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一般のアングラーにとって、釣具メーカー社員のイメージはどのようなものでしょうか…? 普段職場では難しい顔をしながら机に向かっている、釣具メーカー社員のプライベートにお邪魔する企画の第7弾。今回は(少し前の話ですが…)写真素材撮影がてらに出掛けた、秋の日本海エギング。協力してくれたのは、日ごろから黙々と数多くの商品開発を手掛け、面白い商品を世に送り出してくれている清水くんと小南くん。
まだまだ夏の日差しが残る初秋。そろそろ秋のアオリイカが面白くなりそうなシーズンのはしりに、今後のHEATで必要なエギングの写真素材集めのために、2人に声を掛けたというワケです。
自他ともに認めるエギングフリークの2人ですが、なにせ普段は仕事に大忙し…! ダメもとで協力を依頼したところ、拍子抜けするほどあっさりとOKをくれたので、善は急げと日本海に出掛けたのでした~。果たしてどんな釣りになるのやら?
行きつけの香住港から渡船で
当日向かったのは、兵庫県内で1年を通してアオリイカの実績が高い香住漁港。私も以前から何度となく取材でお世話になっているエギングのメッカです。
久しぶりに訪れた香住漁港でしたが、小南くんは随分以前から足しげく通っているそうで、馴染みの渡船さんにお世話になり、早朝の6時から近くの磯に上げてもらうことになりました。「秋イカはイージー」なんて夢を抱いていた私に、「最近の秋イカは以前のようにイージーじゃないですよ。念には念を入れて…」と、渡船を手配してくれていた2人。普段とは違うロケーションはさることながら、沖磯に上げてもらうとあって期待はますます膨らみます。
えっ!もう?朝イチからコンスタントに
準備を整え港を出港。日が昇る前の薄暗さを引きずりつつ、港から数10分で磯に到着しました。私はカメラの準備を、そして2人はタックルとエギの準備を手早く終え、早速竿を出します。
足下を覗き込むと、薄暗いながらもその透明度の高さから、海中の様子がハッキリと伺えます。しかし、残念ながらベイトの姿は見当たりません…。カメラでテストがてら風景や準備シーンなどを撮影していると、「釣れましたよ!」と小南くんからのお知らせが。「えっ、もう!?」まだまだ気長にノンビリと構えていた私は、慌てて声のする方へ。ファーストフィッシュは、わずか3投目で小南くんがあっさりと釣ってくれました。秋らしい小イカです。
写真を撮り終え、早々にアオリイカが釣れたことで私も慌てて竿を出しました。「ひょっとして時合いだったら私も釣りたい!」と鼻息荒く沖に向かってキャスト! しっかりと底を取ってから5~7回ほどの軽いシャクリ、といった釣り方で朝イチフィッシュをねらってみました。
釣れるには釣れるけど…ちょいと渋めの秋イカ
ところがところが…、期待したほどの反応はなく、むなしく時間が過ぎるだけ。やっぱり秋イカとはいえイージーには釣れてくれません。
そんななか、小南くんは定期的にイカを釣り上げています。「なぜ1人だけ…?」と疑問に思い話を聞いてみると、底ベタで小さく誘って乗せているとのこと。「えっ、秋イカなのにボトムネチネチ??」私の頭にハテナが浮かびます…。どうやらまだ海水温が高いらしく、小イカをねらうフィッシュイーター(青物など)がうろついているため、小イカは警戒してボトムにひっそりと隠れているのだろうとのこと。ナルホド!!
秋イカとはいえ、必ずしもキビキビと動くエギに寄ってくるわけではなく、状況によっては警戒もする。当たり前ですが、そういった状況を読み取り柔軟に戦術を変えていくのが釣果アップのコツ。私のように「秋はキビキビ」と、通り一辺倒の釣り方ではダメなんですね~。さすが開発担当・小南くん。
ちゃんと結果を出すあたりがスゴイ!
一方、そんな状況を一緒に共有しつつ、黙々とシャクリ続けている清水くん。彼もまた百戦錬磨のエギンガーですが、少しハンデが…。
実はこの日、小南くんがコンスタントに釣っていたエギのカラーのほとんどが、ケイムラのクリアボディ―にオレンジ系のものばかり(具体的には、スクイッドジャンキー ライブリーダートのCol.13 パッションサンライズ)。ところが、開発サンプルに限りがあり、残念ながら同色のものを持っていなかった清水くん。透明度が高い日本海の海では圧倒的にクリアボディ―が効くようなのですが、少ない手持ちから似たカラーを探し、シャクリ方や攻めどころを細かく変えながら、辛抱強く釣り続けていました。
そんな甲斐あって、ようやく日が高く上がったころに清水くんのエギにヒット! 途中何度かアタリはあったものの、なかなか乗らないという渋い時間帯を耐え、嬉しい1杯です。同様にボトムを攻め続けた私がまったくアタらなかった(情けない…)ことと比べれば、キッチリ結果を出すあたりはやっぱり凄いですね~。
釣れないときはお仕事キッチリ
さて、随分と時間が経過したお昼過ぎ。それにしても秋とは思えない強烈な日差しに肌はやられ、まったく釣れないことに心をやられていた私…。(言い訳をさせていただくと、ちゃんとお仕事として写真撮影もこなしていたので、釣りに集中するタイミングが少なかったのですよ……言い訳ですが)
そんな私を気遣ってくれて(見かねて?)、2人は対岸に見える沖堤防に場所移動する提案をしてくれました。このまま今の磯で釣っていても状況が変わりそうにありません。沖堤防に渡れば、多少状況が変わり、チャンスが訪れることもあるかも。そんな配慮です。
そうして渡り直した沖堤防。誰もいない堤防を3人で独り占めし、隅から隅までくまなく探っていきました。一部、堤防の先端で小さな小さなアオリイカの新子が群れていましたが、さすがにエギに抱き着いてくるサイズではないレベル。2人にもいろいろとアドバイスをもらいながら、朝同様、ボトムを中心に釣っていきました。……ですが、この沖堤防、今までいた磯以上に暑い!!! コンクリートの照り返しがハンパないのです。アオリイカが釣れないこともさることながら、暑さの方に参ってしまいました。もうギブアップです…。
そのころ2人は、早々に釣れないと判断し、せっかくの時間を使って何やら開発のテストを始めていました。私には詳しいことは分かりませんでしたが、●●なエギを▲▲に沈め、その時間を測っています。傍で見ている分にはひじょ~に地味(申し訳ない)な作業を繰り返しでしたが、これも今後の開発に重要なことだそう。暑さでギブアップしている私とは違い、貴重な時間でシッカリお仕事するあたり、これにも脱帽です(笑)。
秋イカとはいえ、なかなかに渋い1日…。結局私はボウズでしたが、2人の釣りへの姿勢を見させていただき何だか勉強になった日でした。
「海や魚の状況を見ながら臨機応変に釣り方を変える」「魚が居ると信じて辛抱強くアジャストする」当たり前のことですが、この当たり前を実直にこなせるかがカギ。少々大袈裟かもしれませんが、そんなことを改めて感じさせられました。なにせ、結果を出すのはイイこと。だから2人は開発担当なんですね~。(私は釣れなくても自然満喫スタイルです(笑))
といったところで今回はお開き。また機会があれば、社員の釣りにお邪魔しつつ、新たな一面を見させてもらえればと思います。