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「釣餌レストラン」第4回のメニューはチヌ釣りではおなじみのボケとカメジャコ。一見、エビのようなイメージだが実はヤドカリに近い種だそうである。ハリに刺すと水中で派手に動くわけでもなく、アミエビのような強烈なフレーバーも感じられないので見た目勝負? いやいや、きっと美味しいに違いない! 食べたことがある人ならご存じだと思うがヤドカリはイセエビとカニの中間のような魔味なので、ボケもカメジャコもきっと間違いない! ってことでシェフのおすすめ!
【ボケ】ふんわりトロける味?
ボケは甲殻類ではあるもののカニのような硬い殻を持っておらず非常にソフト。「旨いんだよなあコレが!」とチヌが舌なめずり? するかどうかは知らないが、とにかく食い込みのよさは抜群で、エサ取りが少ない冬場には威力抜群。イカダやカセからの、かかり釣りや防波堤からブッ込み釣りではポピュラーなエサだ。チヌだけでなくカレイ釣りにも効果絶大! 大ガレイの絶好エサなのだ。
ボケは関西を中心とした釣り人にはなじみがあるエサで、標準和名のニホンスナモグリとスナモグリの2種が混在していると思われる。両種とも名前のとおり海岸の砂泥底に潜って生活しており、産卵期(スナモグリで4~6月)には深紅色の卵巣卵が体外から透けて見えるのが特徴だ。
尾羽根の付け根からハリ先を入れて腹側に抜く通し刺しで使用するのはエビ類と同じ感覚でよい。殻も身も軟らかいので仕掛を遠方へ投入する際は、ふんわりソフトに投げること。それでもエサ持ちが悪い場合は胴体部分を縫い刺しにするとよいだろう。かかり釣りでダンゴを併用する場合も、ダンゴからエサを抜こうと強く引くとハリから外れやすいので注意。
一般的にボケという名前で売られているものは全長7、8cmのものが多いが、小ボケという名前で全長4、5cmのものも売られている。これが単にサイズ違いの同種なのかは申し訳ないが資料がなく定かではない。
【カメジャコ】歯ごたえ抜群!?
カメジャコは標準和名アナジャコのことだ。関西には少ないが伊勢湾あたりではポピュラーなエサで、チヌのかかり釣りや防波堤ではイシダイ狙いの落とし込みなどにも使用される。ボケに比べて殻が硬くエサ持ちがよいのが特徴。ハリへのセットはボケと同じ、尾羽根の付け根からハリ先を入れる通し刺しでよい。また左右の爪(腕)だけをハリに刺すこともある。
岡山県など瀬戸内沿岸では、干潟で巣穴を見つけ、そのなかに書道で使用する毛筆を差し込み待っていると、巣穴を守ろうと異物を押し出そうとする性質から筆が押し出されてくる。アナジャコの腕が見えたところで手づかみで捕獲するという「アナジャコ釣り」が盛ん。また筆の代わりにオトリのアナジャコを使うことで、より捕獲率がアップするというアナジャコの「友釣り」という方法もあるそうな。
アナジャコ料理は岡山郷土の名物なのだ。九州の有明海でも「マジャク」と呼ばれ食用になっている。寿司ネタでおなじみのシャコ(アナジャコとはまったく別種)同様、塩ゆでや酢漬け、揚げ物、煮付けなどで味わうことができるという。ちなみに岡山周辺ではカメジャコを使ったブッ込みでのスズキねらいも古くから盛んな釣りだ。
(次回のお品書きはイカナゴとキビナゴの予定です)