釣りの対象、すなわち釣り人が愛して止まない「お魚」さんたちはわれわれの大切なお客様。そう! お客様は神様です! というワケでご満足いただける各種メニューを取りそろえまして「釣り餌レストラン」本日開店です! これで大入り満員、入れ食い間違いなし!? 第1回はヘルシーなサラダメニューからご賞味いただきます!
「アオサ」グレ御用達!
人間に食の好みがいろいろあるように魚たちにも、それぞれが主食としているエサがあるのはご存じのとおり。肉食性の魚がいれば草食性の魚だっている。ということで、まずはサラダ好き!? 草食性の魚たちのフェイバリットメニューから。
最初のお客様はグレ(メジナ)。磯や防波堤のフカセ釣りでグレをねらう場合、現在はオキアミが主流だが、実はれっきとした草(藻)食性の魚なのだ。グレのブラシ状の歯を見ても分かるように、海底の岩に生えた藻類をこそぎ取るようにして食べるのだ。
じゃあ草(藻)食性のグレがなぜオキアミで釣れるのかというと、自然界ではいろいろなものを食べないと生きていけないから。藻類がまったく摂取できない環境に置かれた場合、それしか口にしないとなると死滅してしまう。そこでグレに限らず多くの魚は、ある程度は雑食なのだ。
グレ釣りの場合、代表的な植物性のエサがアオサやノリ類だ。近年では聞くことも少なくなったが古い磯釣りの教科書にはハバノリでグレを釣る方法が、しっかりっと記載されている。その流れを汲んで近年では淡路島の防波堤や若狭方面や中南紀方面の磯ではアオサをエサにグレを釣る方法が現代にも受け継がれている。
磯では足下の岩に生えているアオサをむしり取ってハリに巻き付けるようにセットする。アオサでのグレ釣りが盛んな淡路島ではエサ用のアオサを販売しているエサ店も多い。
シーズンとしては冬場から春の限定眼メニューだが、若狭方面ではエサ取りが多い夏場にアオサを使うことも多い。オキアミでは、あっという間にエサがなくなるが、エサ取りに食われにくいアオサならグレが食い付いてくれるチャンスが格段にアップするからだ。
マキエはオキアミに海藻(ノリ)入りの配合エサをミックスしたり、淡路島のようにパン粉に刻んだアオサを混ぜたものなど。オキアミ使用時とは違いアオサの場合は超遅アワセが鉄則。グレはアオサの端から吸い込むように食べるので、ハリが口の中に入り込むまでに時間がかかるからだ。アオサを使っていると、同じく海藻が大好きなイガミ(ブダイ)やイズスミ(イスズミ)、アイゴも食ってくる。南紀などではハバノリをエサにしたイズスミ釣りが古くから確立されていたが、現在では目にすることがほぼなくなったのは残念。
「ホンダワラ」イガミ御用達!
さて、磯釣りでは古くからホンダワラという人気の海藻メニューもある。お客様はイガミだ。たとえばイガミ釣りが盛んな南紀方面での釣りシーズンは稲刈りが終わった秋から冬場。ただしイガミも雑食性なのでシーズン初期、水温が高い秋口はカニをエサにイガミを釣ることが多い。ホンダワラを使用するのは、もっと水温が下がる中秋から冬場というのが一般的ではあったが、近年では秋口からホンダワラを使う人も多いようだ。
その南紀で流通するホンダワラは志摩方面産がメインなのだが近年は、採取量が減少したためか手に入りにくくなっている。昔の磯釣り教科書には軽く湯がいたホウレンソウや小松菜が代用になると記載されているので試してみるのもよいだろう。
ホンダワラをハリに刺すのは先端部分、軟らかい新芽が生えているところ。数枚の芽を茎ごとカットし、硬い茎にハリを通してから、もう一度、茎か芽に縫い刺しする。芽が少ない部分は、何枚かをエサ巻き糸で束ねてハリに刺してもよい。いずれにしても気泡が付いている場合は指で潰しておくこと。釣り方は独特の細長い棒ウキを使い2本バリ仕掛で底付近にタナを合わせて流していくか、磯の際でズボ釣りをしてもよい。
(次回のお品書きは植物系のエサその2 チヌ御用達のコーン、グリーンピースの予定です)