知っておきたい!正しいドラグの設定方法
リールの機能を駆使して大物ゲット!?

「ドラグ」とはリールに備わった機能で、魚が強く引き込んだときにリールのスプールが巻き取り方向とは逆回転する機能のこと。これにより不意のラインブレイクを防ぎキャッチ率を高めることが可能となります。
リールを用いた釣りの最大のメリットであるドラグ機能を駆使すれば、魚とのやり取りを有利に進めたり、ライトラインで大物を釣り上げたり、ライン強度を大きく上回るビックワンとのやり取りも不可能ではありません。

今回は、そんな現代の釣りシーンには欠かせない機能であるドラグを、うまく活用するためのポイントを紹介します。

ドラグの必要性
ドラグがあれば釣りが快適になる!

ドラグを活用することで以下のメリットがあります。
○メインラインの破断を防ぐ
○ロッドの破損防止
○キャッチ率の向上

01_ ベイトリール(スタードラグ)
一般的なスタードラグ式のベイトリール。ハンドル軸付け根部分の星形のダイヤル(スタードラグ)を回してドラグを調整するタイプ
02_ ベイトリール(レバードラグ)
写真中央のレバーを動かすことでドラグ設定値を任意に変更できる、レバードラグ式のベイトリール
03_ スピニングリール(ドラグノブ)
スプール前面のドラグノブを締め込むことでドラグ設定値を調整するスピニングリール

ドラグを使用する目的は不意のラインブレイクを防ぐためです。二次的にロッドの破損を防ぐためでもあります。
魚が強く引いたときにラインを送り出して破断するのを防ぐのはもちろん、魚のアタリと勘違いして大きくロッドを煽ったら根掛かりだったとか、キャストした際に木の枝に引っ掛けてしまったときなど、ドラグのおかげでラインブレイクやロッドの破損を免れた経験はないでしょうか。このようにタックルの保護にはドラグの活用がとても有効。ビギナーアングラーこそ、ドラグをうまく使いこなしてトラブルを未然に防げば、釣りが快適になること間違いなしです。

スーパーライトジギング(SLJ)やイカメタルなど、ライトラインを使用する釣りの人気が高まっています。これらの釣りの人気の背景にはタックル、とくにリールのドラグ性能の向上が大きく貢献しているのです。ライン強度の数倍ある魚とのやり取りだけでなく、繊細な釣りでもドラグの必要性は語るまでもありません。魚のサイズに関わらず釣りを快適に楽しむには、ドラグが必要不可欠となっています。

04_ サワラ釣果
PE0.6号にジャックアイエース60gでの釣果。ライトタックルでの釣りにはドラグを使ったやりとりが必須です

ドラグの設定方法
設定強度はライン強度の1/3~1/4で

一般的に使用されるリールはベイトタイプ、スピニングタイプに大別されます。さらにベイトリールにはドラグの形式でスタードラグ、レバードラグに分けられます。いずれのタイプもスプールの回転をドラグプレートなどで押さえつけて摩擦力で逆回転を抑制しつつ、魚の走りなどの外力が掛かると逆回転し始めてラインを送り出す仕組みになっています。どのタイプのリールでもドラグ設定自体は難しいものではありません。

05_ ロッドのしなり
タックルをセットアップした状態でメインライン先端をしっかりと固定。ロッド角度を45°程度にしてロッドを曲げながら、手元のリール前面でドラグチェッカーを使い測定します
06_ ドラグチェッカー1
ドラグ値の測定をする前に、チェッカーの置針(白針)を1kg目盛に合わせます
07_ ドラグチェッカー2
メインラインをチェッカーにセット。ロッドをリフトアップしてドラグを作動させます。そのときの目盛の数値がドラグ設定値となります。写真ではドラグ設定値を2kgに合わせました

設定時、ドラグチェッカーを使用して測定する位置はメインラインを固定している位置、もしくはリールとバットガイドの間の2箇所です。ライン先端部での計測は複数で行う必要があります。ドラグ設定値を同じとすれば、先端で計測した数値は手元で計測した数値の約15~20%高い数値になります。つまり、先端部でのドラグ設定値を1kgとしたいときは、手元での測定値は約0.8kgとなります。ドラグ設定時、ルアーやフックを接続した状態でドラグ設定するのは極力避けてください。周囲の安全を充分確認してから設定するようにしましょう。

08_ PEライン
メインラインのパッケージに表示されている直線強度。ポンド(lb)とkg表記がある

ドラグの設定数値はメインラインの直線強度を基に算出します。実際に使用するラインの強度の1/3もしくは1/4の力でドラグが滑り出すようにドラグを設定するのが一般的です。もちろんラインシステムをしっかりと作り込んだうえで、メインラインの強度を活かすためのリーダー、アシストラインや金属パーツのチョイスが前提です。ドラグが効く前にメインライン以外の部分が破断すれば意味がありません。
ではなぜ使用ラインの直線強度の1/3~1/4の強度なのかというと、釣りには必ず結び(ノット)が存在するからです。ラインは結ぶことでリグを形作るわけですが、結ぶことでどうしても直線強度よりも弱くなってしまいます。たとえば直線強度が16lbテスト(約7.3kg)のラインを使用してもルアーを結束すれば、ノット部分の強度は直線強度よりも低下してしまいます。強度の低下する程度はノットの種類やアングラーの習熟度にも左右されますが、仮に結束強度が90%とすれば(7.3kg×90%=約6.6kg)まで強度低下するわけです。さらにリーダーとルアーの結束部など各結束部の強度も関係します。また、実釣中に知らず知らずのうちにラインやリーダーに傷が入ってしまい強度低下が起こっていることも考えられます。これらを含めてドラグの設定数値を考慮すれば、前出の1/3~1/4の設定値が妥当なところでしょう。
それぞれの設定数値を一覧にすると以下の通りとなります。

  • ライン強度 → ドラグ設定値(1/3~1/4)
  • 4lb(1.8kg) → 0.6~0.45kg
  • 6lb(2.7kg) → 0.9~0.68kg
  • 8lb(3.6kg) → 1.2~0.9kg
  • 10lb(4.5kg) → 1.5~1.1kg
  • 12lb(5.4kg) → 1.8~1.4kg
  • 14lb(6.6kg) → 2.2~1.7kg
  • 16lb(7.3kg) → 2.4~1.8kg
  • 20lb(9.1kg) → 3.0~2.3kg
  • 24lb(10.1kg) → 3.4~2.5kg

こうしてラインの直線強度とドラグの設定数値を比較してみると、破断に対して充分な安全マージンを取っていることが分かります。実際の設定では通常時は1/4強度に設定しておき、魚との駆け引きで1/3までドラグ設定値を引き上げるなどすればよいでしょう。