今から知りたい!エギング STEP UP 釣れにくい時間帯をどう過ごす?
エギングは工夫次第で釣果が上がる!?

01_ 海面を覗く

今までご紹介してきたのは釣るためのアプローチ方法といった内容が多かったかと思いますが、今回は釣れにくい時間帯に注目し、より無駄なく1日を過ごすことでチャンスタイムが広がるといった内容、すなわち、「エギングでアオリイカが釣れない時間帯の過ごし方」をお届けしましょう。

釣りは、ルアーやエサが海中にあってこそヒットチャンスがあります。さらに、釣れる時間帯は限られているので1分でも長くチャンスタイムに、しっかりとアプローチできた人の方が有利です。少しでもチャンスタイムを有効に活用して、釣果アップを目指しましょう!

1.アオリイカが釣れにくい時間帯(=潮止まり)

02_ のんびりとした風景

アオリイカが釣れにくくなる時間帯といわれて、真っ先に思い浮かぶのが「潮止まり」だと思います。潮止まりは釣れにくく、潮止まりの前後がとくに釣れやすいなどとよく耳にするのではないでしょうか?

03_ アオリイカ水中イメージ

基本的には「満潮・干潮の時間帯」を潮止まりと考えて問題ありません。この時間帯は満ち潮と引き潮の折り返しタイミングで潮が動いていない状況。一般的には潮の流れに乗ってアオリイカは回遊してくるので、潮が流れていない潮止まりは必然的に回遊が少なくなります
また、活性が低くなるのでエギに反応を示しにくくなるのがこの時間帯です。潮の流れには酸素を運ぶという役割があります。潮が止まることで運ばれる酸素が減るため、海の生き物が捕食活動をやめてしまい低活性になるそうです。

※厳密には潮汐と潮流は一致しません。場所や地形により異なります。

2.潮止まりの時間をどう活かす?

04_ 休憩風景

潮止まりは釣れないからといって休憩ばかりしていませんか?
もちろん休憩することもとても大切ですが、潮止まりを休憩にあてるだけでなく、次の潮の動き出しのチャンスタイムに向けて、より効果的なアプローチをするための準備にあてたり、次の釣行を有利にするための時間に使えば効果的。もっと釣果アップが望めるようになるはずです。

といったワケで、少しだけそのヒントをご紹介しましょう。

(1)○○を釣るついでに、地形変化をつかむ練習!?

エギングシーンにおいて、潮止まりでも釣果が見込めるターゲットといえば、コウイカ(スミイカ)です。

05_ コウイカ

コウイカはアオリイカと違って活発に泳ぎまわりエサを探すわけではなく、主に砂地を好んで生息し、海底に身を潜めて獲物を待つようなイカです。春ごろと秋から冬にかけてが釣りやすいシーズンで、アオリイカと比較するとやや低水温にも強いタイプ。なので、地域によっては春先のアオリイカが釣れ始める前や、秋の終盤のアオリイカが釣れにくくなったころがねらいやすくなります。
そんなコウイカを潮止まりのタイミングでねらえば、意外にも、着底のタイミングや地形変化を探る練習になるのです。

06_ コウイカ釣果

ねらい方は、エギが底をトントンと叩くようゆっくりと誘います。底が分かりやすくなるように、エギはディープタイプや後付のシンカーを付けてあげるとねらいやすくなります。もし根掛りが多そうであれば、カンナの下半分程度を内側に曲げれば根掛かりも減ります。
しっかり着底の感触をつかみ、砂地、沈み根といった地形の変化を感じ取る。また、着底したエギをコウイカが抱く独特のアタリも分かるようになれば、従来のエギングでいう「ステイ(エギを着底させたまま待つ)」というテクニックでも、同様にアタリが分かるようになるかと思います。
潮止まり時のコウイカねらいは、意外にも初心者が地形変化をつかむ練習に適しているのです。

(2)水深や底質、地形を把握!

先ほどの話とやや重複しますが、とくに、新しい釣り場では地形変化を素早くつかむことがのちの釣果に影響すると考えられます。
沈み根、砂地、海藻など、さまざまな地形の情報を知ることができれば、それぞれに適した戦略を立てることができます。また、根の荒い場所やかけ上がりを把握することで、根掛りを回避しやすくもなります。このように、地形の変化を知ることはとても重要なことなのです。

07_ 変化に富んだ地形イメージ

潮止まりは地形を探るのにとても適しています。理由は単純。潮の影響を受けずにルアーを沈めやすいからです。潮が流れていればルアーもラインも潮の抵抗を受けながら着底するので、潮が速ければ速いほど潮下に流されてしまい、着底が分かりづらくなります。より正確な水深を把握しづらいのです。
しかし、潮が止まっていれば、素直にルアー(エギ)は沈んでいき、着底や水深が把握しやすくなります。

08_ メタルジグ

さらにメタルジグを使うことで、より素早く、広く、正確に探ることもできます。メタルジグで探る利点はエギよりも遠くへ飛ばせることと、硬い物質かつ早く沈むので着底がとても分かりやすいこと、そしてエギよりも底質を感じやすいことです。
チャンスを手にするためにも釣り場での情報量は多い方が有利ですし、根掛かりの不安を事前に排除しておくことで、チャンスタイムに集中力を維持できます。

(3)ポイント移動に活用しよう!

チャンスタイムに釣りをして釣果が得られなかった場合は、ポイント移動の検討を強いられます。しかし、何かの区切りがないとズルズルと時間を過ごしてしまい、気づけば切り上げるタイミングを見失ってしまっていた…なんてこともあるのではないでしょうか。そうならないためにも、「潮止まりまではアタリがなくても釣りをして、潮止まりのタイミングで移動すると最初から決めてしまってもよいかもしれません。
わずかでも潮が流れていると、どうしても「釣れるかも?」と後ろ髪を引かれてしまうので、いっそのこと潮止まりで区切りをつけるのも一つです。

09_  移動

潮止まりの内にポイント移動することで、次の潮の動き出しなど、釣れる可能性のある時間帯に無駄なくアプローチできるようになります。
潮が流れている時間(=チャンスタイム)をフルで釣りにあてるか、休憩や移動時間に食われてしまうか…。当然、フルで釣りをしている方が釣れる可能性、釣れる確率は上がるはずです。タイドグラフを確認しつつ、効率よく釣りをすることで、チャンスを引き寄せることにつながります。

10_ 釣りシーン

今回の重要ワンポイント

  • コウイカ(スミイカ)をねらいつつ、地形変化をつかむ練習
  • 地形変化を探るには潮止まりが最適
  • チャンスタイムをフルで釣りにあてる
11._ アオリイカ釣果

15回目の今回は、釣れにくい時間帯(=潮止まり)の過ごし方をご紹介しました。
釣りってどのカラーを使えば釣れるのか? どのルアーを使えば釣れるのか? など、アプローチのことばかりを考えてしまいがちです。しかし少し視点を変えて、「釣れにくい時間帯をどう有効活用するのか?」といった考えのもとに、その工夫やヒントを探ってみました。
ほかにもさまざまな工夫が考えられると思いますが、今回ご紹介した内容もぜひ参考にしてみてください。

レポーターREPORTER

清水 雅史
プロフィール:清水 雅史
小学生のころ父親に連れて行かれた海上釣堀がきっかけとなり、釣り熱が加速。中学生になると、時間さえあれば近所の野池でバスフィッシングを楽しんでいた根っからの釣り好き。現在は釣具メーカー・ハヤブサにて開発課メンバーとして勤務し、ソルトルアー(エギ・オフショアジグなど)を中心に日々開発を行っている。
プライベートでさまざまな釣りを楽しむなか、とくにエギングとライトゲームを好み、近場だけでなく四国や九州にまで足を運ぶ熱血ぶり。