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さまざまな海岸線に囲まれ、周辺に海流が存在することで1年を通して種類豊富な魚介類が手に入る日本。なかでも秋は、寒くなる冬に備えて魚が脂肪を蓄えるため、脂ののった食べ応え抜群の魚が多い季節です。秋が旬の魚にはどのようなものがあるのでしょうか。美味しい食べ方と合わせてご紹介します。
秋といえば「サンマ」!旨味とほろ苦さのやみつきに
秋の味覚の代表格と言っても過言ではないのが「サンマ」。夏にオホーツク海方面で回遊していたものが、秋になると産卵のために南下し旬の時期を迎えます。刀のような見た目と秋に旬を迎えることから、漢字では「秋刀魚」と表記されるほど。
9月から10月に三陸沖から房州沖で漁獲されるものがとくに脂がのっており、最高品といわれています。

購入する際は、皮や身がピンと張ってへたっていないものを選びましょう。背の青みが美しく、口の先と尾の付け根が黄色やオレンジ色をしているのが新鮮な証拠です。
サンマはワタも美味しく味わえるのが特徴。そのため、メジャーな塩焼きや輪切りの煮付けでも、ワタを出さずに身をまるごと調理します。サンマの塩焼きをよりおいしく作る方法としては、購入後にあらかじめ皮の上から塩を振りかけ馴染ませておくのがポイント。絶妙な旨味とほろ苦さが絶品の塩焼きができあがります。

栄養抜群の「サバ」は臭みを消す処理がポイント
サンマと同じく青魚を代表する「サバ」は、5月から6月の産卵期と10月から11月の2度にわたって旬を迎えます。サンマやサバはともにDHAやEPAといった良質な必須脂肪酸が豊富。とくにサバは血合い肉が多いため、鉄分やビタミンA、D、E、B群、タウリンも多く含まれ栄養価の高い魚です。

新鮮なものはサバ特有の模様が鮮やかで、持ち上げても曲がることがありません。鮮度が落ちてくると目が赤くなるため、そのようなものは避けましょう。また、切り身で購入する場合は、血合い肉が黒ずんでないものを選ぶのが正解です。
サバは生臭いのが欠点なため、生臭さを抑えるための処理をすることが大切。人気のサバの味噌煮では、煮込む前に塩を振って20分ほど置き、お湯を回しかけて霜降りに。煮込む際に入れるショウガや酒も臭みを抑えてくれる調味料です。
脂がのった時期のサバは、しめサバにするのもおすすめ。作り方は、両面に身が隠れるくらいにたっぷりの塩を。2時間ほど経ったら塩を洗い落とし、サバの身が少し出るくらいヒタヒタに酢を注ぎましょう。上下を返し40分くらい経ったら、骨や薄皮をはがしてできあがり。
このほかにもサバは、フライや竜田揚げ、唐揚げなどでも美味しく食べられ、料理の幅が広い魚です。

脂がのった「戻りガツオ」は刺身がおすすめ
カツオも1年に2度旬があり、春の「初ガツオ」と秋の「戻りガツオ」と呼ばれています。初ガツオはさっぱりとした味わいである一方、戻りガツオは栄養をしっかりと蓄え身に脂がのっているため、モッチリとした食感が特徴。そのため、戻りガツオは皮をはずして刺身として食べるのがよいでしょう。薬味には定番のおろしショウガが食べやすいですが、ニンニクのスライスや万能ネギなどを散らして食べるのも、脂の旨味が感じられておすすめです。

カツオはビタミンBや鉄分が豊富で、貧血予防効果が。また、抗ストレス作用のあるホルモンを作り出すパントテン酸という栄養素を多く含むため、ストレス解消にも効果が期待できます。
切り身を選ぶときは、赤色が鮮やかで透き通っているものがおすすめです。血合いは朱色で、皮と肉の間にある脂肪はピンク色に近いものが鮮度の高い証拠。また、切り口が虹色に光っているものは鮮度が落ちているため、切り口もしっかりチェックしましょう。

脂控えめな「秋ザケ」はムニエルでふっくらジューシー
サケにはいくつかの種類がありますが、「白ザケ」と呼ばれる日本で水揚げされたサケも秋が旬。身は淡いオレンジ色で、比較的色が薄いことから白ザケと名付けられました。産卵で川に戻ってくる9月から11月ごろの白ザケが「秋ザケ」と呼ばれており、脂は控えめながら旨みが凝縮されているのが特徴です。

秋ザケはさっぱりとしているため、調理法としてはバターや油を使ったムニエルやフライ向き。ムニエルを作る際にはバターをかけながら焼くと、皮はパリッと身はふっくらジューシーな仕上がりになります。バターや醤油でかんたんなソースを添えたり、キノコと合わせると見た目も華やかで旨味もアップ。
また、ホイル焼きなどのように、蒸し焼きにするとふっくらした身に仕上げることができます。にんじんやタマネギ、キノコなどと一緒にホイルに入れ、バターをのせてオーブンへ。しっとりコクのある秋ザケが堪能できますよ。

それぞれの魚の特徴を知ったうえで調理すると、旬の魚をさらに美味しく食べられるでしょう。気になる魚を見付けて、ぜひ味わってみてください。