あの釣りこの釣り古今東西 No.27 効率よく数を釣るために
進化した「サヨリ釣り」と仕掛の歩み

周囲を海に囲まれた我が国ニッポンは紛れもなく海釣り天国、多種多様な魚がねらえるが、同じ魚種をねらうにしても、さらに同じ釣りジャンルといえど、地方によって独特のカラーがあるのが、何より古くからニッポン人が釣りに親しんできた証拠。
「あの釣りこの釣り古今東西」第27回はサヨリ釣り。サヨリは防波堤や護岸から手軽にねらえる魚として、現在では初秋の代表的なターゲットと知られており、専用仕掛も多数販売されている。釣り方もほぼ全国一律で地方ごとに大きな違いはないように思われる。そんなサヨリ釣り、仕掛の変遷について分かる範囲でまとめてみた。

かつて大阪湾にあった引っ掛け釣り……?

1985年12月に初版が発行された『さかな大図鑑(週刊釣りサンデー)』のサヨリの項を見ると、「アミエビなどを撒き、ウキ下をごく浅くしてゴカイなどのエサでねらう……かつて大阪湾でもサヨリが多かったころは引っ掛け釣りも盛んだった」と記載されている。

残念ながら「サヨリの引っ掛け釣り」に関する資料がなく、当時その出版社の編集部に在籍していた自分自身にも、まるで記憶がないことから、かなり以前に消滅してしまった釣り方だったのかもしれない。念のため、その記事を書いたご本人にも確認してみたが記憶にないとのこと…。とにかく当時のサヨリ釣りは、あえて特集を組むほどのメジャーな対象魚ではなかったのだろう。

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秋、現在では大阪湾各所で盛んにサヨリをねらう釣り人の姿を見ることができる

1尾1尾釣り上げるウキ釣りは今も徳島で

関西圏で古くから現在も、サヨリ釣りが盛んなのは徳島県だ。とくに北部の鳴門市にある波静かなウチノ海に浮かべられたイカダ、カセ(固定された小舟)から、オーソドクスなウキ釣りでサヨリを1尾1尾釣り上げるスタイルは昔も今も変わらず健在。

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徳島県のウチノ海でではイカダからのウキ釣りがいまも盛ん

サヨリ釣りの季節になると、普段は県内各所でグレ釣りやチヌ釣り、アユ釣り、アメゴ(アマゴ)釣りに熱を上げる釣り人の多くが「このときばかりはサヨリ釣り」と熱くなり、サヨリ釣り大会を開催する釣りクラブも多い。

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上部に中通しの飛ばしウキ、下部に細長いアタリウキが徳島流

かつての大阪湾をはじめ、恐らく全国各所で行われていたサヨリのウキ釣りは防波堤や護岸という釣り場の違いこそあれ、徳島とほぼ同じスタイルだったのは間違いない。ただ、ウキ釣りはマキエの効かせ方やアタリの取り方など、まったくの初心者にはけっこう難しいこともあり、小アジなどをねらうサビキ釣りのように誰もがかんたんに何10尾という釣果を上げるのは大変だったのかもしれない。

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スリムな魚体のサヨリなので何尾も釣らないと寂しい……

ウキ・カゴ一体の仕掛の発祥は…恐らく東京湾

そこで釣りシーンに登場したのが、最終的にはウキ、マキエカゴ、仕掛が一体になる「専用仕掛」だ。
ハヤブサで2000年以前から発売されていたのが「投サヨリ仕掛ウキカゴ 60cm」で、これは残念ながら商品の画像が残っていない。続いて2000年ごろに発売されたのが「サヨリサビキ」という仕掛で、これにはマキエカゴがなく、4連のウキ(ウミタナゴ釣りに使われる連玉ウキと似ている)の下に2本のサビキバリと最下部にカラバリ(エサを刺す設定)が付いたもの。

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連玉ウキスタイルの「サヨリサビキ」には飛ばしウキは付いていなかった

続いて2003年ごろに発売されたのが「ひょいひょいサヨリ SB&ポリカンウキ」。「SB」はスーパーボールの略で、いわゆる重量がある飛ばしウキだ。その下にアタリを取るウキがセットされ、ほぼ現在のサヨリ仕掛の原型が出来上がった感じ。
以下、「ひょいひょいサヨリ SB&流線シモリ」「ひょいひょいさより リール竿用SB&シモリ」「ひょいひょいサヨリ リール竿用 カゴ付」と、ほぼ同時期に発売されており、現在につながるサヨリ仕掛の流れが出来上がったように思われる。

ネット上で見る限り、このようなウキ、カゴ、仕掛が一体となった釣り方と仕掛の起源は、1980年代に考案・発売された、工房浦安「浦安釣法・サヨリン」だと推測される。

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マキエのアミエビをカゴに入れ、ハリにはサシアミを刺す。仕掛を沖に投げてゆっくり引きながらアタリを取るのが現在のポピュラーなスタイル

現在、ハヤブサのサヨリ仕掛をはじめ、各社から多数発売されているサヨリ仕掛の源流・発祥は、東京湾の浦安エリアのようである。マキエとサシエの同調がかんたんで、さらに仕掛を投げやすくアタリも取りやすくした功績は大だ。

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ハリに掛かると海面でジャンプ。可憐なサヨリは意外にアクティブ。楽しい釣りを!