INDEX
- ● サーモンリバーでサーモンフィッシング
- ● IKEと釣るアメリカ
- ● スタートフィッシング
- ● キング現る
- ● 初心に戻り投げ続けた1日
- ● 長い1日を終えて
HEAT読者のみなさんこんにちは。
これまでは自己開拓の多い、どちらかというと放浪や貧乏旅行に近いスタイルの海外旅を紹介してきた当連載。しかし今回は、ザ・王道の海外釣りともいえる、ガイド付きのサーモンフィッシングに挑戦してみた。しかも同行したのはアメリカのバスフィッシングのトッププロであるマイク・アイコネリ!! 情報量がちょっと多くて自分も困惑気味の、USAツアーの行方やいかに!?
サーモンリバーでサーモンフィッシング
午前4時30分、川の流れがうっすらと聞こえる暗闇の中に、ぽっと明かりが灯っているフィッシングロッジ。レンタルのフライタックルなどの準備をしながら、それぞれが初めて挑戦する釣りに胸を躍らせていた。右も左も分からない釣り場への焦燥感と、ローカルのガイドたちの聞きなれない会話を耳にするだけでワクワクするこの空気感が好きだ。
川の名前はその名もサーモンリバー。オンタリオ湖へと流れ込む川は豊富なキングサーモンの遡上で知られ、他にもスチールヘッドやブラウントラウト、アトランティックサーモンの数も安定していて、ニューヨークエリアを代表する釣り場のひとつ。カナダのキングサーモンに比べると、時間的にも経済的にチャレンジしやすく、キャッチ率も高いそうだ。
ジョン・F・ケネディ国際空港に夜の9時ごろに到着後、夜通しで約6時間のロングドライブだったが眠気なんて何処へやら。冷んやりとした10月の空気を吸うと頭は冴え渡り、「遠くへ来たぞ!」という興奮がどんどん押し寄せてくる。
IKEと釣るアメリカ
比較的仕事で海外に行く機会が多い僕なのだが、実はアメリカにまともに入国し、釣りをしたのは去年のICAST(アメリカのルアー・フライのフィッシングショー的なもの)のときが初めてだった。それまで正直 ”量にものをいわせる” ような、どこか大雑把で高圧的なイメージを勝手にアメリカに抱いていたのだが、外遊びのうまさと、そのときに案内してくれたガイドたちの紳士的な釣りとの関わり方を見てイメージは逆転。すっかりこの国が好きになってしまった。自分にとってまだまだ知らないことが多いけど、なんか「かっこいい国」になったアメリカ。次はいつ行けるかなぁ? と思っていたが、意外とそのタイミングはすぐに訪れた。
今回の旅は、IKE(アイク)の愛称で親しまれるマイク・アイコネリというバスフィッシング界隈では知らない人はいない超有名アングラー!! とご一緒。以前テレビの企画で台湾で釣りをしたのだが、その際にマイクを案内したのが僕の昔の釣り仲間だったことがきっかけ。その後テレビ電話でマイクとロンドンの釣りに関して話をしたり、去年のICASTで初めて会って話をしたこともあり、僕も一緒に招待してもらったのだった。「若い頃は20時間運転して大会で釣りをするなんてザラだったから、6時間なんてあっという間だよ」と語るマイク。確かに終始、動画で見たことのあるハイテンションのまま、気づけばサーモンリバーに到着していた。アメリカ、スケールが大きい(笑)。
スタートフィッシング
ガイドたちと共に早めに川べりへと歩き、コーヒーを飲みながら満天の星空を眺めた。マイクの働きかけもあって、釣り人の数の制限されるプライベートエリアでの釣りができるとのことだった。今回ルアーロッドでなくフライロッドを握っているのは、安定した釣果のため「郷に入れば郷に従え」もそうだけど、普段はやらない釣りを教えてもらうのにこんな素晴らしい機会はないと素直に思ったから。明るくなってからかんたんに投げ方やフライの流し方を教わりスタートフィッシング。
釣りを初めて30分もしないうちに自分より川上で釣りをするマイクのロッドが大きく曲がった。大きな尾ビレが水面を何度も叩き、下流へと一気に走る。しばらくファイトした後に残念ながらバレてしまったが、大本命のキングサーモンだった。「次は誰だ!」一同が色めきだつ。
つきっきりで指導をしてくれる現地ガイドのマットも、「ショータは完璧にやれてるし天候もいい。あとは魚が来るのを待つだけだ」と言ってくれて安心するも、一向に魚からのコンタクトはない。黙々とキャスト&ドリフトを続けていると、不慣れな釣りに”力みすぎている”せいか、気づけばフライラインでロッドを握っている側の人差し指は擦り切れて血が出ていた。絆創膏をもらい、何か違っているのかなぁ? と不安を抱えながらも、とにかく言われた通りに投げ続けた。
ガイドフィッシングを楽しむコツは、とにかく素直に彼らに従うことだと思っている。