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グレ(メジナ)は周年楽しめる人気ターゲット。エサ取り対策も重要ですが、これからの季節は暑さ対策の準備をしっかり整え楽しみましょう。今回はこの梅雨から夏時期のエサ取り対策についてのお話と、6月中旬に神奈川県は真鶴に釣行した模様をお届けします。
梅雨グレとは…?

メジナは磯からの人気ターゲットで周年楽しむことができます。産卵期は地域によって異なりますが、おおよそ2~5月にかけてです。産卵行動が終わったメジナは、一時的に食いが落ちて深場や岩の陰に潜んでいるため釣りにくくなりますが、6月に入ると、体力が回復したメジナは再び活性が高くなります。
しかしながら、海水温が高くなる7月中旬以降には再び活性が低くなり、また、猛暑が重なることもあり釣りにくくなってしまいます。そうしたことから梅雨の季節は、メジナ釣りに好適なシーズンといえます。
エサ取り対策必至!
6月ともなれば海水温が上昇するため、本命のメジナだけでなく言わずと知れた“エサ取り”たちの活動も活発になります。
エサ取りといっても多種多様であるため一括りにすることはできませんが、マキエや仕掛、また対策グッズ(詳細は後述します)を組み合わせることにより、本命を仕留める確率が高くなると考えています。

厄介なエサ取りたち

釣り場に到着してマキエと仕掛をセットして、いざ釣りを開始しようとマキエを投入すると、どこからともなく無数のエサ取りたちが海面直下に群がってきます。とくにこの時期から晩秋にかけてはエサ取りの動きが顕著になり、釣りバリにオキアミを装着して投入すると、まさに秒殺といった現象が…。小1時間ほどそれが続くと心が折れてしまいそうになります。
では、この時期釣り場でこんな状況に遭遇してしまったら、メジナの釣果を期待することは難しいのでしょうか?
エサ取りの動きを観察しよう!
実は無数に湧いてくる多種にわたるエサ取りたちにも一定の行動パターンがあります。そこで、そんな状況に遭遇してしまったら、今日はもうダメなのかと諦めることなく、一旦竿を置いて海面にマキエを投入して、エサ取りたちの動きをよく観察してみましょう。
まずは沖から来るエサ取りとして、コサバ、タカベ、イワシなどが挙げられます。これらは動きが速く移動範囲が広いという特徴があります。これとは逆に、スズメダイ、チョウチョウウオ、ネンブツダイなどは磯際から出てきます。遊泳速度は遅く、しばらくはその付近に留まっています。

また、これとは異なるタイプとして、アイゴやベラ、カワハギなどは、設定したタナが深すぎるとサシエに食ってきます。そしてクサフグなどのフグ類は、タナも活動範囲も広く、どこにでも集まってきます。
メジナの動きはエサ取りと違う?
メジナの行動パターンを見極める
面白いことに、メジナはマキエを投入するとすぐに湧いてくることは少なく、ここに挙げたエサ取りたちよりも少し時間が経過してから…別の言い方をするなら、マキエが少し沈下したころに浮上してくることが多く見られます。


ほとんど全てのエサ取りたちに共通していることとして、メジナが浮上してくるとほんの僅かな時間ではありますが、マキエに群がっていたエサ取りたちはその場から離れるのです。そして、メジナだけの空間を形成します。ただしこれは、潮の干満や流れなどが影響するため必ず起こるとは限りません。逆にメジナの活性が高いと顕著になります。
先ほどお話しした、魚種によるエサ取りの行動パターンとメジナの行動パターンの違いを見極めることにより、エサ取りをかわしてメジナにサシエを食わせるというコツがあるのです。
解決策その1
これらのことを踏まえて、マキエの投入と仕掛の投入のタイミングを考えてみましょう。マキエを投入して最初に湧いてくるのがエサ取りであるとしたら、そのときサシエを沈下させようとしても、エサ取りの標的になってしまう可能性が大きくなってしまいます。
仕掛の投入がマキエの投入前であれば、サシエのオキアミはエサ取りがウヨウヨしている海中に漂うことになりますから、まずタナまで到達することはありません。そのため、最初にマキエを投入して、最初に群がってくるエサ取りが落ち着いた段階で仕掛を投入する方が、サシエはメジナのタナまで到達しやすくなります。
そのとき、先ほどお話ししたエサ取りが出てくる位置に留意して、あらかじめ足止め用のマキエを投入しておくと、より効果的となります。例として、沖から接近してくるエサ取りに対しては仕掛の投入位置よりも沖側に、足止め用のマキエを投入するといった具合です。
解決策その2
もう一つの方法としては、「オキアミブラック」を併用するという方法。以前にも紹介しましたが、サシエのオキアミを暗く着色することにより、表層近くに群がるエサ取りの視覚を交わす効果が期待できます。

表層にいるエサ取りは、マキエやサシエに対して瞬時に反応します。この瞬時の反応というのは紛れもなく視覚を利用しているため、サシエを暗く着色することによって、サシエはエサ取りに対して目立たなくなります。そしてタナに沈下しながら徐々に色素が抜けるため、メジナのタナに到達したサシエはメジナの視覚に対して良好なアピールをすることとなります。
使い方に関しては、エサバケットに一握りの完全に解凍したオキアミを入れて、オキアミブラックを満遍なく振りかけて10分程度経過すれば、そのまま使用できます。

梅雨の中休み!?
6月中旬に真鶴半島「赤壁」へ釣行

6月中旬、今年一番の猛暑となったこの日、釣り仲間とともに神奈川県は真鶴半島にある「赤壁」というポイントに釣行しました。

当日、マキエに使用するオキアミは国道135号線沿いの左側、小田原厚木バイパスの石橋ICを出て3分ほど走った場所にある「釣侍」で購入。3kg板を1人2枚、解凍をお願いしました。そしてそれにプラスし、メジナ用の配合エサを1袋。サシエはそのプロックから取り分けることにしました。
釣侍 小田原店
住所:〒250-0024 神奈川県小田原市根府川224-1
TEL:0465-29-0373
HP:http://www.turizamurai.com/app/
朝5時に真鶴港にある「石川丸」に到着。船長さんといろいろな会話をしながらゆっくりと支度をして5時半に出船。
目指すポイントは真鶴半島の先端近く、北側にある赤壁というポイント。この日はほかの場所も検討していたのですが、南西からの強風でこの場所に渡礁することにしました。


赤壁は港から10分ほどの切り立った崖の下にある、水深のあるポイントです。
準備を整えマキエを投入しましたが、案の定ものすごい数のエサ取りで、手前側にチョウチョウウオとネンブツダイが。そしてほぼ全体にコサバが群れていて、その間にはクサフグもかなりいるような状況です。

何も施していないオキアミをサシエとして投入すると、ウキには何の反応もなく、あっという間にエサ取りに食べられてしまいました。潮の動きも悪く、マキエを投入し続けてもメジナの姿はなかなか見えませんでしたが、昼近くになると“木っ端”サイズのメジナがちらほらとエサ取りの下に見えるようになったものの、反応がいまひとつです。

いい塩梅に、赤壁は昼前になると崖の後ろ側に太陽が隠れ日陰になります。暑さで朦朧(もうろう)としていましたが、日が隠れ涼しくなったことでやる気が出てきました。
そんななか、先ほどのエサ取り対策を講じていた釣り仲間にアタリが出始め、コッパメジナが食いだしました。私の仕掛もタナに入るようになり、アイゴが連発。どうやらオキアミブラックの効果が出てきたようです。その証拠に、かなりの頻度でサシエが残ってくるようにもなりました。試しに、着色していないオキアミを装着するとやはり秒殺状態で、ウキには何の反応もありません。
ただ残念なことにこの日は終始潮が動かず、小メジナの数釣りで終わってしまいました。

皮肉なことに、潮が上り間際となり片付けを始めたころに、止まっていた潮が沖側(右側)に動くようになりました。すると、コッパメジナの下に良型のメジナが出てき始めたといった具合。潮が動けば釣果に期待が持てることでしょう。
梅雨グレのエサ取り対策はいかがだったでしょうか?
最後に、梅雨は曇天勝ちと思って油断していると、湿度が高く日の当たる磯場では照り返しも加わり、予想以上に暑さを感じるので注意が必要です。お世話になった石川丸の船長さんも「くれぐれもご注意を」と言っていました。
飲料水、塩分補給は多過ぎると思うくらいでも足りなくなりますから、準備を万端にして、梅雨グレを楽しんでください。
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レポーターREPORTER

1960年生まれ、東京都出身
北里大学水産学部(現・海洋生命科学部)を卒業後、大手釣りエサメーカーに入社し研究開発担当として数多くの新製品を手掛けた経歴を持つ。
定年退職後の現在は、「フィッシング彩」代表としてメジナ、クロダイ用の立ちウキ「彩ウキ」を製造・販売するほか、釣り関係の新聞・月刊誌などの執筆、大学や高校での講師としても活躍。代表著書に「釣りエサのひみつ(つり人社)」がある。
趣味はもちろん釣りだが、写真撮影、魚の組織標本作成、釣りに関連したアニメーション作成など多方面にわたる。さまざまな活動を通じて、ハードルの高い釣りのとっつきにくさやその先入観を拭い、できるだけ手軽に楽しんでもらうキッカケづくりができればと考えている。