手持ちタックルが即戦力!目指せ!マルチアングラー No.2 エギングファンの皆様。
タチウオの引き釣りは、いかがでしょう!?

近所の防波堤で護岸で漁港で……夕マヅメの時合いから短時間だけの半夜釣り。夜明けが遅い初冬は朝マヅメも好時合い。寒くなっても、まだまだタチウオねらえます! というワケで普段は餌木でアオリイカをねらっているエギンガーの皆さんにオススメ「引き釣り」基本のキ! 陸っぱりサーベルフィッシングのススメ

引き釣り?テンヤって何?

「目指せ!マルチアングラー」第2回は引き続き陸っぱりのタチウオ釣り。大阪湾を中心とした関西エリアでは12月が最終も最終のシーズンで盛期のような大釣りは見込めないものの、まだまだサーベルフィッシュ独特の釣り味、引き味を楽しむことが可能。前回は磯釣りファン向け、磯用ロッドを流用したウキ釣りを紹介したが、今回はエギングタックルを使ったテンヤの引き釣りをおすすめしたい。

タチウオ用のテンヤって何? ルアーファン向けに簡単にいうと「大型のジグヘッド」だ。ウェイトでいうと2号(8g)ぐらいから重いもので10号(37.5g)ぐらいまで。これをポイントの水深や距離、タチウオを食わせるレンジ、引くスピードなどで使い分ける。

ジグヘッドと大きく違うのはフックが下向きになっている点。メバリングやアジングなどのライトゲーム、シーバスに青もの、ロックフィッシュでは上向きフックのジグヘッドがほとんどだが、タチウオは下方から上に向かってエサを捕食するので下向きフックにしてある。このテンヤにセットしたドジョウや冷凍キビナゴなどのエサで釣るのが引き釣りだ。

引き釣りの好時合いは日没前後、夜明け前後。このゴールデンタイムに効率よく釣ることができれば好釣果間違いなし!
引き釣り用のテンヤは大型のジグヘッド? 写真はハヤブサ『 一刀両断 堤防太刀魚テンヤ ブレードチューン』でサイズは5号、6号、10号の3種。チャートイエロー&夜光、ケイムラパープル&夜光の2色。ヘッド下部後方にある「きらめきブレード」でタチウオの食い気を誘う

エギングタックルがベストマッチ

続いてタックル。エギングファンに……というのは、タチウオの引き釣りにはエギングタックルがよくマッチするから。引き釣り用ロッドも市販されているが8.6f前後エギングロッドのMやMHクラスなら幅広いウェイトのテンヤが使用可。餌木をしゃくってアクションさせるティップからベリーの調子が引き釣りにピッタリなのだ。

リールはスピニングで2500~3000番。ラインはPE0.6~1号で、これまたエギングで使っているものそのままでOK。リーダーはフロロ3~4号と太めをラインに接続。長さは1~1.5mもあればOKだ。ただしタチウオの歯はカミソリのように鋭いので、テンヤに付属しているワイヤリーダーや10号ほどのフロロリーダーは必須。長さはフロロなら30cmもあればよい。

発光体も必需品。テンヤ上50cmほどの位置にケミホタルなら50サイズをセット。集魚効果があるのはもちろんだが、夜間はテンヤを引いているレンジの目安、コースの確認ができる。

エギングタックルとテンヤが数個あればタチウオの引き釣りが可能。アオリイカとはまったく別次元の釣趣が楽しめる。エサの代わりにワームをセットするのもOKだ
引き釣りではリーダー部に発光体をセットするのが定番だが夜光のヘッドも効果あり。何投かするごとにUVライトを照射して蓄光しよう

エサはドジョウやキビナゴ

大阪湾を中心に古くから行われていた引き釣りの定番エサはドジョウだった。全長10cmほどの生きたドジョウが関西の釣具店、エサ店で手に入る。また近年は安価な冷凍キビナゴを使う人も多くなってきた。

ドジョウはキビナゴにくらべて高価だが、エサもちが非常によく1尾のドジョウで数尾から10尾近いタチウオを釣り続けることが可能で短い時合いでも手返しよく釣りができる。ベテランはドジョウをセットしたテンヤを数組準備しておき、いよいよエサが傷んだらテンヤごと交換。短い時合いを能率よく釣っている。

一方のキビナゴはタチウオを1尾釣るごとにセットし直さなければならないが、とにかく安価なのが魅力。ウキ釣りでも使用するエサなので、引き釣り&ウキ釣り二刀流にも向いている。

引き釣りの定番エサはドジョウ。生きたものがベストだが冷凍ものも売られている。あまりに大きいドジョウは頭部をカットすることもある
最近は冷凍キビナゴを使用する人も多くなった。エサもちはよくないが安価で手軽なのが支持されている理由。テンヤには大粒のものを選ぶこと

どちらのエサも頭をテンヤのオモリ部分のすぐ後にピタッと付け、フックの上に出ているケンに腹側を刺し、フックの軸に沿わせて真っ直ぐに、付属の針金等でしっかり巻いてセットする。重要なのはエサの尾ビレの動き。特にドジョウはあまり後方まで針金を巻きすぎず、テンヤを引いたときに海中で尾ビレを振るようにしておくことが大切だ。かといって、あまりに巻き数が少ないとエサがフックからずれてしまう。そうなると極端に食わなくなるので注意してほしい。

基本はタダ巻きでOK!

釣り方は簡単。スローなタダ巻きが基本だ。キャストしてテンヤを沈めカウントダウン。まだ明るめの時間帯は底付近から。夕マヅメ以降は宙層、表層をゆっくり引いてくる。これで反応が薄い場合はストップ&ゴー、リフト&フォールとアクションを加えてもよい。
ただしタチウオは捕食が下手なので、テンヤの速く激しい動きには追随できない。あくまでもスロー&ソフトが基本だ。

タチウオのアタリはガツガツ、ゴゴゴッと、けっこう明解。すかさず掛け合わせ足下に引き寄せたら一気に抜き上げてしまおう。ただし引き寄せ時のポンピングは御法度。一定のテンションを保ったリーリングで。テンションが緩んだときにフックが外れることがけっこうあるからだ。これは抜き上げ時も同様。海面に浮かせてから遊ばせないこと。

このように非常にシンプルで簡単な釣りではあるが腕の差が大きく出るのも引き釣りだ。特にタチウオの活性が低く食いが渋い場合、ベテランとの差は歴然。しかし食いが立てば一投一魚も夢ではない。ただし、おおむね時合いは短いのでトラブルレスで効率よく釣るのが好釣果を得るカギである。