海外釣行記モンゴル編 幻の魚イトウ、秋の大型タイメンを追う

HEAT読者のみなさまこんにちは! 前回(ずいぶん前です…)のアーバンフィッシング=都市型の釣りについて書かせていただいて以来の登場となりますショータです。蒸し暑い夏、涼しくならないかなぁなんて思っていたらあっという間に秋めいてきましたね。
今回はそんな日本の初秋を抜け出し、もう冬がすぐそこまで来ていると言わんばかりの風の大地・モンゴルへと釣りに出掛けてきました。都市型の釣りも大好きではありますが、実は国内外問わず「旅の釣り」も結構得意なんですよ? というわけで、HEAT的にはちょっと異色になりそうな海外釣行記の始まり始まり。

1_モンゴルの青空&WEBマガジンHEAT
前回(6月)にモンゴルを訪れた時は青空が多かった

 

1b_チンギスハーン国際空港

成田空港から直行便で約5時間半、首都ウランバートルのチンギスハーン国際空港の外に出たころには、もうすっかり外は暗くなり、9月の下旬でまだ暖かかった日本とは大違いの乾燥した冷たい空気。実は今年の6月に初めて来てから、2回目のモンゴルへの旅。たった3ヶ月前に来た場所、同じ国とは思えない程に雰囲気が違う。現地の人が着ている服も、到着した時の香りまで違う気がしました。

釣り場までが長い! 移動に3日なんて序の口の海外釣り

2_バンでの移動

モンゴルに着いたからといって、翌日からすぐに釣りができる訳ではないのです。釣り場に行くにはまずウランバートルから、かつてのモンゴル帝国の首都であるハラホリン(カラコルム)まで車を走らせてゲルに泊まり、さらにそこから北西へと向かいます。そしてモンゴルに着いてから1日半かけてようやくたどり着いたのは、近年はロシアやロシアとの国境付近が釣り人に人気となり、まるで忘れられたかのようなチョロート川。しかし開口健氏とモンゴルと聞けばピンとくる人も多いのではないでしょうか? そう、今回の狙いはもちろんタイメン。別名アムールイトウとも呼ばれる、世界最大のトラウトの1種。その名のとおり、北海道に生息するイトウと近縁の魚です。ちなみに大きな国道をドライブしていて、釣り場へと簡単にアクセスできたり、頻繁に大きな釣具屋をちょくちょく見かけるのは日本ぐらいだと思います。

3_テントを設営

川に着いたら先ずはテントを張り、明るいうちに寝床を確保。木々は緑から黄色〜オレンジにその葉の色を変えていて、前回に来た初夏とは比べ物にならない寒さが予想されます。秋というより、体感としてはもう冬。遠くに見える山の頂はうっすらと白く雪が積もっています。テント設営後に早速川へと降りてみる。テントを張った、どこまでも続くような大地から深く切り立った谷の中心に川は流れていて、この登り降りも結構いい運動なのです。

前回はそこそこに魚の反応があった場所も、同じ川とは思えないほど水位が高くとにかく寒い! 夕方の2時間程度だけだったけど、この日は同行者に1チェイス1ミスバイトで終了。ひとまずは下見ということで、早めにテントへと戻り焚き火を囲みながら明日以降のプランを立てるのでした。

旅の釣りは、釣りのみにあらず

4_コーヒー

翌日、寝袋から出るのが億劫な寒さのなか目を覚ますと、心なしか昨日よりも山が白くなった気がします。気のせいかな? いつもなら釣り場で豆をひいたりしながら珈琲を楽しんだりするのですが、そんな余裕はない程の寒さ(笑)。さっとお湯を沸かし、日本から持って行った小袋のインスタントコーヒーを飲みながら準備をします。7泊8日の日程で、釣りができるのは約4日間。天候の急変やトラブルの可能性も踏まえて、フルで釣りができるのは3日かな? と話していました。移動の疲れもあって少し寝坊気味のスタート、お昼前までみっちりと釣ってみたけど無反応。なかなか厳しい…。

5_モンゴルの山
6_焚き火

 

7_ムッタ

今回のメンバーはちょっと珍しい組み合わせ。同行したのは、自分達らしいスタイルでフライフィッシングを楽しむことをテーマに、今フライ界隈では「新しい風」になっているFUNSのファウンダーである牟田口氏(以下ムッタ)と、ムッタと共にFUNSとYetina(イエティナ)というアパレルブランドを手掛けるキョウ氏の2人。Yetinaは今や知る人ぞ知る、様々なアウトドアフィールドの第一線で愛される「温かすぎるスウェット」ブランド。フィールドや釣法は違えど、釣りやライフスタイル、モノづくりに対する姿勢に共感できる部分の多い両名との旅。モンゴル行きが決まった7月半ば以来、一番楽しみにしていたと言っても過言ではありませんでした。

7b_崖下を歩く

さて、ドライバーの提案で午後から思い切って移動することに決めたわれわれは、テントを撤収し、30分ほど川沿いを移動。このドライバーも、実は前回宿も取らずにモンゴルへと飛び出し、「ドライバー探し」から始めた時に出会ったという縁。今ではすでに良き友人、道中の融通もききます。しかしプロの釣りガイドではないので、そこばかりは自分達の腕任せ・運任せな旅だったりして…。車から降りると大きな淵が見え、新しい場所はいつも釣れる気しかしません。はやる気持ちを抑えながら気を付けて川へと降ります。

ムッタはフライでじっくりと、僕とキョウ氏はルアーで広く探る感じで釣ってはみるも反応はなし。さらに途中雪がパラついたり雨も降ったり止んだりを繰り返す悪天候。いつもならこの時期は流石にこんなに寒くないとのことで、グローブやニットキャップ、寒冷地用のソックスを用意しておいて本当によかったと思う。寒さで心が折れそうな時は、風の当たらない場所を見つけてお湯を沸かし珈琲を飲む。天候だけを言うとめちゃくちゃ修行みたいな感じに思われるかもしれませんが、あの場所で珈琲を飲みながら川を眺めるだけでも十分に幸せなのも本当なんです。

8_釣り

ようやく顔を見せた秋のタイメン

何故またこんなにすぐモンゴルに帰ってきたのか。それは現地の釣り人が皆口をそろえて「大きいのは秋だ。」と言っていたから。確かに日本のイトウも、夏より秋のイトウの方がでっぷりと太っていてコンディションがいいとよく聞くし、きっとモンゴルのイトウもでっかいのがバンバン食ってくるな! と安易に考えていました(笑)。しかし、そううまくはいかないものですね。

9_川

そんなことを考えながらビッグベイトを巻いていると、かすかに何かに触れたような感じがしました。しかしある程度水深のあるエリアだったので、岩に当たったとかではないはず。もう少し深い場所を泳ぐルアーにチェンジして何度か流れの中を通すと、また「パン」と弾くようなアタリ。間違いない、これは魚だ! マス類は特に、ちょっとした色の変化やルアーを泳がせるレンジ(深さ)の違いであっさりと口を使うなんてことも珍しくない魚だと思っていて、しつこくコースを変えながらルアーを投げ続けます。やっぱり気のせいかな? なんて自分を疑うのも束の間、ドン! と確かな手応えと重みが糸に乗ります。一気に早まる鼓動、「ムッター!来たー!!」、そう叫ぶと少し離れたところにいたムッタがカメラを片手に走ってくる。やっと姿を見せたなタイメン!

10_念願の1尾 タイメン

下流へと何度も走られながらもようやく浮いてきたタイメン、こんなに引くの?? と思っていたら、何と頭の後ろぐらいにスレ掛かり。どうりで引くわけだ。掛かるまでの経緯を考えるに、ルアーに食いつこうとして背掛りになるようなヤマメみたいな感じ。あんまり大きくないのに、なんて思っていたけれど寄せて見るとなかなかに大きな魚。簡単に計測したらメーターは悠に超えていました。やっぱり秋のタイメンは太く、大きく見えた。スレとはいえ、ひとまず魚の顔を見ることができて一同安心。本当に釣れるのかどうか心細くなっていたタイミング、寒さも吹き飛ばす最高の1匹には違いありませんでした。