ワカサギ釣りというと「湖面に張った分厚い氷に穴を空けてねらう北の釣り……」というのが一般の人が抱く最も多いイメージなのだが、実は桟橋やボートからねらうスタイルのほうが全国的にはポピュラーなのだ。釣りのスタイルとしては、まるで内湾でチヌをねらう「かかり釣り」と見まがうばかり。というワケで、かかり釣りファンの皆さん、チヌが下火の真冬から早春の時期、普段使っているイカダ竿とリールでワカサギねらってみませんか?
スタイル
「チヌのかかり釣り」と「ワカサギ釣り」は、そっくりだ!
イカダのチヌ釣りファンには、腰掛けた釣り座の周りにエサ箱やダンゴ用の桶、クーラー、道具箱など、すべて手が届く範囲にきれいに並べてシステマチックに釣るのが何より楽しいという人が多いはず。カセでねらう場合も同様だ。直下に仕掛を下ろし繊細なアタリを取って掛け合わせて釣るのも楽しい。実はワカサギ釣りも同じなのだ。
全国的にワカサギ釣り場で多いのが湖面に浮かべられた桟橋からねらうスタイル。「桟橋はまるでチヌのイカダそっくりだ」というより、まったく同じ。湖か海かの違いだけ。釣り場によってはボートからワカサギをねらう場合もある。これもカセと呼ばれるチヌ釣りの小舟そのまま。
ワカサギ釣りのシーズンは、おおむね秋から春先まで。ほぼ3月いっぱいで営業を終了する釣り場が多い。釣れるワカサギのサイズは地域や釣り場によるが数cmから10cm程度をレギュラーに大きいもので十数cm。この小さく可憐な魚を何十尾、何百尾と数多く釣り上げるのがワカサギ釣りだ。
タックル
オープン桟橋やボートならチヌ竿で大丈夫!
直下をねらうというのも共通する部分。タックルも似ている。細く敏感な穂先の短竿に小型リールを使用する。ただ全長1.5m前後のチヌ用の竿にくらべてワカサギ用の竿は、もっと短く数十cm。この違いはあるものの、とりあえずチヌ用のタックルでワカサギをねらうことが可能なのだ。ただ、ビニールテントで覆われたドーム桟橋やドーム船の場合、向かい合った釣り座で湖面開口部の幅も非常に狭いので、1.5mもあるチヌ竿では長すぎる。できれば暖かく天気がよい日にオープン桟橋やボートからねらってみよう。
リールは小型の両軸受け、もしくは片軸受けでOK。ただし普段チヌ釣りで使っている道糸の上に、ワカサギ用の極細PEライン0.2号ぐらいを30mほど巻き足して使用する。
仕掛はハリス0.2号、幹糸0.3号、ハリ1.5~2.5号の胴突式。ハリ数は5~7本ぐらいが扱いやすいが、イカダ用という長い竿を使うので、もっとハリ数が多いロング仕掛の使用もOK。5本バリ仕掛を2連結して10本バリにして使うという方法もある。ハヤブサなら全長101cmの『湖翔ワカサギ 瞬貫わかさぎ 細地袖型 ふかせ誘いロングハリス 7本鈎』『湖翔ワカサギ 瞬貫わかさぎ 秋田キツネ型 ふかせ誘いロングハリス 7本鈎』などがおすすめだ。仕掛の下に付けるオモリは釣り場の水深による。水深10m程度なら1.5号 (約5g)ぐらいで大丈夫。1~3号ぐらいを各種持参しておけば安心。
エサは紅サシ、白サシ、アカムシなど。たいていは各ワカサギ釣り場の事務所や受付で販売しているので心配はいらない(要確認)。ハリにはチョン掛けしてハサミで小さく3分の1、4分の1程度にカットすること。ハリ先にちょこっと付いているだけでよいのだ。
釣り方
動かして止めて!誘って止めて!アタリを出す秘訣!
ワカサギは湖を回遊しているので釣れるタナはどんどん変化する。底付近で釣れることもあるし宙層ばかりでアタリが出る場合もある。近年はワカサギ用の魚探を駆使し、ワカサギの回遊レンジをリアルタイムでキャッチしながら仕掛を下ろす釣りが主流。釣り場によってはレンタル魚探があるので利用しよう。
とにかく仕掛を下ろしたまま放置しておくのはよろしくない。定期的に仕掛を動かしてワカサギにエサの存在をアピールする。竿を立てて大きく仕掛を持ち上げては下ろしたり、細かく揺すったりと手法はさまざま。とにかく誘いが重要なのだ。ただし、誘いを入れたらしばらくポーズ。ワカサギがエサを食う間を与えるのだ。動かしては止めて、誘っては止めて……を繰り返すのが、アタリを多く出すコツ。
アタリは繊細。穂先がピクっと動く程度。魚の活性が高い場合は、そんなアタリが継続し何本ものハリに複数のワカサギが掛かる場合もある。アタリが単発の場合は、すぐに竿を短くシャープに持ち上げてワカサギをハリに掛けよう。
ワカサギが掛かったら…
ゆっくり定速でリールを巻いて静かに抜き上げる!
アワセが決まってワカサギが掛かったと感じたら、ゆっくり低速でリールを巻く。速く巻きすぎるとワカサギの口が切れてハリが外れてしまうし、巻き上げ速度にムラがあると、これまたハリ外れの原因になる。あくまでスロー、一定速度が基本。
掛かったワカサギを水面まで引き上げたら、ゆっくり竿で持ち上げて取り込む。すかさず水を入れたバケツなど容器の上に持っていきハリを外そう。複数掛かっている場合は下のハリから順番に。写真のようなペンシルキャップを並べたものを容器に固定しておけば、その隙間の下に掛かったワカサギを入れて仕掛ごと引けば簡単にハリが外れて容器内に落ちてくれるので便利だ。
容器にワカサギが何十尾も溜まったら氷や保冷剤を入れたクーラーへ。帰宅したらサッと水洗いして水気を切り天ぷらに唐揚げに! 料理はごく簡単。うん、旨い! 多くの釣り場にはレンタルタックルもあるのでイカダ竿と併用するのもOK。いろいろ道具を揃えるのは一度チャレンジしてからでも遅くない。ぜひ、お試しを!