「釣餌レストラン」第8回のメニューは、おチヌ様御用達!二枚貝グルメ。貝類系のエサ、第1回はイカダやカセで主に使用するアケミ貝だ。チヌの活性やエサ取りの有無によって使い方にバリエーションがあり、ハリへのセット方法にはコツがいるので、今回はその手順を中心に話を進めよう。
【アケミ貝】干潟に棲む標準和名イソシジミガイ
アケミ貝とは内湾の干潟の砂泥底に棲む二枚貝、標準和名イソシジミガイのことである。関西地方を中心とした「かかり釣り」では古くから使われたポピュラーなエサだ。以前はマキエにも多量に使用するため1日に何十kgと釣り場に持ち込む人もが多かったが、現在ではサシエ用に少量だけ持参することが多いようだ。
ハリへのセット方法としてポピュラーなのが丸貝。貝殻が付いたまま使用するのでエサ取りに強く、「天津」と呼ばれる小粒で殻が軟らかい輸入ものから、国産の大粒で殻が硬いものまで、ねらうチヌのサイズで使い分ける。30cm以下の小型チヌが中心なら軟らかい「天津」がよいだろう。丸貝のセット方法は食い込みを優先させるか、ハリもちを優先させるの2通り。小粒で殻が薄い天津などはハリを入れるときに貝殻が割れやすいので細軸のハリを使う。
【丸貝】食い込みがよいセット方法
【丸貝】ハリから外れにくいセット方法
【ムキ身】エサ取りが少ないときに最高
丸貝に対して貝殻を外したり半分だけにしたりする方法もある。完全に殻を外すムキ身、殻を半分だけ残す半貝、貝殻を開いた状態で使用する両貝。この3パターンのセット方法は基本的に同じなので、ムキ身で刺し方をマスターすれば半貝、両貝も簡単だ。
エサ取りに強い順でいうと丸貝→両貝→半貝→ムキ身となり、ムキ身はダンゴに包んでの使用がほとんど。エサ取りがいなければダンゴなしの釣りも可能。半貝や両貝をダンゴなしで落とすとフォール時にヒラヒラと不規則な揺れを発生しチヌの興味を引く。このようにアケミ貝は使い方のバリエーションが豊富で、あらゆるシチュエーションでチヌを食わせることができる。イカダやカセだけでなく防波堤のブッ込み釣りなどでも使用OK。以前は磯の落とし込みでチヌをねらう場合に丸貝が使われたことがあるし、現在でも高水温の時期は磯のフカセ釣りでも「丸貝フカセ」という釣法が盛んに行われている。
(次回のお品書きは貝類系エサ その2 イガイの予定です)