日本の冬の風物詩
ワカサギ釣りと聞くと、雪化粧の山をバックに、凍った湖の氷に穴を開けて釣る姿を想像出来るのではないでしょうか?
その情景は描くことは出来ても、なかなかあそこまでして、、、と敬遠してしまう人も多いでしょう。しかしワカサギ釣りは前述した氷の穴釣りだけでなく、他にも様々な釣り方があり、それぞれのスタイルに合わせて誰にでも楽しめる魚でもあるのです。しかも実に美味しい魚。
そもそもワカサギとは?
ワカサギとはキュウリウオ科の淡水魚で、小さいながらもサケやマスに近い種類の魚。アマサギという鳥に似ている事からワカサギと呼ばれたり、虫の様に湧く(ワク)ことからワカに、多いという意味を持つサギや、ザクザクという言葉が組み合わさってワカサギになったなど諸説ある様です。ワカサギを漢字で書くと「公魚」となりますが、これは現在の茨城から福島の一部にかけてが常陸国と呼ばれていた頃、常陸国の麻生藩が当時の将軍徳川家斉に霞ヶ浦のワカサギを献上していたため「公儀御用魚」=公魚と呼ばれるようになったそうです。今では食用として全国に広まっていますね。
どうやって釣る?
大きく分けるとワカサギ釣りは3種類。先ずは一番想像しやすい釣りの一つが「氷上穴釣り」。近年人気が非常に高く、予約がいっぱいなんてことも珍しくない「ドームいかだ」。そして初心者にもオススメなのが一般的な「船釣り」です。
氷上穴釣り
冬の代名詞と言っても過言ではない釣り方で、写真等で目にしたことはあるのでは?凍った湖の氷上にドリルで穴を空け、その穴から糸を垂らして釣る方法です。北海道から東北地方、群馬県、長野県の山上湖の一部など、水面が厚い氷に覆われる厳冬地の湖で行えます。年によっては氷が薄く、穴釣りが出来ないこともあります。
ドームいかだ
ドーム状になっている空間のあるいかだ船の底に、釣り糸を垂らす穴が空いています。室内で釣りをする様な感覚で暖かいため、家族づれやカップルにもオススメの釣り方です。場所によってはポイントまで船で引いてもらえる贅沢な釣りで、近年人気が高まっています。桧原湖(福島県)、諏訪湖(長野県)などが有名。
船釣り
通常のボートとの違いは、こちらもいかだの様に底に釣り糸を垂らす穴が空いていること。魚探で魚を探しながら移動が出来るため、誰でも簡単に魚を釣ることが出来る釣り方のひとつ。山中湖(山梨県)や野尻湖(長野県)などで乗船できます。
この他にも陸や桟橋から狙う事も出来ますし、通常のボートから釣る方法もあります。必ずしも氷の張る湖にしかいない魚ではなく、霞ヶ浦(茨城県)などの様は平野部の湖でもワカサギの姿を見ることができます。通常の延べ竿仕掛でも釣ることが出来ますが、船釣りやドーム船では、電動リールを使った釣りが人気で、手返し良くたくさんの魚を釣ることが出来るでしょう。
新鮮で美味しいワカサギは釣り人の特権
さて、ワカサギ釣りの本番(?)は釣りが終わってからです。小気味の良い引きを味わいながらたくさん釣ったあとは、今度は美味しく頂きましょう。釣れたてのワカサギの天ぷらの美味しさを味わってしまったら、これから居酒屋で出てくるワカサギには少しがっかりしてしまうかもしれません。
ワカサギ釣りは日本各地の厳冬地を中心に古くから楽しまれ、そういった場所では現地のホテルや旅館で、自分で釣ったワカサギを調理して、夕食に出してもらえる場所もあります。友人や家族と連れ立って、宿泊先を手配しておき、釣りの後に温泉に浸かって冷えた体を温めるのも良いでしょう。もちろん自宅に戻ってから食べたい人は、釣りの手配だけすればOK。
ワカサギは、初心者、ベテランを問わずに楽しめるのも魅力。冬の釣り、なんて聞くととても寒くて厳しい様に思われてしまいがちですが、ドームいかだの様に暖かい釣りもありますし、ホテルや旅館のスタッフがきちんと指導してくれる場所もありますので安心です。