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日ごろから釣りを楽しまれているアングラーならご存じの通り、PEラインは単体では高強度ですが、ノット部分が弱くなる特性があります。また摩擦、擦れによるダメージを受けやすいライン先端部を保護する意味も兼ねて、リーダーを接続して用いることが一般的です。そのためPEラインの使用にあたって「ラインシステムをどのように組むのか?」というのは大切なことです。
そんなわけで、「PEラインの特性」「リーダー使用の意味」「PEラインとリーダーの組み合わせ方」「リーダーの選択」「リーダーの接続方法」、はたまた「ラインシステムの例外使用」などを詳しく解説してみましょう。
強いけど弱い?
PEラインの特性の話
今や、どんな釣りでもPEラインの使用を前提にしたものが多くなっています。それほど現代の釣りシーンに欠かせないPEラインですが、その特性をキチンと理解し使いこなしているアングラーは意外と少ないかもしれません。PEラインは、ナイロンやフロロカーボンなどのモノフィラメントライン(※)と比較してみると、
- ●同じラインの径ならPEラインの方が強度が強い
- ●ラインの伸びが少なく、柔軟性に富み、しなやかで巻きグセがつきにくい
- ●紫外線に強く劣化しにくい
などの特性があります。これらはPEラインのメリットとして受け止められることもあれば、デメリットになってしまうこともあります。
※モノフィラメントラインとは単一の繊維で作られたラインの総称です。使用される材質の違いからナイロン、フロロカーボン、エステルなどのラインがあります。PEラインは複数の繊維を編み込んで作られるのでマルチフィラメントラインといいます
たとえば、ラインの伸びが少ないことは魚からの反応をより多く手元に伝えるのに大切な要素となりますが、伸びが少ないということは衝撃吸収性が劣るために、ラインブレイクの危険性を高めてしまうことになり兼ねません。このようにメリットは裏を返せばデメリットにもなり得るので、しっかりとPEラインの特性を理解して使いこなすことが大切です。
モノフィラメントラインと比較すれば扱いが難しい面もあります。とはいえ扱いに慣れてしまえば、PEライン使用によるアドバンテージは計り知れないものがあります。PEラインを使用することによるメリットは多く、アングラーに支持されているのです。
リーダー使用の必要性
PEラインの素材であるポリエチレンは火や熱に弱いために、摩擦、擦れによる瞬間的な熱の発生にはとても弱く、すぐにラインブレイクにつながってしまいます。直線強度が強いPEラインでもちょっとしたことでかんたんに破断してしまうのです。そこで、PEライン単体で使用せず先端にリーダーを接続することで、モノフィラメントラインの扱いやすさを取り入れる発想が生まれました。
キャスト切れやアワセ切れなど、とにかくPEラインはキチンとしたリーダー使用ができてないとトラブルが多発するもの。そうしたトラブルを未然に防ぎ、PEラインの特性を最大限引き出すためにリーダーを使用するのです。
リーダーを使用することで以下のメリットが考えられます。
- ●障害物や魚との接触、キャスティングで傷みやすいライン先端部を保護
- ●リーダーを接続することで、ルアーや金属パーツなど、結び直しの多い部位との結束を容易に。また、安定した結束強度を得やすくなる
- ●リーダーが透明であれば、魚に違和感を与えない
- ●キャスト時に、熱、摩擦に弱いPEラインをロッドガイドとの摩擦から保護。ガイド絡みを抑制する
- ●伸びの少ないPEラインに掛かる負荷をリーダーで受け止め緩和する
このようにPEラインにとってリーダーを使用することは、欠点をカバーしメリットを最大限引き出すために必要なのです。
PEラインとリーダー号数の組み合わせ
PEラインにリーダーを接続して使用する際、何号のPEラインに何号のリーダーを接続するのがよいのでしょうか?
一般的には「PEラインの号数×4=リーダーの号数」というのが標準的な組み合わせとされています。たとえば1号のPEラインなら4号のリーダーを接続するといった感じです。
号数はラインの直径を基準とした規格表記ですが、トーナメントラインなどで強度表記の場合、メインラインの4倍程度の強度があるリーダーを使用すればよいわけです。0.6号なら2.4号、4号なら16号となるわけですが、ラインメーカーによっては同号数でも強度はバラバラなことがありますので、リーダーの組み合わせには強度のバランスを考えて選択するのが大切。近年ではPEラインの性能が向上したことで、PEラインの4倍の強度のリーダーを使用するというパターンは崩れてきていますが、メインラインの4倍の強度のリーダーを組み合わせるというのは基本として押さえておきましょう。対象とする魚のサイズや釣り方に合わせて多少組み合わせを変え、臨機応変にリーダーをチョイスすれば大丈夫です。
ところで、なぜ4倍の強度のリーダーを用いるのか? というと、リーダーとルアーあるいはリングなどの金物との結束強度を確保するためです。
ラインシステムとして全体の強度をバランスよく構築するためには、結束方法とその結束強度を把握しなければなりません。メインラインとリーダーの接続、リーダーとルアーの接続を考えた場合、結束強度やリーダーの強度がメインラインの強度を上回らないとメインラインのよさ(強さ)を活かせません。先人たちは多くの試行錯誤と経験から、約4倍の強度のリーダーを用いるのが妥当だと導き出しました。それが現在もスタンダードとなっているわけです。
ではもっと強く10倍とすればどうなのかといえば、やはりPEラインとリーダーの太さのバランスが悪くなり、リーダー使用のメリットよりもトラブルが多くなります。何事もほどほどがよいようです。
リーダーの材質や長さは用途次第
リーダーに用いるモノフィラメントラインには「ナイロンライン」「フロロカーボンライン」を用いるのが一般的です。
ナイロンラインは柔軟で伸縮性があり、適度な伸びがクッションとなってPEラインの欠点をカバーします。一方、フロロカーボンラインはナイロンラインよりも硬めで張りがあります。強度的には同直径ではナイロンラインより劣りますが、伸びが少ない特性を持っています。それぞれの特性を押さえてリーダーの材質を選択しましょう。
たとえば、ナイロンラインはその特性からキャスティングゲームなどに使われることが多いライン。大型のマグロをねらったジギングに用いるのは、ショックを上手く吸収してくれるのが理由でしょう。フロロカーボンラインのリーダーは伸びが少ない、硬めでクセがつきにくいことから、そのほかの一般的なジギングに使用されることが多いです。
次に、リーダーの長さはどのくらいがよいでしょうか。
ショック吸収性を重視すれば、10mものロングリーダーとする場合もあれば、逆に伸びを嫌って1.5mと短く設定することもあります。極端な場合は1m以下の長さとすることも…。キャスティングでの釣りにしろ、ジギングで釣るにしろアングラーの好み次第というのが実のトコロなのです。
また、対象とする魚の大きさもリーダーの長さを設定する目安となります。やはり大きい魚には、リーダーを体に巻かれた場合を想定すれば長いリーダーが有利でしょうし、船ベリでのやりとりにもロングリーダーは安心感があります。対象魚が小さい場合は長さよりもルアーの操作性や感度を優先すればよいでしょう。