寒い時期こそメジナのベストシーズン!
横方向の釣りを制して釣果UP!!

円錐ウキと立ちウキの違い

06_ 彩ウキとメジナ釣果

現在メジナ釣りにおいては円錐ウキが主流となっています。
少し脇道にそれますが、私はウキについてはある考えに基づいて、メジナ釣りのすべてのシーンで自作の立ちウキ彩ウキ®」を使用しています。

このウキを開発したのは、私が釣りエサメーカーに入社して開発部門になったとき、上物釣りの基本を教えてくれた、伊豆七島の神津島に在住していた故・清水令司氏の釣りスタイルがキッカケです。
オキアミを使用した現在のメジナ釣りスタイルは関東よりも関西以西から普及してきたため、関東では多くの釣り師が関西のスタイルを参考にしていました。そんななか清水氏は独自のスタイルを構築し、数多くの実績を残していたのです。氏が愛用していた清水ウキは桐材とステンレスで作られていて潮乗りがよく、遠くに流れても抜群の視認性がありました。

円錐ウキは浮力を殺してタナを探るのに適した特性がありますから、磯際をねらう釣りやサラシの下を探るような縦方向の釣りに適していると考えています。
一方立ちウキは遠くに流れていったとき視認性がよく、道糸がウキの下側を通っているため横風に強いという特性があり、横方向の釣りに適していると考えています。

どちらに優劣があるかは一概に言えませんが、上手な釣り師であれば、状況に応じてどちらも上手く使いこなすでしょう。しかしながらメジナの食いが極端に悪くなったときは、立ちウキの釣りがより有効になるのではないか? と私は考えています。
その根拠は、厳寒期のマキエに対するメジナの摂餌行動が影響しているように思われます。

厳寒期のマキエに対するメジナの摂餌行動とタナの調整

釣り場に到着してマキエを投入すると、多くの場合最初に反応が出るのはエサ取りです。次いで足下に沈下するマキエに対して磯際にいるメジナの反応が出てきます。

メジナの活性が高いほどマキエに対する摂餌エリアは垂直方向に長くなります。また潮の当りがよいなど、条件が整っていればこの状態が長く続きます。
メジナの摂餌エリアが垂直方向に長くなると、食ってくるタナの幅も広がります。このような場合は円錐ウキを用いた縦の釣り方が好適と考えられます。

一方メジナの活性が低い場合や1箇所に大勢の釣り師が竿を出している場合は、潮流によって流れてくるマキエの潮下にメジナが集まってしまいます。活性が低いときほど、また大量のマキエが投入されるほどこの傾向は強くなり、ヒットポジションは岸から遠ざかっていきます。このときタナは深くなるとともに、幅も狭くなっていきます。

このようにヒットポジションが遠くタナが深い、そしてタナの幅が狭いような状況では、先ほど紹介した立ちウキでの釣りの方が有利となります。遠ざかるマキエに同調しやすく視認性がよいからです。
カギは何といっても食いのシビアなメジナのタナを把握することに尽きます。ではどのように把握すればよいのでしょうか? 

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活性が高いときのメジナ:磯際に接近して垂直移動しながらマキエを食べる
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活性が低いときのメジナ:安全なエリアに流れてくるマキエを少しずつ食べる

(主に厳寒期の)シビアなタナを把握するには、仕掛を回収するときにゆっくりとリールを巻いて、ハリに刺したオキアミがどのような状態になっているのかをよく観察することです。

2~3投してオキアミがハリに残っているようであればタナを深くします。道糸に装着したウキ止め糸を静かに50cmほど長くなるようにずらすのです。逆にオキアミが取られているようであればタナを少し浅くします。浅くするときは30cmくらいずつ行います。いきなり大きくずらさないようにしましょう。
このような調整を行いながら再び2~3投様子を見て、メジナの反応が出るまでウキ下の微調整を繰り返します。

こうしたタナの調整を行い適切なタナを把握できれば、渋いときほど同じタナで食ってくることが多く劇的な釣果が期待できます。

混雑する人気ポイントで注意すべき点

大勢の釣り師が入るポイントではどうしても投入されるマキエの量が多くなります。食い気が少ないメジナに対して過剰なマキエが投入されてしまうと、ますます口を使わなくなってしまうのです。しかも、アタリが出ないからと、さらに大量のマキエを投入してしまうと逆効果。同じポイントにいる釣り師がみな同じことをしてしまうと、あっという間にそのポイントはパンクしてしまいます…。

そんな場合は声を掛け合ってマキエは一番潮上にいる釣り師が多めに投入し、潮下にいる釣り師は投入量をセーブしましょう。釣り場で人数が多くても全体のマキエの量がセーブされていれば、全員での釣果に大きなマイナスは起きにくくなるでしょう。

また、隣の釣り師と間隔を空けることは大切ですが、足場が濡れているような低い釣り座は海苔類の発生により滑りやすいことが多く、言うまでもありませんが高波がくることも予測されます。無理なポジション取りには注意が必要です。
磯場ではスパイクシューズは必須です。釣行前には念のため摩耗や破損の有無をチェックし、安全第一で楽しみましょう。

11_ 安全確認
釣行前にスパイクシューズのピンなどに摩耗や破損がないかチェックしましょう!

レポーターREPORTER

長岡 寛
プロフィール:長岡 寛
1960年生まれ、東京都出身
北里大学水産学部(現・海洋生命科学部)を卒業後、大手釣りエサメーカーに入社し研究開発担当として数多くの新製品を手掛けた経歴を持つ。
定年退職後の現在は、「フィッシング彩」代表としてメジナ、クロダイ用の立ちウキ「彩ウキ」を製造・販売するほか、釣り関係の新聞・月刊誌などの執筆、大学や高校での講師としても活躍。代表著書に「釣りエサのひみつ(つり人社)」がある。
趣味はもちろん釣りだが、写真撮影、魚の組織標本作成、釣りに関連したアニメーション作成など多方面にわたる。さまざまな活動を通じて、ハードルの高い釣りのとっつきにくさやその先入観を拭い、できるだけ手軽に楽しんでもらうキッカケづくりができればと考えている。