まったくのビギナーでも大丈夫!
初めての管釣りトラウト入門
低活性でも怖くない!キモはボトムとリアクション

管理釣り場は一定区間を仕切った河川や湖、人工のポンド(池)などにトラウトが豊富に放流され、比較的カンタンに魚を釣ることのできるフィールドですが、1日やっているとどうしても釣れない時間帯(いわゆる中だるみ)がやってくるものです。さらに、混雑シーズンであれば時間帯にかかわらず魚がスレてしまい、積極的に口を使わなくなることもしばしば…。そんなときは気分転換にブレイクタイムと割り切るのもひとつですが、せっかくお金を払って入場しているのだから1尾でも多く釣って帰りたい! と思うのが釣り人というもの。
そこで今回は、そういった魚の活性が低い場面において、少しでも釣果につながる「低活性時の打開策」について解説していきます。

低活性はなぜ起こる?

01_ 管理釣り場風景

魚の活性が低くなる原因として考えられるのは大きく分けて2つ。①状況や環境による問題「外的要因」、そして②魚側の問題「内的要因」です。

①の外的要因による低活性は、季節や気候による気温と水温の変化が大きく関係しています。かんたんにいうと、「寒すぎる」「暑すぎる」といった状況下では、水温の変化についていけず魚の活性が鈍くなり、釣れにくくなるというわけです。それは、管理釣り場のメインターゲットであるニジマスの適水温が、水温10~15℃前後とされていることを踏まえると納得。真夏や厳冬期の厳しい気温(水温)のせいで動きが鈍くなるのは人間と同じですね。

水の表面は外気温の影響を受けやすく水温が安定しにくいので、そういったときには魚は水温が安定している場所を求めて深場へ落ちたり、ボトム付近などであまり動かずジッとしていることが多いようです。具体的には冬場の寒い時期や、夏場の暑い時期、また水面が太陽に照らされる真っ昼間の時間帯がそれに当たります。

02_ 水面の照り返し

もう一つの原因である②の内的要因は、エサを食べる元気がなかったり、既に満腹になってしまっている状態。または、特定のルアーに慣れてしまっている状態(いわゆるルアーを見切っているスレた状態)が挙げられます。

外的要因にしろ、内的要因にしろ、魚に食い気がないのは同じ。そんな低活性時をどう打開すればよいのでしょうか…? そんなときは少し魚の気持ちになってみましょう。

03_ ボトムにいる魚

たとえば、(魚の気持ちになって)想像してみてください。動く元気がないときに遠くの方でエサがヒラヒラとしていても「わざわざ泳いでいくのはしんどいな~」と思ってしまいます。しかし、偶然目の前にエサが落ちてきたらどうでしょう? 思わずパクッと食べちゃいませんか? また、自分のナワバリや顔の近くでチョロチョロと何かが動いていたり、ザワザワしていたら「うっとうしい!!」と振り払いませんか? そうなんです! 魚のそのような習性を利用すれば低活性時でも釣果を稼げるはず!
スポーニング(産卵)時期のバスやキングサーモンをねらう際のテクニック、鮎の友釣りの方法と似たような考え方で攻める、いわゆる「リアクションバイト」が有効となるのです。

このように、一概に「低活性」といってもさまざまですが、魚の気分に合わせ状況にあった打開策を講じれば、貴重な1尾を手にできそうですね。

攻めるはボトム!

04_ 釣りシーン1

先程の気温と水温の関係について理解できれば、攻めるべきレンジは明白。つまり「ボトム(底)」です。ボトムを制する者は食い渋りを制すると言っても過言ではないでしょう。
ボトムねらいの基本動作といえば、リフト&フォールですが、それらを単調に繰り返すだけでなく、たとえばフォール時間を長くしたり(魚はヒラヒラと落ちてくるものに反応しやすい)、ボトムにルアーを置く時間を長くしたり(ルアーを馴染ませ、拾い食いをねらう)、アクションのリズムや静と動の時間を調整することによって、また違った魚の反応を得ることができます。

 

ボトム攻めに効果的なアクション

05_ 釣りシーン(寄り)

ボトムを攻めるのに効果的なアクション(操作方法)はいくつかありますが、大きく分けると「ロッド操作によるアクション」「リール操作によるアクション」の2つに分けることができます。

  • (1)ロッド操作によるアクション:
    • ①リフト&フォール
    • ②ボトムバンプ
    • ③シェイキング
  • (2)リール操作によるアクション:
    • ④ズル引き
    • ⑤デジ巻き

①はロッドを上下に動かしルアーを持ち上げたり落としたりする、オーソドックスなアクション(タテの釣り方)です。②はボトムにあるルアーを小さく跳ね上げたり落としたりする跳ねるアクション。③は竿先を小刻みに震わせルアーをチョコチョコと動かすアクション。これらは全てロッドで操作します。対して④は底に沈めたルアーが砂煙を立てながらスローに動くイメージで、リールをゆっくりと巻きズルズルと引きずるアクションです。(⑤のデジ巻きは次で詳しく解説します)
いずれのアクションも、ボトムに居る(またはボトムを意識している)低活性の魚に口を使わせるアクションの基本です。いろいろと試してみましょう。

最近流行りの「デジ巻き」とは?

デジ巻きの「デジ」は「デジタル」の「デジ」。デジタルのように規則正しい動きをするというところからきているとのこと。その動きをロッドではなく、リールの操作だけで行うというのがこれまでのアクションと違ったところですね。
リールも単に1回転させるのではなく、1/2(半回転)~1/4といった感じで細かく刻みながらリールを回転させます。そして、フォールの間はポーズ(止め)を入れます。

静と動のメリハリをつけながら一定のリズムで移動させることによって魚の興味を引きつつ、小刻みな動きでルアーの移動距離が少なくなるため、「魚がルアーを見失いにくい」「エサを食うのが下手なニジマスもバイトしやすい」といった低活性時に効果的なテクニックといえます。

回転やポーズの時間は魚の反応をみながら、またはご自身のやりやすいピッチでOKですが、規則正しく行うことをお忘れなく! また、魚のアタリはラインに出ることが多いので必ず糸フケをとっておきましょう。

06_ 釣りシーン2

 

いろんなアクションを紹介しましたが、ビギナーさんにとってこれらを使い分けるのは少々難しいかもしれません。「ちゃんとできているのかな?」と不安になることもあるでしょう。正しくルアーを動かせているか、きちんとアクションできているかを自分で見定めるには、水中でのルアー動作をまず確認しておくことが重要です。目視できる足下などにルアーを落とし、フォールの速度や泳ぎ方、綺麗に泳ぐ巻き速度などをあらかじめ確認しておくと、水中でのアクションをイメージしやすくなり、自信を持ってルアーをコントロールできるようになりますよ。

魚のリアクションバイトをねらう

07_ ニジマス

管理釣り場といえば、まずは定番のスプーンを投げ、着水後にカウントをとってただ巻き~が基本動作となりますが、食い気のない魚はこの「巻き」の動作(ヨコの釣り方)に飽きていることが考えられます。なかでも「クランクがよく釣れます」と書かれた釣り場では、釣り人が一斉にクランクベイトを投げていたり…、そりゃあ魚も見飽きてしまいますよね(笑)。
そこで、より魚の気を引くためには、ほかの釣り人と違うルアーを使うことも必要となります。魚の「リアクションバイト」を誘発するためにはルアー選びを工夫してみましょう。

 

見た目が肝心!まさにエサなルアー

08_ さまざまなエサに模したルアー

そもそもルアーは「擬似餌(ぎじえ)」とも呼ばれ「エサ」に似せて作られたもの。なので、たとえ「反則では!?」と言われようとも、いかにエサだと錯覚させられるかはかなり重要なポイントです。ルアー選びには見た目(シルエット)も肝心なのです。

たとえば、普段魚たちが口にしているペレット(固形のエサ)を模した丸型や円柱型のルアー、見た目がまさにミミズのような形のビーズ製のルアー、そしてフライ(水生昆虫を模した毛バリ)のナチュラルさを応用したフェザージグなどは、上手くエサを模したルアーだといえます。ベージュやブラウン系のカラーを選べばより効果を発揮します。

特殊系ルアーを使おう

09_ 特殊系ルアーに食いついたニジマス

ニジマスは一定速度で動くものに反応を示しますが、なかには不規則な動きに反応しやすい性質をもった魚種もいます。とくにイワナヤマメはそういった傾向が強いので、イレギュラーな動きをするルアーを使ってほかの魚種をねらってみるのもよいでしょう。魚の捕食スイッチを入れることができれば、不意にイトウなどの大型が食い付いてくるチャンスもありますよ!

10_ ヤマメ
ヤマメ
11_ イワナ
イワナ

普通の動きとは違ったイレギュラーな動きをするプラグを使ったり、チョンチョンッとロッドアクションを入れながらミノーを動かすのも効果的。そして、もしチェイスがあったら止めずに動かし続けましょう。ルアーの動きが止まると、とたんに魚は興味をなくしてしまうので足下まで気を抜かないことが重要です。
ほかにも、スティック系ルアーや、なまめかしい動きをするもの、深く潜ってボトムをダートするクランク、最近話題のエリアトラウト専用メタルバイブレーションなんかも持っておくと安心ですね。

低活性時は食いが浅くアタリが明確に出ないことも多いので、ラインを張り気味にしつつ、少しでも違和感があれば積極的にアワセてみてください。

※レギュレーション(釣りのルールや禁止ルアーなど)は各管理釣り場によって異なります。ルアーの種類だけでなく、サイズや重量、形状、フック(バーブレス・数・位置)によって使用できないものもありますので、必ずHPなどで事前に確認しておきましょう

 

低活性時の魚を攻略するのはかんたんなことではありませんが、魚の習性を理解し、魚を飽きさせないよう工夫することで少しでも釣果を伸ばすことが可能になります。いざというときに試せる技を多く持っている方が、絶対に有利なことは言うまでもありません。
といいながら、いろいろと試すより基本に忠実なのが実は一番の近道だったり…なんてこともあります(1日中クランクを巻き続けていたビギナーさんが結果的に1番コンスタントに釣れていた、なんてこともあるくらい…!)。一概に正解はありませんので、状況を見極め、その時々の釣り方を模索するのも楽しみのひとつですよ。

管理釣り場の楽しみは数釣りだけではありませんが、釣れないとどうしても「テンションが続かない」「飽きてしまう」といった方は、ぜひ“攻める釣り”で試行錯誤の時間も楽しんでもらえればと思います。

 

レポーターREPORTER

小西 栄里子
プロフィール:小西 栄里子
京都府京都市在住
不動産会社に勤務する傍らハヤブサフィールドスタッフとしても活動中の週末アングラー。渓流でのフライフィッシングが一番の癒し。釣りだけでなく、キャンプやスノーボード、お笑い観賞にカラオケまで(笑)
とにかく楽しいことが大好きなアウトドアガール。
インスタグラム:
@fishingram_connie (URL: https://www.instagram.com/fishingram_connie/)