旅は笑顔、石垣島にタナゴモドキとサキシマヒラタを求めて

HEAT読者のみなさんこんにちは! ご無沙汰してます(?)の方がよいだろうか…。ここのところ仕事でもある奥日光での活動に追われて、今シーズンはほとんど遠征に行けていなかったのだが、先日久しぶりにHuerco(フエルコ)のスタッフと旅をする機会に恵まれた。そのときの「ついでのついでフィッシング」が思いのほか充実したものだったのでレポートしてみたいと思う。
今回はまっとうな釣行記というわけではなく、珍しい魚とクワガタ採集という話ではあるが、これこそ正に「旅と釣り」に違いない! と、私の心に刻まれた旅となった…。

旅のきっかけ

私:  「ペスー、石垣でサキシマヒラタとったことある?」
ペス: 「いやーないっすね。西表でならありますけど。ジェンちゃんタナゴモドキって知ってますか?」
私:  「……」

ペスとはHuercoスタッフのペスカトーレ中西のことなのだが、彼とのこんな会話が今回の旅のきっかけ。ちょうど彼も仕事でロケーション撮影する場所を考えていたところ、去年から火が付いてしまったクワガタ熱に侵されている僕が「じゃあついでにクワガタ捕りしようぜ!」と半ば強引に誘ったのだった。石垣島には友人もいるので別に1人でも行けるのだが、やっぱり仲間がいた方が虫捕りは盛り上がるし撮影もスムーズに行くはず! そんな話をしていたのは確か中禅寺湖の解禁直後の4月初旬のこと…。

成田からピーチの直行便で約3時間半、初めて訪れた梅雨時期の石垣島。空港のドアをくぐり外に出た瞬間の「モワッ」と蒸した空気を浴びた瞬間、さっきまで久しぶりの旅情緒を感じ浮かれていた僕の目をバチっと覚ました感覚があった。夏じゃん…。

ペスとタナゴモドキ

僕にはサキシマヒラタという八重山列島に生息するヒラタクワガタをこの手で捕まえたいという目的があるように、ペスの今回の旅のいわば「裏テーマ」が先程の会話に登場していたタナゴモドキという魚。裏テーマと書いたのは、まぁ一応仕事らしいので(どこ行っても遊んでばっかだけどね)。しかしまだこの男にも釣ったことのない魚がいたとは驚きだ。何年も恋焦がれていてこれまでも各地で何度かトライしているものの、未だ自然下でその姿を見たことはないそうだ。

空港に着いてしばらくパソコンを開いて仕事をしていたこともあり、宿泊先に荷物を置き一息ついたころにはもうお昼過ぎだった。夕方から雨の予報だし、撮影を少し片付けたら早速そのタナゴモドキとやらがいそうな場所を回ってみることに。

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延べ竿の釣りはいつでもどこでも楽しめる

この時代、大概の情報はインターネットに転がっていることは否定できない。まるで自分が経験したかのような勘違いをしてしまうほど、細かい情報まで手に入ると言っても過言ではない。しかし実際にその情報を精査し、それを元に旅をするにはやはり経験や直感、センスが必要になってくる。そんな「嗅覚」のようなものを誰より持っているのがペスカトーレ中西だと思っていて、お酒が飲めないので、旅先で一緒に居酒屋に行けないこと以外はこんな心強い旅のパートナーはいないだろう。
ペスにスマホでナビをしてもらいながら友人に借りた軽自動車を運転していると、「遠くへ来たな!」という気分になってきた。

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仕掛もタナゴを釣る仕掛を中心に使用

 

タナゴモドキという名前だが別にタナゴやフナの仲間ではなく、カワアナゴ科の魚でかんたんに言うとハゼの仲間である。英語でTropical carp-gudgeon。gudgeon(ガジョン)とは英語でよくハゼなどをさす言葉なので、「トロピカルなコイみたいなハゼ」だと思うとなんだか面白い。しかしその姿はハゼというよりは確かにタナゴなどを連想させる平たい形をしていて顔も小さい。
ある程度目星を付けていたエリアをしばらく車で走っては止まり、ポイントをチェックする。それをしばらく繰り返しこの辺でやってみようとなったので、ペスが仕掛を準備している間僕はずーっと水中を眺めていた。

石垣島の小川や沼地、用水路では在来種と外来種の両方の魚の姿を見ることができるのだが、見慣れた熱帯の魚たちのなかに”変なの”が混じっていた。「ペス、なんかヤリナタゴみたいなやついるよ」。車の中でいろいろと話を聞くまでタナゴモドキのことをよく知りもしなかった男の言葉だからこそ、何か真実味があったのかもしれない。ペスの顔が急に真剣になり、こちらへ駆け寄ってきた。一緒にその”変なの”を観察しながらペスがつぶやいた。「これキタかもしれんな…」

本命登場

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ほかのどの魚にも似ていないのにタナゴっぽい

その魚が本当にペスの追い求める魚なのかどうか確かめるには釣り上げてみるしかない。一応ガサ網なども持ってきてはいるが宿泊先に置いてきてしまっているし、釣り人ならまずは釣れるかどうか試すのが筋であろう。そしてその答えは意外とあっさりと出てしまった。
「ジェンちゃん! タナゴモドキや!!」まぁ僕からしたらタナゴモドキにも驚くけれど、それよりも驚きなんは速攻で釣り上げてしまったアンタの方や! という気分だった。コツとエリアをつかむと、さっきまで幻の魚みたいな話を聞かされていたタナゴモドキが何匹も釣れてきた。ついでに「俺にもやらせて」と、ちゃっかり釣らせてもらったりもした。まだ婚姻色が出ていないのかオスもメスも透き通った感じの魚体。それに手に乗せてみると、そのサイズ感と形は本当にヤリタナゴのようだった。完全にタナゴをモドいている。

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ほらね、モドいている
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上から見ると本当にタナゴみたいに見える

明るいうちに写真も撮り終え、われわれは自販機を求めてこれもまた結構な距離を走った。コーラで祝杯をあげるためである。一つ書き忘れていたことがあった。ペスは人一倍魚を釣るし、人の何倍もコーラを飲む男だった。