寒い季節こそねらい目!
足下でも釣れる初心者向け「寒のメジナ釣り」

“大寒”は二十四節気のひとつで、1年で最も寒さが厳しい季節。大寒から春先にかけては、気温だけでなく水温も低く、釣りに行くにも、つい足が遠のいてしまう方も多いのではないでしょうか。
しかし、水温が下がるこの時期のメジナ釣りは、実は初心者にこそ楽しみやすい条件がそろいます。産卵を控えたメジナは岩に生えるノリ類を求めて浅場(近くの磯場)に集まり、ポイントは足下近くに。さらにエサ取りの活性も下がるため、本命のアタリを待ちやすくなります。

寒さに尻込みしてしまいがちな季節ですが、実はチャンスの多い「寒のメジナ」。その理由を、順を追って解説していきましょう。

なぜ寒のメジナは足下で釣れるのか?

メジナの産卵期は地域によって、またその年の海水温によって異なりますが、本州付近では2~5月とされています。海水温が低下すると、日当たりのよい岩場にはノリ類が繁殖します。これらのノリ類は、産卵を控えたメジナにとって大変なご馳走であるため、普段よりも浅い場所に集まるようになります。

高水温期のメジナ釣りはエサ取りとの戦いです。大量のマキエと仕掛操作は、エサ取りを交わすためのコントロールが求められます。しかし低水温期はエサ取りも少ないため、足下のポイントをねらって、少量のマキエをウキに被せて辛抱強く待てば、かなりチャンスが広がります。

さらにもう1点。お腹が大きくなったメジナは、大きなサラシ(岩に当たった波が砕けて白く濁る状態)や潮の速い場所よりも、海況が穏やかで、波に砕かれたノリが漂うような場所を好む傾向があります。
そのためねらえるポイントは広範囲に広がり、普段A級ポイントとされる荒磯でなくても、初心者が入りやすい場所で十分に釣りが成立しやすくなります。

低水温期のタナは“動かさない”が正解

「上物」と呼ばれるメジナは、その名の通り動きが速い魚で、一度食い気が出ると、エサ取りと呼ばれるほかの魚たちよりも表層近くに浮上してエサを食べる傾向があります。そのため、通常であればタナの設定はエサ取りと同じか、それよりも浅くします。
しかしながら水温が低下し潮の流れが緩いと、エサを食べるために表層近くに出てくることが少なくなります

そこで、「エサ取りにオキアミを食べられるから…」といっていたずらにタナを変えるのではなく、マキエを投入しながら活性が上がるのを待つ作戦が、効果的であることが多くあります。
端的に言うなら、エサ取りであってもサシエに反応があることが重要で、それがそのままメジナのタナになるということです。

初心者と実証!寒メジナは本当に釣りやすいのか?

05_ 記念撮影

“寒”と呼ばれる季節も終盤になった1月の末に、東伊豆の沖磯にメジナねらいで釣行しました。沖磯といっても、港から渡船で10分足らずの手軽に行ける磯で、今回は、メジナ釣りが初めてという女性を含む初心者2名との、合計4人での釣行です。

足場のよい沖磯で実釣開始!
まずは魚の反応を確認

場所は手石島にある大手石という場所で、足場がよいため大人数で楽しめる場所です。ちなみにこの日の海水温は15.5℃とやや厳しい状況でした。

06_ 沖磯へ

マキエは、1人あたりオキアミ3kgにメジナ用の配合エサを1袋使用します。朝方の冷え込みが厳しいので、オキアミと配合エサはあらかじめ街中の量販店で購入し、自宅で混ぜてバッカンに入れておくようにしています。サシエはもちろん、冷凍のオキアミブロックの一部をエサバケットで解凍したものです。
当日は波も穏やかで、到着した時刻にはすでに眩しい朝日が差し込み、絶好の釣り日和といった印象でした。

仕掛や玉網(タモ)の準備、マキエに海水を加えて混ぜる作業を手分けして行い、いよいよ釣りを開始。私と息子は初心者用の仕掛をそれぞれセットしました。すると1投目からウキに反応があり、クサフグが食ってきました。
普段なら厄介なゲストですが、この時期に反応があるということは魚の活性が高い証拠。期待が膨らみます。

潮の変化で本命ヒット!
…しかし初心者に思わぬ落とし穴

朝一番は、潮が緩やかに中手石の方向に流れていましたが、30分ほど経過すると向きが逆になり、熱海方向へと流れるようになりました。相変わらずクサフグの反応が多く、サシエが取られてしまいますが、30分ほど経過したころに、第1号のメジナが食ってきました。

タナは約4m。仲間たちにタナを伝えているうちに、息子にもメジナがヒット! どれも30cm半ばを超える良型のメジナです。しかし、メジナ釣りが初めてのLちゃんにはなかなか魚が掛かりません…。なんとか初ヒットさせたいと、息子に代わってレクチャーしますが、ウキに反応があるものの、なかなか食い込んでくれないといった具合。

07_ 準備

程なくして理由が判明! 実はリールのベールが閉じたままになっており、道糸の送り込みができていないため、タナに上手くサシエが入っていなかったようです。
そうこうしているうちに潮の流れが緩くなり、食い込みがいまひとつとなってしまいました。

仕掛の調整が決め手
全員安打で寒メジナを実証

08_ ウキを交換
浮力の小さいウキに交換

こんなときは仕掛を軽くすると効果的で、Lちゃんの仕掛を浮力の小さいウキに交換。竿先よりも少し先のポイントに仕掛を投入しマキエを被せ、道糸を緩ませていると、スーッと海中にウキが消えていきました。
(こんなとき、彩ウキ®のようなカン付きのウキは交換がすぐにできて便利です)

初ヒットしたメジナは30cm級。初めてのメジナの引きの強さに、Lちゃんも感激した様子でした。

09_ 当日の釣果
30cm級の良型が釣れた当日の釣果

そのあとはポツポツとアタリが続き、全員がメジナをゲット。この日最大のメジナは、妻が釣り上げた41.5cmでした。
また、このほかにもゲストでニザダイが2尾。強烈な引き味を楽しませてくれましたよ。

10_ 最大のメジナ
この日最大41.5cmのメジナ

冬はゲスト魚までごちそうになる

ところで、今回はメジナねらいでしたが、ゲストにタカノハダイニザダイが釣れてくれました。タカノハダイも美味しい魚ですが(以前、紹介しましたので)、今回は「ニザダイ」の食べ方と味についてお届けしたいと思います。

ゲストで釣れたニザダイは、釣り人の間で「サンノジ」という愛称で呼ばれ、強烈な引きで楽しませてくれる魚です。ただ磯臭さがあるため、食べる人はあまり多くありません。今回は低水温期で脂が乗っていそうだったこともあり、1尾だけ血抜きをして持ち帰りました。

11_ サンノジ
「サンノジ」の愛称で知られるニザダイ

さて、私なりの調理方法です。ニザダイはかんたんに皮を剥くことができるので、まず頭と内臓を落としてから、皮を剥いた状態にします。そこへひとつまみの粗塩を振り、冷蔵庫で2時間ほど寝かせます。
(今回は魚体が平たかったため、3枚におろさずコブ締めにしました)

そのあと、キッチンペーパーで水気を取り除き、板コンブを巻いて冷蔵庫で一晩寝かせます。翌日、3枚におろして刺身にしました。

さて、いよいよワサビと醤油で実食。…実は以前、暖かい時期に釣り上げたニザダイを刺身にした際、正露丸のような磯臭さでとても食べられなかった苦い経験があります。なので、恐る恐る口に運びました。
ところが驚くほどクセがなく、メジナに引けを取らない美味しさ! 念のため妻にも食べてもらいましたが、同じ感想でした。これは、この時期嬉しいゲスト魚料理でしたね!

厳寒期のメジナ釣りは、寒さの印象とは裏腹に初心者でも楽しみやすい時期です。足下でねらえ、待てば応えてくれるうえ、ゲストの魚まで美味しく味わえるのも魅力。「寒いから行かない」がもったいないと感じさせられるほどです。
防寒対策を万全に、ぜひ冬から春先の磯に出掛けてみませんか?


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レポーターREPORTER

長岡 寛
プロフィール:長岡 寛
1960年生まれ、東京都出身
北里大学水産学部(現・海洋生命科学部)を卒業後、大手釣りエサメーカーに入社し研究開発担当として数多くの新製品を手掛けた経歴を持つ。
定年退職後の現在は、「フィッシング彩」代表としてメジナ、クロダイ用の立ちウキ「彩ウキ」を製造・販売するほか、釣り関係の新聞・月刊誌などの執筆、大学や高校での講師としても活躍。代表著書に「釣りエサのひみつ(つり人社)」がある。
趣味はもちろん釣りだが、写真撮影、魚の組織標本作成、釣りに関連したアニメーション作成など多方面にわたる。さまざまな活動を通じて、ハードルの高い釣りのとっつきにくさやその先入観を拭い、できるだけ手軽に楽しんでもらうキッカケづくりができればと考えている。