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みなさんお久しぶりです。浜名湖から出船している「青鬼丸」船長の中村です。
今回は、真冬のタチウオ釣りに行ってきたレポートをお届けしながら、タチウオの数を伸ばすコツをお伝えしたいと思います。
遠州灘ではわりと年中「タチウオ釣り」が楽しめます。大きく分けて2箇所のポイントがあり、日によってそのどちらかで釣れるか、両方でも釣れるといった具合。船長としては「どっちのポイントの方がお客さんに楽しんでいただけるか?」を考えて船を走らせています。
最近はタチウオテンヤが爆発的に流行り、ここ遠州灘でもタチウオテンヤを楽しむ方が一気に増えました! タチウオテンヤの魅力はなんといってもサイズ! 遠州灘はF7、F8(F=フィンガー:タチウオの体高を指の本数で測ります。F7なら指7本分!)のドラゴンサイズがねらえるポイントなので、そのドラゴンねらいでテンヤを始める方も増えましたね。
「比較的手間がかかるのでは?」と思われる方もいると思いますが、慣れてしまえばサイズも数もほかを圧倒できると思います! 初心者の方でもかんたんに釣れてしまうのも、流行りの理由かもしれません。近年、電動リールの性能が上がり、軽くて力のある物も販売されているので、体力的にも随分と楽になっていますね。
今回はテンヤと天秤仕掛のお客さんを乗せての釣行となりました。前日は「昼くらいまでさっぱりダメだった…」との情報もあり、少々不安な出船となりましたが、はたして釣果は得れたでしょうか?
船長の指示ダナを攻め、アタリのあったタナを教えあう
さてポイントに到着すると、ほかの船がいない…。この時点では嫌な予感がしましたが、魚探掛けをしてタチウオの反応探しから始めました。するとすぐに「それ」らしき反応を見付けて船をストップ。タナを指示して緊張の1投目。反応を待っていると……指示ダナ付近でほとんどの方がフッキングの動作!
船長の指示ダナも重要ですが、それ以上に重要なのが「リアルにアタリが出たタナ」です! 私はタチウオ釣りのときにはみなさんに声を掛け、「アタリが出たタナを周りの方たちにも伝えてね!」とよく言います。これはひじょうに重要で、魚探に映っているのはあくまでも「タチウオらしい魚影」なので、タチウオが実際に食うタナとは別なことが多々あります。
周りでアタっているタナを攻めれば、タイムロスも少なくなり数も伸びるので、乗り合いで初めて顔を合わせる方同士でもきっちりと教え合いましょう。
今回はおひとりさまで初乗船の方を含め、6組8人の方を乗せての出船でした。7人がテンヤで1人が天秤仕掛といった感じでしたが、1投目からのアタリの多さに船中大盛り上がり! ほとんどが初対面の方たちだったものの、「何mでアタリが出て、何mで掛かったよ!」なんて周囲に伝え、意気投合しながら爆釣モードとなりました。
とはいえ、それでも1時間が経過するころには、やはりちょっとずつ釣果に差が出てきたようです…。
手返しが釣果を左右する
時間が経つにつれて釣果に差が出始めました。のんびりとマイペースで釣りを楽しむのもよいのですが、やはり良型のタチウオが入れ食い状態になると、みなさん夢中になって釣りをします。しかし、それでも差が出るのが現実…(汗)。
この日の竿頭の方の本数は65本。2番手で53本。この2人の方が圧倒的にアタリを引き出し、フッキングの数もダントツでした。
その理由は手返しの速さ! もう見ている船長も笑うしかないくらいに無駄がなくてスムーズ!
電動タックルを駆使しているのも速さの一つと思いますが、タチウオが釣れたらハリを外し、テンヤをスナップで交換してすぐに投入。投入してタナまで落とす前に次の準備をし、タナ付近で誘いをかけてフッキング。この動作に全く無駄がなく、まるで機械のように正確。ここまでくるには相当大変だとは思いますが、身体が慣れてしまえば考えるより先に身体が動くんでしょうね(笑)。
ちなみにこの方たちは、テンヤを持ち込む数も多く、ひと流しではエサを巻き直さなくても大丈夫なくらい。私が再度ポイントに入れ直す移動時間に、エサを巻き直すという作業を繰り返していました。
テンヤとPEの号数は合わせよう!
中盤を過ぎたあたりからベイトのタナの反応が上がり、同じようにタチウオがアタるタナも上がってきました。こうなると、「どのタナでもアタる」ってぐらいの活性です! それと同時にロストも増え始め、テンヤの残りが軽い物しかないって方も…。
遠州灘のタチウオは、普段は100m前後のタナで食います。そのためテンヤも重いものが必要です。私の船では80号のテンヤを使ってもらっています。深いので、テンヤの号数をみんなで合わせないとオマツリだらけになってしまい、釣りにならなくなってしまうからです。80号のテンヤならそのままでOKですが、50号や60号のテンヤしか持ち合わせがない場合は、80号になるように中通しオモリを用意してもらうようにしています。
50号のテンヤなら30号の中通しオモリをリーダーに通し、その下にテンヤを着ければOK! といった具合。60号のテンヤなら20号のオモリです。テンヤの下に着けるのはNGです。これはウチだけかな…? ある程度の中通しオモリは船にもありますので、必要な方は船長まで。
あとはPEの号数をある程度合わせるのも重要です! 今回は1.2号から3号までをみなさん使われていました。潮の流れがよかったのもありますが、オマツリは少なかったと思います。天秤仕掛でタチウオをねらう際にPE4号を使われる方もいますが、PE4号になるとやはりほかの方との差が大きく、オマツリが増えるようです。
乗船前にPEの号数を確認し、指定の範囲内の号数に合わせておくのも釣果を伸ばすコツかと思います。
さて当日の釣果ですが、ベイトのタナが上がった直後からタチウオのサイズまでよくなり、F7クラスが乱舞する展開になりました! 唯一の天秤仕掛の方も爆釣モードで忙しくなり、「こんな太いタチウオがこんなに釣れるなんて!」とテンションが上がって大喜び!! 遠くは東京からのお客さんも「久々にタチウオ大漁で楽しかった!」と。
そんな終盤、1人のお客さんが「めちゃくちゃ重い」と竿をしならせて巻き上げていました! 何が釣れているのか? と周りの方たちもチラチラと見ていましたが…。上がって来たのは、なんとタチウオのダブル!
天秤仕掛の2本バリや、ジギングで上のハリと下のハリに掛かってくることは活性の高いタチウオ釣りでは珍しくないのですが、この方はテンヤで釣っていたのです!! テンヤの1本バリに2尾のタチウオが掛かって釣れたんです! これは長いこと船長やっていますが、初めて見ました! 周りの方たちも初めて見たっていうくらいだから、相当レアだったと思います。
釣り人同士の情報交換も大切
ラストにレアなケースで盛り上がり、終始入れ食いで納竿となったこの日。ポイントからの帰りはみなさんクタクタのはずですが、興奮しているのか初対面同士でもワイワイと話しがはずみ、イワシの付け方やテンヤの誘い方、またはエサのイワシを購入してからの下処理など、帰港するまで盛り上がっていました。
こういう情報交換もしながら、切磋琢磨して上達するのも楽しみの一つですね。
ちなみに、タチウオが上手くさばけないって方が多かったので、私がかんたんにさばいてみせました。タチウオは天ぷらやフライがオススメです。また、骨は一夜干しにしてから唐揚げにすると、油が跳ねにくいので火傷しにくくなります。包丁で手を切らないように気を付けてチャレンジしてみてください。
今回はタチウオ釣りの模様とともに、数を伸ばすコツをお届けしました。
この日のタチウオはサイズもよく数もそこそこ釣れましたが、船長的に欲をいえば「前半のタナが浅かったら…」ですかね。前半のタナは100m前後でしたが後半は40m前後。欲をいえばキリがないのですが、後半のタナがずっと続いていたら、きっと3桁いった方もいただろうと思ってしまう私は欲深いのでしょうか(笑)?
なお、(青鬼丸に乗船されるお客さんで)仕掛やオモリなど忙しくて準備できない場合は、私が事前に買いに行きますので、なんなりと言ってくださいね。また、当青鬼丸にはトイレが付いていますので、女性や子どもさんでも安心してご利用いただけます。電動リールの電源も船にありますので、バッテリーの持ち込みも不要です。
少しでも快適に釣りを楽しんでいただけるよう頑張りますので、ぜひご利用くださいね。みなさんのお越しをお待ちしております。
※タチウオはひじょうに歯が鋭く危険な魚です。酷く噛まれると港に引き返さなければいけませんので、タチウオをねらう際はフィッシュグリップを準備しておくと安全です。青鬼丸ではいくつか船に積んでいますので、ない方はお申し付けください。そして、万が一噛まれてしまった方はすぐに教えてください。消毒液や絆創膏を常備しています
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レポーターREPORTER
浜名湖近郊に生まれ、幼少のころから魚釣りにどっぷりハマる。そして気がつけば遊漁船の船長&漁師になっていた、根っからのフィッシャーマン。浜名湖・遠州灘エリアを今日も元気にガイド中!