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日頃、堤防そのほかのオカッパリをメインに釣りをするなかで、「沖に出ればもっと大物が…、もっとたくさん釣れるのになぁ」なんて思ったことはありませんか? 釣り人として「もっと釣りたい」欲が生まれるのは必然です。とはいえ、船に乗るには道具や釣り方、そもそも船の乗り方さえも分からず、少々ハードルが高いのも事実。そんなモヤモヤを抱えつつ次のステップアップを夢見るアングラーに向けて、経験豊富なHEATライター陣が優しく指南してくれる当「船釣りのはじめ方」企画。
第1回目の今回は、堀籠さんが桜の花の便りが届く春から盛んになり、初心者さんでもエントリーしやすい釣りモノの一つ「カレイ釣り」について、おもに三陸沿岸のカレイ釣りを中心に解説してくれます。
東北地方では、冬から春へ釣りモノが変化していくなか、春の訪れを告げるトップバッターがカレイ釣りです。桜の咲く時期からスタートするカレイ釣りを心待ちにするアングラーもたくさんいます。
なかでも三陸沿岸はリアス式海岸で入り江が多く点在し、春になるとカレイたちが産卵を意識して湾内へと乗っ込んできます。さらに西からの季節風が残る時期でも湾内は穏やかなことが多く、釣りがしやすいエリアでもあり、初心者さんでもエントリーしやすい場所なのです。そんな穏やかな場所で楽しめるカレイ釣りのイロハを丁寧に解説してくれていますよ。
のんびりまったりでも奥が深いカレイ釣りの魅力
カレイは煮魚などの惣菜魚にもなっているので知らない方は少ないと思います。日本には北海道から九州まで17属33種のカレイが生息しているそうで、広く釣りの対象魚として親しまれています。今回ご紹介する三陸沿岸では、マコガレイ・マガレイ・ムシガレイ・ババガレイなどがターゲットになっています。
春のシーズンは沿岸部の浅場での釣りがメイン。比較的かんたんに釣れる魚ですので多くのアングラーに人気があります。また、船釣りの入門にうってつけのカレイ釣りですが、この釣りにハマるアングラーも大勢いるほど奥深い釣りでもあるのです。
カレイといってもその種類はさまざまで、それぞれ習性も異なります。沿岸の浅い海域を好むもの、外洋の深い海に生息するもの、食性もゴカイなどの虫類を好んだり、魚をねらう魚食性が強いカレイもいます。同じカレイでも種類ごとに習性が違えば釣り方も変わってきます。こうしたことがカレイ釣りの奥深さに影響を与えているのだと思われます。
カレイ釣りの準備
さて、三陸での船カレイ釣りに初めて釣行するアングラーに向けて、道具を含め、あらかじめ用意しておくことや心構えなどを解説していきましょう。
遊漁船に予約を入れる
釣行する場所や日程が決まったら、早めに遊漁船(船宿)さんに連絡(予約)しておきましょう。連絡方法は遊漁船のHPなどであらかじめ確認しておいてください。HPやブログなどには釣りモノ、釣り方、タックルやエサなどの情報が掲載されていることもありますので、事前にチェックしておくのがよいですね。
最近では電話以外でも「LINE」や「メッセンジャー」などのSNS経由での予約も可能な遊漁船さんもあります。いつでも気軽に予約が入れられるので便利です。とはいえ、早朝や深夜といった時間帯の連絡は控えるようにしましょう。
連絡する際は「釣りモノ(カレイ)」「日時」「人数」をしっかりと確認、伝えることが大切です。さらに使用するオモリの号数や釣り座の位置の決め方、港での船の位置や駐車場の確認などもしておくといいでしょう。また、やむを得ず予定をキャンセルする場合も考慮し、予約時の約束事の確認をしておくことも大切です。
(東北エリアでは、最低でも1週間前までのキャンセルはキャンセル料なしと決めている遊漁船さんが多いですが、これも船によって違いますので要確認です)
カレイ釣りに必要な道具
船カレイ釣りにはさまざまな道具が必要です。ロッドやリール、ロッドホルダー、タックルボックス、クーラーボックスなど大きなものから、ハサミやエサ箱などの小物まで含めると、結構な量になります。これを1人で考えそろえるのは大変ですので、場合によっては釣具屋さんに相談するのがよいでしょう。その際には、釣行エリアや対象魚を伝えて相談するのが大事です。ほかにも、遊漁船に予約を入れる際、船長に釣具の相談をしてみるのもいい方法です。
さらに、遊漁船によってはタックルを貸し出しているところもあります。自分でタックルをそろえる前に、まずはレンタルタックルで釣りを体験してからマイタックルを検討するのもよいアイデアです。遊漁船の船長はタックルにも精通していますのでよいアドバイスがもらえると思いますよ。
ロッドやリールは高価ですので、購入してから後悔するよりも初めから間違いのないものを選びたいものです。
【釣り道具の参考】
- ●ロッド:カレイ釣り用の1.8mクラス(オモリ負荷30~40号)
- ●リール:小型ベイトリール(PE1号200m程度巻けるもの)
- ●ロッドホルダー:「チビラーク(第一精工)」などの小型タイプ
- ●タックルボックス:「ドカットD4500(リングスター)」など
- ●クーラーボックス:容量40~50L程度のサイズ
これらのほか、エサ箱、レインウェアや長靴、救命胴衣(ライフジャケット)、帽子、グローブなども用意しておくといいでしょう。
恥ずかしがらずにいろいろ経験!
事前の確認もしっかりと
船釣りの経験がない(または浅い)アングラーさんは、可能であればその釣りに精通した方と一緒に釣行するのがよいでしょう。しかし、そうした方が周りにいない場合は、まず事前に該当の釣りについて調べておくことが大事です。何事も経験に勝るものはありませんが、前もって知識を入れておくことで、無駄な失敗を多少避けることが可能です。
仮に当日失敗があったとしても、その体験は釣りをするうえで貴重な経験となることでしょう。失敗を恐れていては何もできなくなりますので、勉強だと思ってまずは体験してみることが次につながります。
遊漁船さんによっては、「ビギナーなのでよろしくお願いします」とひと言伝えておけば、丁寧に釣りを教えてくれたり、オマツリなどのトラブル処理に手を貸してくれることがほとんどです。肩肘張らずに釣りを教えてもらう気持ちで挑戦すれば、たいてい上手くいくはずです。
出船可否に関しては、出船予定日の前日19時までには遊漁船さんから連絡があるはずです。あるいは、釣り人側から「前日の●●時以降に出船の可否を確認すること」と取り決めている遊漁船さんもあります。いずれにしても、釣り当日の出船確認はしっかりと行うようにしましょう。またその際、集合時間、集合場所、駐車場の位置などは、再度確認しておくことが大切です。
また、「船酔いが心配」というアングラーも多いと思います。船釣りの経験が浅いアングラーはとくに不安があるかもしれません。船酔い対策に大切なのは体調管理です。睡眠をシッカリととること、消化のよい食事を心がけるなどしておくとよいでしょう。市販の酔い止め薬を服用するのもオススメです。
カレイ釣り、出船前のステップ
出船当日、実際の釣りを始める前に受け付けをし、釣り座を決め、道具を船に持ち込み、釣り座の準備とタックルや仕掛の準備を行います。スムーズに準備できると釣果も違ってきますので、出船までにシッカリと対応しておきましょう。
受付から出船まで
さぁいよいよ釣り当日です。予約を入れた遊漁船(船宿)さんに受付窓口があれば、まずそこで「乗船名簿」への記入を行います。乗船名簿は法律で記載が義務付けられている大切な記録ですので必ず記載しなければなりません。
次に確認するのは当日の「釣り座」です。自分のタックルを船に積み込むためには釣り座の確認が欠かせません。多くの遊漁船では釣り座に番号を割り振っていることが多く、「左舷4」とか「右舷1」などと言われることも多いと思います。
船を後ろから見て右側を右舷、左側を左舷といいます。番号はたいてい前から数えた釣り座の順番となっていることが多く、「左舷4番」とは船の左側の前から4番目の釣り座ということになります。
乗船名簿への記入が終わったら、受付のスタッフ(もしくは船長)に乗船とタックルの運び込みが可能か確認して、荷物を積み込むことになります。積み込みの際はロッドなどの破損や船からの転落などに注意し、同船するアングラーと声を掛け合って協力しながら安全に行いましょう。もちろん救命胴衣の着用もお忘れなく。
釣り座の準備
自分の釣り座にタックルを運び終えたら、さっそく釣りの準備に取り掛かります。まずロッドホルダーを船ベリに取り付けます。カレイ釣りでは通常、釣りをしている最中はロッド持ったまま行いますが、釣りをしないときはロッドを船から落さないようにロッドホルダーに固定し、仕掛やリールを取り替えたり、ハリにエサを付けるなどといった使い方をします。
ロッドホルダーにロッドを固定したら、リールの取り付けや仕掛を道糸に結ぶなどの準備を行います。最後に仕掛にオモリをセットして準備は完了です。その際、ハリの取り扱いには十分に注意しましょう。足元にハリを放置したり、通路にハリがぶら下がっていては危険です。無用なトラブルを避けるためにもハリはしっかりと管理するようにしましょう。