INDEX
- ● 初のカヤックフィッシング
- ● 目指せグランドスラム
- ● 諦めの悪い大人たち
- ● エピローグ
- ● ギア紹介
前回の海外釣行記録ではアメリカのバスプロ”IKE”こと、マイク・アイコネリとサーモンを釣った話を書かせてもらったのだが、実は僕がHEATで一番紹介したいと思っていた釣りはサーモンではなくカヤックフィッシング。
泊めてもらったマイクの家の庭からアプローチできる湖で、旅の終わりにのんびりとカヤックを浮かべたのが、一番僕の身の丈に合っているというか、どこかしっくりきたのを覚えている。
初のカヤックフィッシング
アメリカ遠征中に体調を崩し、サーモンフィッシングの翌日は1日寝込んでストライパーを狙ったボートシーバスゲームを逃したうえ、結局あわせて3日近くをベッドの上で過ごした僕…。それでも日程が終盤に差し掛かったあたりから体調はグングンとよくなり絶好調。そんな僕を見たマイクが、「ショータは釣り足りないだろうから、これに乗って釣りをすればいい!」とカヤックを貸してくれたのだ。
かんたんな操作方法を教わって、キコキコと足でペダルを漕ぐとカヤックは優しく水面を走る。病み上がり、冷たい空気は妙に心地よく、紅葉の深まった湖で浮かんでいるだけでも気持ちがいい。フローターで船酔い(と呼ぶのだろうか?)をしたことがあるぐらい船酔いに弱いので最初は不安だったが、想像以上に安定していて快適だった。
マイクに教えてもらったカケアガリと、ウィードのエッジがあるというポイントを目指しカヤックはゆっくりと進んでいく。
目指せグランドスラム
マイクの子供たちはこの湖で日々英才教育を受けているらしく、マイクの息子がお気に入りとススメられたワームを投げる。するとすぐにバイトが! しかし何度かバイトしてくるもののフッキングにはいたらない。魚が小さいのだろう…。
髪の毛みたいな藻に苦しめられながら、それでも諦めずに投げているとようやくハリ掛かり! 釣れてきたのは可愛いラージマウスバスだった。
もう少し漕ぎ進み、風で流されてうまいこと水草の脇に定位できたのでそこからキャスト。すると、ピックアップ寸前で見慣れた形をした魚がバイトしてきたのだが、ほんの数秒ファイトした後にバレてしまった。ピッケラルだった。ピッケラルは北米に生息するパイク属の魚で、姿形は僕の大好きなヨーロッパに棲むノーザン・パイクにそっくりに見えた。悔しくてなんどもルアーを変えながらキャストし続けたが、結局ピッケラルを釣ることはできなかった。
しかし同じポイントから岸際ではなく沖目に投げると、次々に魚からの反応があり、ライトタックルで遊ぶ五目釣りは引き味も見た目にも楽しく、しばし時間を忘れて没頭してしまった。
この調子で釣れればマイクに言われたグランドスラム(この湖でバス、ギル、パーチ、ピッケラル、クラッピーを全部釣ること)も容易なのでは? と思い始めた矢先、雨が降ってきたのでそろそろ引き返そうとMAXが言う。確かにこのまま濡れ続けてしまったら風邪をぶり返してしまうかもしれないし、すぐに帰らないといけないのは分かっていたのだけれど、投げる度に何かしらの反応があるものだから躊躇してしまうわれわれ。
諦めの悪い大人たち
結局雨に濡れながらマイクの家に戻りつつ、要所要所でキャストを繰り返す。まるで小さいころ雨の中で平気で遊んでいたときのようだ。ザ・アメリカ! な釣りかどうかは分からないが、こんな親しみやすくて、魚からの反応がすぐに返ってくる釣りが大好きな僕は、心の中で「明日もここで釣りしたいし、なんだったらこの釣り一番楽しいかも!」と思っていた(笑)。
(ちなみにこの日は帰る前日で、帰国日の朝も釣りをしようと準備はしていたのだが、雨と強風で断念した…)
そんなに深くはないがボトムまで一度ルアーを落とし、巻き始めた瞬間にグン! と重くなるバイトがあったが掛からない。もう一度投げて、チョン! とロッドでアクションをしてフォール中のバイトを誘ってみる。なんだかそれの方がうまく食べてくれるような気がしたからだ。何度目かのフォールでまたグン! と重くなり、今度は乗った。
立て続けにクラッピーを2匹釣り上げ、よし切り上げようかと思っていたら、さっきまで自分からそろそろ帰ろうって言っていたMAXが「ショータ、昨日ピッケラルを釣ったポイントにも行ってみよう! また同じところで釣れるかもしれない」と言う。この男も大の釣り好きだったことを忘れていた(笑)。
というわけでマイクの家を通りすぎ、ウィードが生い茂るエリアへ。
エピローグ
水面までウィードが顔を出すようなエリアだったので、ノーシンカーのワームで表層を舐めてみると、いかにも「動くものならなんだって食べます!」と言わんばかりのパイクっぽいバイトが数回あるもののハリに掛けることができない。そして、雨足もどんどん強くなる。実は一番釣りたかったのはピッケラルだったので、最初からここに来てればよかった。
「昨日の方がバイトが多かった」と呟きながらどんどん奥へと進むMAX。「これは帰りはびしょ濡れコースだな…」小さいころ大雨の中で、寒いと感じもせずにみんなで釣りした日を思い出した。
ようやくMAXが諦めてくれたので(いや、自分もずっと粘っていたけれど)家に戻り、みんなでなんとなく釣りや今回の旅を振り返る話をしていたときに、マイクが言った。
当たり前のことだけれど、これを体現したり伝えていくことはそうかんたんではない。それでもマイクはサポートチームを従えて、トーナメント以外のイベントや日々の発信を通して、競技としてではない釣りの楽しみも伝えている。
釣りが上手いのは当然だけれど、今回の旅を通じて同じ船で一緒にバス釣りをしたときにも思ったのは、マイクは外道だろうがなんだろうが常に喜び、叫び、笑っていた。もちろんゲストである僕らを盛り上げてくれてる面もあるだろうけど、何より本人が一番楽しそうにしているのだ。楽しいことを伝えたいなら本人が楽しまないといけないし、何かムーブメントを起こしたいならまずは身内が何よりアツくなって盛り上げていかないといけない。そんな当たり前を、改めて考えさられる旅だった気がする。
正直比べるのもおこがましいレベルではあるが、自分もそんな風にして釣りを伝えたり、釣りを通してもっと何かを伝えたいと考えている。いい刺激をもらえた。マイクに言われたグランドスラムを達成できなかったし、また遊びにきて、もっといろいろな話をしたいと思った。
ギア紹介
レポーターREPORTER
栃木県在住。国内のトラウトフィッシングから海外の釣りまで、人生を豊かにするライフスタイルとしての釣りを日々模索し発信しているフィッシングピーターパン。PIKE STREET MARKETディレクター。ひと×コト×Sakana栃木PRアンバサダー。
サポートメーカー:Huerco、BIGFISH1983、Rマジックテスター。VARIVASフィールドモニター、Patagoniaプロセールスプログラム。
インスタグラム:
@shota_jenkins_konno (URL: https://www.instagram.com/shota_jenkins_konno/)
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