極めろ!仕掛道 最終回 安全かつ能率的に!
サビキ仕掛の扱い方 釣り場での一部始終

老若男女を問わず誰にでも楽しめるアジやカタクチイワシなどをねらうサビキは手軽な釣りの代表格だ。防波堤などで一般的にはカゴにアミエビを入れて竿下に仕掛をスルスルッと下ろすだけだから、本当に簡単な釣りである。
しかし、ハリ数が多く仕掛糸も細いものが多いため、仕掛が絡んでもつれてしまうトラブルを誰もが経験したことがあるだろう。釣りを開始して終了するまで気を付けていないと絡んだ仕掛を解く作業に時間ばかりを費やしてしまう。どんどん新しい仕掛に交換するのも方法だが、それにも限度というものがある。
そこで、あまりにも複雑に絡んだ仕掛は即座に交換していただくことを前提として、少しでも仕掛をからませないコツや工夫を紹介し、このコーナーの最終回としたい。

サビキ仕掛のセット

まずは仕掛セット時の手順から。

釣り場で見かけたことは少ないのだが、最悪なのが仕掛をパッケージから先に引き出してしまうやり方だ。風に吹かれたり何かの拍子に仕掛が絡むリスクが非常に高い。振出式のリール竿を使うのであれば道糸をガイドに通し終えたら竿を伸ばす前にサビキ仕掛の「竿側」表示がされたスナップサルカンに道糸を結んでしまう。その状態で道糸を出しながら竿を伸ばしていく。
このとき仕掛パッケージがヒラヒラ宙を舞うが仕掛はパッケージ内に収まったままなので仕掛絡みは発生しない。リールを巻きつつ道糸を張り気味にしながら仕掛を順次引き出していけばノントラブル。最後のスナップにカゴオモリを取り付ける。常に道糸から仕掛、カゴオモリまでが弛まないようにすれば完璧だ。

さらに竿を伸ばす前に道糸を結ぶだけでなくカゴオモリも先に取り付けてしまう方法もある。竿を伸ばすときはカゴオモリまで付いた仕掛パッケージを地面に置いての作業になるので風が強い日でも楽々だ。竿を伸ばし終えてからパッケージを手に取り、道糸を張りながら仕掛を引き出していこう。

スナップサルカン
道糸を結ぶのはパッケージに「竿側/ここから引き抜く」と書かれた部分の裏側にあるスナップサルカン。直接結んでもかまわないが道糸の先をチチワにしておけば、仕掛交換時に結び直す手間が省ける
取付方法
パッケージから仕掛を先に引き出してしまうのはハイリスク。先に道糸を結び竿を伸ばしてから仕掛を引き出す。写真のようにカゴまで先に取り付けてしまうのも賢い方法だ
アドバイス:仕掛をパッケージから引き出すときの注意点
パッケージから仕掛を引き出すときは乱暴に一気に引き出そうとすると糸が細い場合は切れてしまうことがあるので注意。
あくまでも「優しく」が基本だ、「竿側/ここから引き抜く」と書いてあるパッケージは、透明袋(PP袋)から台紙をすべて出さず仕掛を取り出すことができる。
またパッケージごと水に漬けると紙の台紙が軟らかくなり引き出しやすくなる。チモトにビーズが入っている仕掛ではビーズを揃えるためにモビロンバンド(透明の輪ゴム)が付いていることがあり、その場合は先にモビロンバンドを外しておくこと。またパッケージから出したばかりの仕掛はハリスや幹糸が折れ曲がったりクセが付いているので、糸を引っ張ったり指先でしごいて糸グセを取ってやるとよい。ただし糸の太さに合わせて切れない程度の力で行うこと。

海のサビキよりかなり細糸仕様のワカサギ釣り仕掛を引き出す際は慎重に。力まかせに引っ張ると糸が切れてしまう。引き出しにくい場合はパッケージごと水に漬け、台紙を湿らせてやるとスムーズにできる

掛かった魚の外し方

魚をサビキ仕掛から外す
掛かった魚をサビキ仕掛から外す際、竿を立てかける場所がなければ竿尻を膝に挟んで作業するのもよい。地面に竿、仕掛を置いてしまうと魚が暴れ仕掛同士がからんだりにハリが他の物に引っ掛かったりとトラブルが発生しやすい。ハリをつまんでクリンと返せばたいていの魚は外れる

時合いに突入!
本命のアジが回遊し入れ食いに!
しかし、ここにも仕掛が絡むトラブルの原因が!

というのも仕掛に何尾もの魚が一度に掛かった場合、おもむろに地面に下ろすと魚が暴れて仕掛がぐちゃぐちゃになってしまうのだ。

そこでハリを外す前に釣れた魚すべてをハリス部分ごと海水を入れた水くみバケツに入れてしまう。地面に置くよりは仕掛絡みは少なくなる。

もっと簡単なのは仕掛の両端を持ってピンと張り仕掛を振ってやる方法。すべてではないが、これでポロポロっと魚が外れてくれる。その後で地面に落ちた魚を回収すればよい。

それでも外れない魚は1尾1尾手でハリを外す。タオルや魚バサミで魚を固定しハリをフトコロの反対側にくりっと返すようにすれば簡単に外れる。ハリを飲み込まれてしまった場合はゆっくり引っ張れば外れることが多い。

専用の器具を使う手もある。バケツの上などに針金をピンと張っておき、ハリス部分を針金にもたれさせ、そのまま引くと針金がハリのフトコロに入る。そしてハリスを横に引き角度を変えてやると魚の重みでハリが外れる。

もしくは元々漁師さんの道具だと思うのだが、カギ状のハリ外し道具を使うのも針金と同様の効果が期待できる。これは釣具店で手に入ることがあるので尋ねてみてほしい。これらの方法の利点は釣れた魚に手を触れずにバケツに落とし込める点。アジなどを弱らせては困る場合、たとえばノマセ釣りのエサとして生かしておくときなどに有効だ。

釣った魚を入れる容器の上に針金などをピンと張っておくと、掛かった魚を直接手にすることなく簡単に外せる。ハリス部分をもたれさせて引き上げれば自動的にハリのフトコロが針金に掛かる
ハリ外し道具
写真のようなハリ外し道具を使用するのもよい。カギの部分をハリに掛けハリス角度を変えれば簡単に魚が外れる
アドバイス:安全に仕掛を回収する方法
魚が掛かっているときも掛かっていないときも、仕掛を回収するときはカゴの部分かカゴのすぐ上を空いた手でつかむようにしたい。仕掛の途中をつかもうとすると手にハリが刺さることがあるので危険。そのためにはリールの巻き加減が重要だ。竿を立てたときにカゴの部分が自分の手の届く範囲にくるように調節しよう。

ポイント移動時の仕掛保持

徒歩でポイントを移動するときは竿に仕掛を付けたまま、たるませないようにしておけば問題ないが、仕掛が付いた複数の竿がある場合は竿を束ねないように。隣り合った仕掛同士が絡まってしまうことが多々ある。

問題なのは徒歩では不可能な長距離移動の場合だ。竿を縮めて道具類も片づけて…。問題は仕掛。さあどうする?

長時間使った仕掛なら廃棄処分にして次のポイントでは新しい仕掛で、というのが正解だが、ついさっき張り替えたばかりの新しい仕掛を捨てるのはもったいない…。

パッケージに元通りに入れるのは不可能に近いから何か別の物に巻き付け、絡まないようにしてクーラーボックスなどに入れて移動するのが正解だろう。何人かに聞いてみると空き缶に巻くという人もいたし、段ボールなどの切れ端に巻くという答えもあった。いずれにしても巻き付けた仕掛が解けてこないことが肝心だ。せっかく巻き付けていても、それが解けたことでもつれの原因になる。

アドバイス:便利アイテムを利用しよう!
ハヤブサには使用中の仕掛を簡単に収納できる『べんり巻』というアイテムがあり、円形ボディーの周囲には多くの切れ込みがあり素材も発泡なので仕掛を選ばず、どんな間隔の枝バリ仕掛でも楽々収納が可能。
大中小と3サイズあるが「大は小を兼ねる」で大サイズがオススメ!

べんり巻
DXべんり巻

釣りを終えたら

アジ大漁!? で、サビキ釣り終了。使った仕掛はポイ捨てせず台紙に巻いたりパッケージ袋に入れたりしてハリが別の何かに掛からないよう注意して自宅に持ち帰ろう。

一度、海で使用したハリはサビが心配だし糸も劣化するおそれがあるので、仕掛の再利用はオススメできない(サルカンやスナップ類は切り離して再利用可)。ハリなど金属部分と糸の部分を分別し、各自治体のゴミ収集のルールに従って処分してほしい。

アドバイス:予備の仕掛に関して

予備の仕掛
予備の仕掛はチャック付き袋などに収納して釣り場へ。潮風や海水の飛沫をシャットアウト。いざ使おうと思ったたらハリが錆びていた…などということがないように!

釣り場に予備の仕掛を持ち込むのは当たり前。しかし、予備の仕掛もパッケージ袋に入っているからといって塩害には注意したい。完全防水ではないので飛沫がかかったり塩分を含んだ風にさらされるとハリが錆びたり、糸の劣化につながる。そこで予備の仕掛はチャック付き袋などに入れておくことをオススメする。

ということで「極めろ!仕掛道」はこれにて一旦終了。これまでの連載7回の記事が皆様の釣りライフに少しでもプラスになれば幸いだ。仕掛に関するご質問はQ&Aコーナーでお待ちしております!


※現在Q&Aコーナーは終了しております。