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滋賀県に春の訪れを告げる魚「ホンモロコ」。産卵期を迎える3月から5月にかけて、琵琶湖の浅瀬にはこの時期だけの特別な出会いを求める多くのアングラーが集まります。
今回はバイクに最小限の装備を積み込み、湖畔での野営と釣りをシームレスに楽しむ旅へ。道具を削ぎ落としたミニマムなスタイルだからこそ体感できた、湖国の春の魅力をお届けします。
春の琵琶湖へ!
バイクに最小限のキャンプ道具と釣具を積んで

ホンモロコは滋賀の春を象徴する魚として、古くから湖国の人々に親しまれてきました。この「春の使者」を追いかけて、バイクにキャンプ道具をパッキングし、琵琶湖の湖西エリアへと向かいました。
バイクでのキャンプ釣行において、最大の課題は常に積載量との戦いです。しかし、今回のターゲットであるホンモロコ釣りでは、大がかりな仕掛は不要です。用意したのは、仕舞寸法2mほどのノベ竿1本と、エサのグルテンだけ。そして仕掛は小さなウキとハリが1本という、これ以上ないほどシンプルな構成です。

リールも大げさなタックルボックスも必要ありません。このスタイルはバイクの機動力を損なわず、現場での準備もわずか数分で終わります。道具を削ぎ落とすことで、魚とのやり取りがよりダイレクトに楽しめる。それもこの釣りの大きな魅力です。
目の前がポイント!湖岸緑地は贅沢ロケーション

琵琶湖には、湖岸沿いに「湖岸緑地」と呼ばれる公園が点在しています。滋賀県が管理・整備しているこれらの公園の多くは、無料でキャンプを楽しむことができ、目の前がすぐ釣り場という、アングラーにとって理想的なロケーションを誇ります。
今回私が拠点に選んだのは、琵琶湖大橋の南側に位置する大津市堅田2丁目の「湖岸緑地・天神川河口」です。ここには無料で利用できる駐車場が整備されています。

駐車場で荷物を降ろし、グラウンドの脇を通って2分ほど歩けば、テントを張れる広場に到着しました。エリア内にはウッドデッキもあり、琵琶湖大橋の大きなアーチを間近に眺めながら、ゆったりとした時間を過ごすことができます。


注意点として、ここには清潔なトイレは完備されていますが、高規格なキャンプ場のような炊事棟や洗い場といった施設はありません。

水はあらかじめ持参し、汚水を極力出さない工夫が求められます。その分、余計な喧騒がなく、自然の音に耳を傾けたい中級者以上のキャンパーには絶好の隠れ家といえるでしょう。テントを設営し、拠点作りを終えたら、いよいよ釣りの開始です。
湖岸緑地・天神川河口
住所:〒520-0243 滋賀県大津市堅田2丁目1
TEL:077-527-8806(大津市公園緑地協会)
HP:https://shigakoen.com/koganryokuchi/koganryokuchi_katata
繊細なアタリを待つ!ノベ竿で挑む「ホンモロコ」

今回、エサには「グルテン」を選びました。釣果を優先するなら生きエサのアカムシが有効ですが、バイクでの旅では、余った生きエサの管理や持ち運びがネックになります。その点、粉末状のグルテンなら荷物を汚さず、必要な分だけその場で水を混ぜ、指先でこねて使えるため、ひじょうに合理的です。
ホンモロコは基本的には動物食性の強い魚ですが、コイ科の魚であるため、穀物由来の成分で作られたグルテンエサも食べ物としてしっかりと認識してくれます。
指先で直径2~3mmほどに丸めてハリ先に付けるだけで、準備が完了しました。


テントを張ったすぐそばに、水面に枝を垂らす立派なヤナギの木がありました。ホンモロコは春になると産卵のため、アシの際やヤナギの根元に卵を産み付ける習性があります。ここが魚の集まる一等地になると確信し、さっそく竿を出しました。
しかし、水面を覗き込むと目視できるほどの大きな群れがいるにもかかわらず、なかなかハリに掛かりません。エサのすぐ横を魚が通り過ぎていくもどかしい時間が続きます…。

そこで改めて水中の様子をじっくり観察すると、どうも魚たちが底ではなく、中層から水面付近を意識して泳いでいるように見えました。そこで、ねらうタナを上げるためにウキ下を思い切って短めに再セット。すると、それまでの沈黙が嘘のように、ウキがピクリと小気味よく反応しました。

そこからはコンスタントにアタリが続き、1時間ほどで10尾のホンモロコをキャッチ。小さなターゲットですが、それでも魚の動きを見て仕掛をアジャストする、釣り本来の面白さを再認識させてくれました。

湖畔に春を告げるホンモロコを間近で観察!

釣り上げたホンモロコを、透明な観察ケースに移してじっくりと眺めてみました。一見すると素朴な淡水魚ですが、間近で見るとコイ科特有の整った造形美に驚かされます。
スマートで無駄のない体躯(たいく:体つきのこと)に、整然と並んだウロコ。光の反射角度によって銀色や淡い砂色にきらきらと輝く様子は、気品すら感じさせます。口元にある小さな一対のヒゲや、愛嬌のある大きな目も特徴的です。

ケースの中で元気に泳ぎ回るその姿は、厳しい冬を越えてきた春の力強い生命力に溢れていました。
ホンモロコは、その美味しさから京料理の食材としても珍重される高級魚です。持ち帰って味わいたいという誘惑もありましたが、今回はキャンプ泊。暖かな気温の中で鮮度を落とさずに維持しておくのは困難です。
しばしの間、その美しい姿に癒やされたあとは、遊んでくれたことへの感謝を込めて、そっとリリースしました。

春は静かに、のんびり過ごすなら湖岸緑地が最適!

釣りを終えるころには、昼間の賑やかだった湖岸にも、少しずつ穏やかな夕暮れの気配が漂い始めます。西に傾いた太陽が水面を照らし、琵琶湖大橋の大きなシルエットが逆光の中で美しく浮かび上がります。
テントのそばで腰を下ろし、目の前に広がる湖の景色をただ静かに眺める。波の音と遠くで鳴く鳥の声に耳を澄ませながら、昼から夕方へとゆっくり移り変わる時間を過ごす…。
特別な食事やアクティビティを用意しなくても、刻々と色を変えていく空と水面があるだけで、十分過ぎるほど心が満たされていくのを感じられました。

【湖岸緑地(天神川河口)の施設情報】
- ●駐車場:約20台(無料)
- ●トイレ:あり(水洗)
- ●火気の使用:可能。ただし、直火は禁止
- ●炊事棟・洗い場:なし(水は持参、ゴミや排水はすべて持ち帰り)
- ●近隣施設:徒歩やバイクですぐの距離にスーパーや釣具店、飲食店が充実
- ●釣り環境:天神川の流入により魚影が濃い
- ●推奨シーズン(ホンモロコ釣り):3~5月(産卵のための接岸時期)
ノベ竿1本というシンプルなスタイルは、魚との距離を縮めるだけでなく、準備に追われない「心のゆとり」を運んでくれました。釣果を競うのではなく、水面の揺れを眺め季節の移ろいの一部になる。おだやかな湖畔では、そんなゆったりした過ごし方もよいものです。
もし日常に少しの疲れを感じているなら、最小限の道具だけを積み込んで琵琶湖へ向かってみてはいかがでしょうか。春の使者と穏やかな夕暮れが、あなたの心を優しく解きほぐしてくれるはずですよ。
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レポーターREPORTER

バイクにキャンプ道具と釣具を積み、日本を1周した経験を持つアウトドアライター。旅を通じて、各地の自然やアウトドアフィールドの魅力を肌で感じ、また、バイクという機動性を活かし、一般的なキャンプ場や釣り場だけでなく、道なき道を進んだ先に広がる秘境にも足を運びました。予期せぬ悪天候や困難に直面することもありましたが、そこで培った知識と経験をもとに、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと考えています。
実体験に基づいたリアルな情報とともに、「外へ一歩踏み出すきっかけ」を提供できればと思います。
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