PEラインを最大限活かす!
リーダーとラインシステムの重要性

PEラインとリーダーの接続には「摩擦系」がオススメ

PEラインが発売された当初は結束の難しさが問題視されたこともありましたが、その後、多くのアングラーの試行錯誤によってPEラインと相性のよい結束方法が開発されました。FGノット、PRノットなどのいわゆる「摩擦系ノット」がPEラインとリーダーの接続に最適といわれています。
というのも、一般的に糸と糸を結んでつなぐと糸単体の直線強度よりもその結束部分の強度の方が低下するのが当たり前なのです。しかし、これら摩擦系ノットの結束部分の強度はとても強く、結束強度の低下を限りなく少なくすることが可能だそうです。

07_ ビニツイスト&キングノット
ビミニツイスト+キングノット。極細PEラインは強度確保するためにビミニツイストでダブルラインにしてからリーダーに接続しています
08_ PRノット
PRノットを用いたリーダー接続。リーダーに巻き付ける長さは4cm以上、密に巻き付けるのがポイント
09_ FGノット
FGノットを用いたリーダー接続。ノット部分はコンパクトで強度も出るノット。いずれのノットも綺麗に作ることが安定した強度を得ることにつながります
10_ タイイングキット
PRノット用の器具。フライタイング用品でも代用可能です

さまざまな結束方法がありますが結束強度はアングラーの熟練度によっても大きく変化します。また、結束方法によってはラインの太さに対して向き不向きがありますので、メインラインの太さによっては結束方法の使い分けも必要となります。参考までに、私の結束方法の使い分けは以下の通りです。

イカメタル、バチコンなどのライトライン
0.3~0.8号PEラインの場合
ビミニツイスト+キングノットを使用

マダイ、タチウオ、サクラマスなどライトライン~マグロねらい
1~10号PEラインの場合
PRノットを使用

11_ ドラグチェッカー
リールのドラグ設定、結束強度の測定などに便利なドラグチェッカー

1つの結束方法で全てのPEラインを用いた釣りをカバーすることは不可能です。また結束方法に熟練することが安定した結束強度を得ることにつながります。少し手間は掛かりますが、できれば何度も結束して破断するまで引っ張り、その数値を測定器(ドラグチェッカー)やハカリで確認するなどして、自分の結束方法がどの程度の強度があるのか確認することが望ましい形です。その際メインラインが破断、ノット部分から切れないのが理想的な結束といえます。

ラインシステムの構築
全体の強度バランスが大切

ラインシステムとはどういったものなのか? かんたんに説明すれば、「より細いラインでより大きな魚を釣るために、使用するラインの組み合わせで全体の強度バランスを考えること。または構築すること」です。そもそもは、アメリカのスポーツフィッシング団体であるIGFAの会員が、トーナメントラインを用いて「より細いラインでより大きな魚を釣る」記録を競い合うために考えられたものでした。

12_ マグロ
PE6号(40kgテスト)で50kgオーバーをキャッチ。ライン強度を超えた魚をキャッチするにはしっかりとしたラインシステムが必要不可欠

太く強いラインで大きな魚を釣り上げるのは誰でもかんたんですが、細いラインで大きな魚を釣り上げるのはアングラーの力量が問われます。言い換えれば、「細いラインで大きな魚を釣ったアングラーは偉い、凄い! 尊敬に値する」という価値観からアメリカで発展してきた経緯がありました。より細いラインでより大きい魚を釣り上げるにはどうすればよいのか? 先人が試行錯誤してたどり着いた答えが、リーダーとメインラインの最適なバランスを実現するラインシステムを構築するということでした。

話が横道にそれましたが、ラインシステムの構築で大切なのは、部分的な強度よりもリールからハリ先までの全体をひとつとして強度マネジメントすることです。メインラインの強度を活かしきるために、リーダーから先の強度は少なくともメインラインの強度よりも高く設定するのが基本です。PEラインより強度の高いリーダーを使用するのも、結束部分の対破断強度を確保するためです。もちろん、リーダーよりも先のルアーや金属パーツとの結束強度もメインラインの強度を上回ることが必要となってきます。
こうして構築されたラインシステムでは限界を超えて破断するのはメインラインとなります。つまりメインラインの強度を基準にリールのドラグ設定を行うという話につながっていくわけです。

13_ 釣果
メインラインはPE0.6号(5.4kgテスト)。一見、細いラインを使用していても強度から考えれば、まだまだ余裕があります

ただし例外的に、深海ジギングなど水中に投入するメインラインを長く必要とする釣りでは、リールに巻いておけるメインラインの量が大切になってきます。通常のラインシステムだと根掛かりなどした場合、メインラインのどこで破断するかわかりません。高切れしてリールから多くのメインラインをロストしてしまえば、最悪の場合そのリールはライン不足で使えなくなります。そうしたトラブルを回避するために、ワザとリーダー以下に弱い部分を設定して計画的にメインラインの高切れを防ぐこともあります(捨て糸という発想です)。例外的なラインシステムですが、船へのタックルの持ち込みを少なくするためにそんな使われ方をする場合もあります。
とはいえ、海中に残されたPEラインは腐ってなくなることはありません。環境保護の観点からも、できるだけゴミを海に残さないように心がけましょう。

14_ 釣果2
水深1000mでヒットしたコウジンメヌケ(標準和名:オオサガ)。リールには1200mのPEラインを収納していました。高切れしたらそのリールはもう使えなくなってしまいますので、根掛かり時にはリーダーとジグの接続部で破断するようにセッティングしていました

 

PEラインの特性を活かせばPEラインは頼もしいアイテムとなります。そのよさを最大限に活かしきるためには上手な「ラインシステムの構築」が必須なのです。
PEラインとリーダーに使用するモノフィラメントラインの関係、そしてバランス、といった基本をしっかりと身につけて、うまくPEラインを活用してください。

 

レポーターREPORTER

堀籠 賢志
プロフィール:堀籠 賢志
フライフィッシング、バス、シーバス、ロックフィッシュ、フラットフィッシュ、エギング、鮎釣りまで、さまざまなジャンルを釣りこなすマルチアングラー。現在はスーパーライトからヘビークラスまでジギング全般と、メタルスッテを中心としたイカ釣りに取り組む。
東北エリアの面白い釣りを発信することで、震災復興に繋げていきたいという熱い想いのもと活動中。
GOMEXUS社フィールドテスター /tamaTV社フィールドモニター /キーストン社フィールドサポーター などを務める。
ブログ:Anglershighごめのブログ