
温暖化の影響が進み、三陸沿岸でも青物が釣れるようになって20年ほど経つかと思います。一時期、爆発的にワラサが釣れた仙台湾は近年、釣果が安定しなくなりました。一方現在は、安定して青物がねらえるエリアとして、岩手県の三陸沿岸が主流となっています。
今回は岩手沿岸のブリジギングについて、大型青物をねらうための実践的な攻略法を解説します。
三陸の青物ジギング事情

三陸沿岸の青物ジギングがメジャーな釣りモノになったのは、比較的最近のことです。釣りモノとして年中ねらえるわけではなく、シーズンは黒潮の流れが三陸沿岸に差し込むようになる時期からスタートします。
●シーズン
三陸での青物ジギングのシーズンは、海流の影響を受けて年により変わります。黒潮が早めに接岸すればシーズンインは早まります。毎年、おおむね6月の後半あたりから釣れ始めます。
●エリア
ブリ、ヒラマサが主体の釣りとなりますが、ヒラマサの絶対数は多くありません。過去に20kgクラスのヒラマサも確認していますが稀であり、ジギングの主体はブリです。東北地方であればどこでもねらえますが、エリアによってはブリ釣り自体がアングラーに好まれないエリアもあります。
三陸沿岸で釣るとすれば、八戸から宮城県の金華山周辺までがエリアになります。しかし近年、釣果が上がっているのは岩手県沿岸を中心とした海域です。
●タックル
青物ねらいのタックルは、リールの違いでスピニングとベイトタックルがあります。もう1つ、釣り方の違いでハイピッチ用とスローピッチ用がありタックルもそれぞれです。
ジギングはさまざまな釣りメソッドがあり「ハイピッチジャークはこうで、丹後ジャークはこういうものだ」などいろいろと取り沙汰されていますが、ビギナーアングラーでも取り組みやすく釣果もあがる、スローピッチジャークメインのタックルを紹介します。
【参考タックル】
●ロッド:
スロージャーカー603-4(エバーグリーン) 1.5~3ozクラス(水深、潮流の強さ、使用ジグの重さでロッド選択)
●リール:
オシアジガー(シマノ) 1000~2000番
●ライン:
PEライン1~3号
●リーダー:
フロロカーボン6~8号
スロー系タックルは各社で市販されています。価格帯もさまざまです。
岩手沖での実釣近況

三陸の青物が釣れ始めた7月初旬に、岩手県越喜来沖へ青物ジギングに行ってきました。お世話になった遊漁船は、越喜来湾の小石浜漁港の「龍神丸」瀧田船長です。
当日は波もよく快晴。気持ちのいい釣りができました。私はトータル6本のワラササイズをキャッチ。最大は6kgクラスでしたが、青物独特の素早い走りや重々しい首振りなどを堪能させてもらいました。
また、青物のほか、ソイ類やヒラメなども釣り上げられ楽しい釣行となりました。

これまでの経験から見えた大型サイズ攻略のコツ
とくにブリにいえることですが、中型のワラサクラスまではベイトを追いかけて中層までよく浮きます。また、ジグの速い動きにより強く反応することが多いのもこのサイズの特徴です。掛けてからのファイトもほかのサイズよりもスピードがあり、釣りとしては面白いものです。
しかしブリクラスをねらうなら、ワラサクラスを釣り上げては場が荒れてしまいます。ブリなど大型青物をねらうなら、それなりに釣り方が重要になってきます。

渋い日はゆっくりじっくりアピール
三陸沿岸に限らず、大型青物が口を使うパターンは限られています。やみくもにベイトを追いかけ回しても食料にありつけないことを、大型魚は学習しているからです。ですので、時合も短く釣るチャンスはそう多くありません。比較的釣りやすい中型クラスを釣ってしまうことで、プレッシャーを与えてしまうことも考えられます。
大型魚は労せずに確実にカロリー摂取をしようとしますので、よりねらいやすいベイトをターゲットに定めます。ジグのアクションとしては「弱々しく、より捕食されやすい動き」が、大型魚には効果があります。ねらうレンジも、中層よりもボトムベッタリの方がより大型を掛けるチャンスが広がります。
また、大型は容易にジグの動きに反応しないことが多いです。繰り返し繰り返しじっくりとジグの動きを見せつけることで、やっと反応することも多いものです。大切なのは、食べやすいベイトを意識したジグのアクションを心掛けることです。

タックルの選択で攻略の幅を広げる
スロー系ジギングの最大のメリットは、魚の活性に合わせたジグアクションの演出がしやすいところです。水深、潮流を同一条件とした場合、同じジグウェイトでロッドの番手を入れ替えると、ジグのアクションにも変化が表れます。
たとえば、ジグウェイトが150gで、ロッドを1.5ozのものを使用した場合と2ozのものを使用したときでは、ジグのアクションの強弱が変化します。1.5ozの方は角が取れて水に適度に馴染んだ、より自然に違いナチュラルなアクションとなります。ロッドのパワーが上がるにつれてジグのアクションはより派手にキビキビと動き、と同時にジグが作り出す水押しも強くなりアピール度は高まっていきます。どちらの方がよいのかは魚の活性や経験値、釣りをする状況でも変わってきます。
大型魚がよりナチュラルで自然なジグの動きに反応しやすいのは、これまで培ってきた危険に対する学習能力や経験値によるものだと思われます。
こうしたタックルの組み合わせによるジグのアクションの変化は、何通りも考えられます。ロッドの番手を変えずにジグのウェイトを変えても、同じようにアクションは変化していきます。つまり、タックルのバランスの変化で、ジギングの釣りの幅は無限に広がることになるわけです。

このようなタックルバランスの変化は、ジグの動きやスピードの変化につながっていきます。ロッドパワーがあればジグの初動は速くキビキビと動き、ロッドパワーを落としていけばまったりと水に絡むアクションとなっていきます。
水温の低下などで活性が下がった大型魚には、水に絡み、馴染むジグの動きがとても効果的です。
青物ジギングといえば、腕がしびれてロッドを握る手の感覚もなくなるほどの、「体力を消耗する釣り」の代名詞でした。しかし昨今は、タックルの進化と青物に対する生態の理解が進むにつれて、より楽に、誰でも楽しめる釣りとなってきました。
青物とのやり取りはスピード感があり、引きも強烈で楽しいの一言に尽きます。ある意味ジギングのスタンダードともいえる釣りが「青物ジギング」ですので、ぜひ挑戦してみてください。
釣り・アウトドア好きな一般ライターさんを強力募集中!!
詳しくはコチラ!
レポーターREPORTER

フライフィッシング、バス、シーバス、ロックフィッシュ、フラットフィッシュ、エギング、鮎釣りまで、さまざまなジャンルを釣りこなすマルチアングラー。現在はスーパーライトからヘビークラスまでジギング全般と、メタルスッテを中心としたイカ釣りに取り組む。
東北エリアの面白い釣りを発信することで、震災復興に繋げていきたいという熱い想いのもと活動中。
GOMEXUS社フィールドテスター /tamaTV社フィールドモニター /キーストン社フィールドサポーター などを務める。
ブログ:Anglershighごめのブログ