INDEX
釣り道具において「仕掛」は、ロッドやリール、ルアーほど脚光を浴びるわけではないが、魚に直接触れるアイテムとして、また、仕掛の良し悪しによって釣果が左右されるなど重要なアイテムだ。そんな仕掛を扱うメーカーならではのプチ知識を、開発担当者に聞いてみる当企画。「これ知ってたらお得」「釣果アップにつながる」「釣りが快適になる」…といったアイデアを紹介しよう。
今回「使用後の仕掛の保存方法」について教えてくれたのは、エギングやライトゲームが大好きな清水さんだ。
使い終わった仕掛を収納するには?
突然だが、みなさんは使い終わった仕掛をどう処理しているだろうか? 十分に魚を釣ってズタボロになった仕掛はゴミとして処分すると思われるものの、「まだまだ使えるのに、1回で捨てるのはチョットもったいない…」と感じることも多いだろう。とはいえ、長い釣り糸にハリが複数付いた仕掛をそのまま持って帰るには少々面倒だ。
そんな、「まだまだ使えそうな仕掛」を上手くまとめる(収納する)方法はあるものか? 清水さんに聞いてみた。
パッケージに戻せばいい?
「シンプルに考えれば、仕掛が入っていたパッケージ(台紙)に巻き直して持ち帰ることができれば、発想としてはカンタンですね。僕らはそうしています」と、のっけから身もふたもない回答をしてくれた清水さん…。いや、一般の釣り人にとって、台紙に仕掛を巻き直すのはなかなかに複雑な気がするのだが。
「今のはチョット冗談です(笑)。僕らは仕事柄、仕掛を台紙に巻き直すのはカンタンなんですが、あくまで慣れているからなのは十分理解しています。普通はなかなか難しいですよね。
パッケージは、紙の台紙にハリを掛ける『セル』と糸を掛ける『切れ込み(スリット)』が付いていて、糸を張りながら上手く巻いたり折り返して、(台紙裏の)スリットに掛ければ収まるようになっています。しかしパッと見、どうすれば上手く巻けるのかは分かりづらいと思います」。
新品の仕掛をパッケージから取り出す際、戻すことまでを考えて使う釣り人は少ないだろう。使い終わって「あっ、まだ使えそう…」となったときに初めて、収納方法に悩むと思われるのだが、台紙に巻き直すのは少々難しそうだ…。
「仕掛巻き」が結局一番オススメ
「釣りをする方にはよく知られているアイテムですが、『仕掛巻き』というアイテムがあります。結局のところ、仕掛を収納するのに一番便利なのがこれですね」と清水さん。
仕掛巻きとはその名の通り、「仕掛を巻き付けて収納する」アイテムのこと。淡水のウキ釣り仕掛であれは、長方形の小さなかまぼこ板のようなものにグルグルと仕掛を巻き付けて使用したり、ハリが複数あるサビキ仕掛などであれば、円形のものに仕掛を巻きつけながら、複数あるハリを留めていくといった使い方をする。
「とくに枝バリ(エダス)が複数あるサビキ仕掛のようなものは、元々の台紙に巻き直すのは難しいので、一方向に巻き続けるだけの仕掛巻きは使いやすいですね。また、円形のものであれば糸クセもつきづらく巻きやすいので便利です」。
シンプルながら使い勝手のよい「仕掛巻き」は、仕掛を大切にする釣り人や、「チョットしか使ってないのにもったいない…」といったシチュエーションで重宝すること間違いナシ。タックルボックスに忍ばせておくとよいだろう!
自作で工夫もアリ!
しかし、最近の厳しい物価上昇やコストパフォーマンスの意識から、「幾つも仕掛巻きを用意しておくのはツライ」という方に向けて(?)、好きな仕様で好きな数だけ自作するのもアリだそう…。
「(前置きとして、弊社の商品を買っていただきたいのは山々ですが…)最近は、100円均一ショップのDIY資材が充実しているので、自分仕様の仕掛巻きを作るのもアリですね。昔は自宅で余った段ボールの切れ端や雑誌などの本、空き缶に仕掛を巻くこともありましたが、今は資材が安く手に入ります。『カラーボード』や『EVAシート』といったものを使えば、好きな形で作れるので、自分なりの工夫を凝らすことができますよ」と、メーカー社員らしからぬアイデアを教えてくれた清水さん。
必ずしも買って消費することだけが釣りの楽しみ方ではない、「自作する」という楽しみ方をも提案するというスタンスが素晴らしい!!
収納時の注意
ところで、海水に浸かった仕掛をそのまま収納してよいワケでは恐らくないだろう。仕掛を収納する際の注意点なども清水さんに聞いてみた。
「まず、使い終わった仕掛はしっかりと状態のチェックをしてください。糸ヨレ、糸のキズ、ハリの曲がりなどをチェックして、ダメなものは廃棄するのをオススメします。状態がよいものだけを再利用(リユース)するようにしてください」とのこと。
「そして、リユース可能なものを収納する際、『塩抜き』と『汚れ落とし』をしっかりと行ってください。海水の塩や汚れが残ったままだと、劣化やサビの原因となってしまいます。さらに、よく乾燥させることも大切です」と教えてくれた。
仕掛巻きなどに一度使用した仕掛を巻き直すので、そのまま長期に保管することもあるだろう。次に使ったときに状態が悪ければ意味がない。同様に、釣り竿に仕掛を掛けたままにしておくのもよくないそうだ。釣り竿のガイドがサビたり、竿のたわみやクセの原因にもなり兼ねないので注意が必要だ。
仕掛を保管する際のポイント
一度使った仕掛をすぐに使う場合は関係ないが、収納したまま次の釣行まで保管することもあるだろう。そんな保管に際しての注意点もありそうだ。
引き続き清水さんに教えてもらった。
紫外線と湿気は大敵!
「一度使用した仕掛を保管する場合、まず大事なことは、『紫外線を避ける』ということです。釣り糸はナイロンなどプラスチック製なので、紫外線による劣化は避けられません。できるだけ屋内の日に当たらない場所で保管するのが望ましいですね。釣り糸以外にもサビキ(擬餌)も紫外線に弱く、硬化や退色の原因となります。また、ハリに関しては金属ですので湿気は大敵です。できるだけ湿気を防ぐ処置を施すのがよいでしょう」。
フタ付きのボックスを活用
清水さんの場合、仕掛は「フタ付きのボックス」に入れて日の当たらないキャビネットの中に保管しているとのこと。
「あくまで私個人のやり方ですが、100円均一ショップに売っているフタ付きのクリアケースは便利ですね。フタ付きということで少しでも外気に触れづらく、フタがあることで重ねやすい。なおかつ整理整頓の意味でも、クリアケースだとフタを開けずとも中身を確認しやすいのがイイですね。ただ、クリアケースなので窓からの日差しにさらされやすい…。そんなワケでキャビネットの中に仕舞っています」。
そのほか、フタ付きでなので除湿剤(乾燥剤)を入れておくとよりベター。海苔やお菓子といった、食料品の梱包の中に入っている乾燥剤を活用するだけでも十分だそうだ。いずれにしても、一度使った仕掛は劣化するもの。あまりに長期に保管するのはリスクが高いので、紫外線と湿気に気を配りながら、早めに再使用するのが無難だろう。
といったわけで「使用後の仕掛の保存方法」はココまで。釣りに詳しいエキスパートなら「な~んだ」な知識、かもしれないが、釣りを快適に、スムーズに楽しむための知識としてお役に立てれば幸いだ。
仕掛のスペシャリストとして日々開発に携わるなかで、きっとアングラーのタメになるアイデアがいろいろとあるはず! そんな目から鱗なプチ知識を発掘し、引き続きお届けしていこう。