手前船頭の「ボート釣り」でも使い方は同じ。ニオイで誘うか動きで食わせるか。またまた「贅沢盛り合わせ」で食欲を刺激するか。カレイたちがズラッと順番待ちしてしまうかもしれない? 行列ができる人気のグルメ。

【マムシ】ニオイで刺激し胃袋わしづかみ!

関西でいう釣りエサのマムシが蛇の蝮(まむし)とは違うのはご存じのとおり。標準和名でイワムシ、関東ではイワイソメ、中国地方ではホンムシと呼ばれている多毛類イソメ科の小動物だ。小動物といっても他のイシゴカイやアオイソメにくらべて最大で体長50cmと大きく太いのが特徴。自然界で生活している状態では動きも活発なのかもしれないが、エサ店で見るマムシは大して動きがなく、またハリに刺す場合、短くカットするので、その状態ではまったく動かない。そんなマムシを魚たちが好んで食う理由は、そのエキスから発せられるニオイ、そして味だろう。

イワムシ
標準和名イワムシは関西でマムシと呼ばれるカレイ釣りの好餌。アオイソメにくらべて高価だが、そのニオイによるアピール力は絶大

カレイの投げ釣りでは、もっとも効果があり実績も高いエサだ。投げ釣りでも、かかり釣りでも、ボート釣りでも4~5cm程度の長さにカットしてハリの軸に通し刺しする。途中でハリ先を抜き、ボディーの半分以上が、その先に出る感じだ。基本的には硬い口(頭)の周辺はカットして使用しないが、あまりにもエサの消耗が激しい場合は、その限りではない。逆に口が小さくエサをかすめ取るのが上手なキュウセンなどを専門に釣る場合は頭も関係なく5mm程度と極小サイズにカットして、小バリの先にチョンと掛けるだけの使い方もできる。

イワムシ
カレイねらいの場合、数cmにカットして写真のようにハリにセットする。硬い頭の部分は食いが渋い場合はカット

とにかくカットした断面からにじみ出るエキスが、このエサの命なので、まったくエサを食われていなくても長時間海底に放置した場合は、新しいものに交換すること。カレイは潮の動き始め、止まる間際などにバタバタと釣れる魚なので、そんな時合いにニオイも味もしないエサを付けっぱなしにしておくと、せっかくのチャンスを逃がしてしまうことになる。

【アオイソメ】思わず飛び付く動きで悩殺

アオイソメ……。筆者が子供のころ(50年近く前)には存在しなかったエサだ。当時、関西でのカレイ釣りのエサといえばマムシと双璧をなすのはコガネムシと呼ばれる標準和名ウチワゴカイだった。マムシにくらべて身は軟らかく動きもあるエサなのでカレイ釣りには最高だったが、現在では取り扱っているエサ店は少ないように感じる。そんなコガネムシに代わってカレイ釣りのポピュラーなエサになったのが大陸から輸入されるアオイソメなのだ。高価なマムシにくらべアオイソメは安価であるため、投げ釣りだけにとどまらず、さまざまなジャンルの釣りに浸透、ポピュラーな虫エサである。

アオイソメ
現代釣りシーンで欠かせない虫エサがアオイソメ。大陸からの輸入種で、いつのころからか大量に出回るようになった。イシゴカイより太く生命力も半端ない。とにかくよく動くのが特徴

カレイ釣りの場合は投げ釣りでも、かかり釣りでも、ボート釣りでも長いまま1匹掛けにするのが基本。口もしくは頭の横からハリ先を入れ、ハリ軸いっぱいのところでハリ先を抜いて長く垂らす。そうすることで海底でアオイソメがクネクネ動き、カレイの食欲に火を付けるのだ。また、さらにアピール力を高めるために数匹を房掛けにすることもある。カレイの活性が高い場合は、そのままで問題ないが、食いが渋い場合は房掛けにした数匹のアオイソメの長さを揃えるようにカットするのがよいとは、カレイ釣りの本場である東北地方での常識らしい。

アオイソメ
カレイ釣りの場合は、アオイソメの動きを生かすために1匹刺しするのが基本。投げ釣りで使用する際はキャスト時にちぎれないよう注意すること
アオイソメ
1匹ではアピール力不足……と感じたら数匹を房掛けにする。アオイソメにマムシも少し加えた「アオマムシ」にすることで動きとニオイの両面でさらにパワーアップ

マムシ同様、アオイソメも魚に食われないからといって長時間、そのままで使い続けるのはダメ。アタリがなくても時折、仕掛を回収し元気がなくなり動かなくなっていたら新鮮なものに交換しよう。最後にアオイソメを使う場合に重宝するのが石粉。クネクネと元気なアオイソメはツルツル滑ってつかみにくいが、石粉をまぶすことで滑り止めになりハリに刺しやすい。キスの引き釣りの主力エサでアオイソメより細くて刺しにくいイシゴカイにはマストアイテムである。ただし、釣り場に持参した虫エサすべてを一気にまぶしてしまわず、小分けにして使用するべし。石粉は虫エサを扱っているショップなら、たいてい手に入る。

石粉のアオイソメ
石粉で虫エサに滑り止め。特にクネクネ動き体表が滑りやすいアオイソメ、イシゴカイに効果的だがマムシに使ってもOK
石粉
石粉は虫エサを扱っている釣具店、エサ店で手に入る。容器から小出しにして使うこと

(次回のお品書きは淡水の生きエビの予定です)