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新年一発目の今回お届けするのは、昨年末に相模湾で繰り広げた「釣り納め」の狂想曲だ。実はこの釣行、私にとっては単なる年末の挨拶ではなかった。なぜなら、自身の戦歴に「3連続オデコ」という不名誉な記録が刻まれるかどうかの瀬戸際、いわばリーチ状態だったからだ…。
「絶対にオデコを回避したい!」と息巻いて江の島沖へ。しかし、当日船上で待ち受けていたのは、人生初となる「とんでもない体験」であった。笑いあり、涙あり、そして奇跡あり。波乱万丈な釣り納めの全貌をマルッと紹介しよう。
絶対に負けられない戦いが、相模湾にはある!

2025年12月末、レンタルしたプレジャーボートで江の島付近から出船。メンバーは私と船長、そして友人2人の計4人だ。全員が「釣り納め」ということもあり、私の“建前上”のミッションは「全員に釣らせること」だったが、本音を言えば「自分が3連続オデコを免れること」に全神経を集中させていたのはココだけの話(笑)。
ちなみに、このメンバーには「アオハタ連釣記録」という、2年以上続く神聖な裏目標がある。誰かしらがアオハタを釣れば継続というルールだが、釣り納めでその記録を止めるわけにはいかない。己のプライドと連釣記録のバトンをつなぐため、私が用意した4釣法は以下の通り。
【釣法(1)】“なんでもござれ”の「ライトジギング」

「ライトジギング」は小魚を捕食するフィッシュイーターなら“来るもの拒まず”な懐の深い釣法だ。江の島沖ではジグ80g、100gを主軸に、潮流や風速によっては120g、150gまで用いる。ジギングとはいえ、私はいわゆる青物ねらいのような高速ジャカジャカ巻きや、ロッドで激しくアクションを入れるような誘いはしない。理由はただひとつ、疲れちゃうから(笑)。


釣り方はジグが着底したら、1シャクリにつき1巻きの超スローペースで底から5mほどを誘う。アタリはロッドが「グッ」と重くなったり、逆に「フッ」と軽くなったりと千差万別だ。そこですかさず「巻きアワセ」を入れれば勝負あり。海面を割るまで何が上がってくるか分からないドキドキ感は、まさに「海のガチャ」 。
「絶対にアオハタだ!」と思ったらサバフクのスレだったり…、大エソのスレだったり…なんてオチもジギングあるあるなのだ(笑)。




【釣法(2)】“無”の境地に浸れるシンプル「タイラバ」

「タイラバ」の魅力は、何といっても「巻いては落とす」の繰り返しだ。この単調なリズムが心地よく、釣りの最中に思考が停止して「無」になれるのが最高なのだ。とはいえ、ネクタイのカラーひとつで釣果が激変する奥深さもあり、初心者からベテランまで中毒者が多いのも納得の釣りである。


着底後、タイムラグなくスグに巻き始めて、江の島沖であればリール10~15回転ほど一定速度で巻き上げる。アタリがなければ着底させて、再び巻き上げるを繰り返す。
アタリは竿先に明確に出るが、アタリが出てもそのまま巻き続ける。断続的にアタリが出続ければ、頃合いをみて竿を持ち上げてフッキングさせる。積極的にアワセていく人もいるが、個人的にはそのまま巻き続けて、5秒ほどアタリが出続けたタイミングでアワセを入れるとフッキングしやすい…気がする。
江の島沖では、ジギングで反応が薄いときでも、タイラバに変えた途端にアオハタが口を使うことも珍しくない。小魚を追っているときはジグ、甲殻類を意識しているときはタイラバ。この使い分けが明暗を分ける。


また、これは余談だが、アオハタが吐き出した小イカをジギングサビキのハリに装餌したところ、直後にアオハタが食ってくるというシーンを目にしたことがある。これこそ「マッチ・ザ・ベイト」の極みだろう。
当日は、残念ながらタイラバでアオハタはヒットしなかったが、個人的に大好きなソコイトヨリがヒット。そして、スカートのアピール度を高めた結果、サバフグが多数ヒットしてきた。これこそ「トレードオフ」の極みだろう(笑)。
【釣法(3)】アオハタの過去実績が“◎”の「一つテンヤ」

「ルアーで食わなきゃエサを出す」ということで、隠し持っていた切り札が「一つテンヤ」だ。2022年末の釣り納めでもアオハタの全員安打を叩き出した、私にとっての「絶対的守護神」でもある。
釣り方は、テンヤが着底したら素早く糸フケを取り、落ちパク(着底と同時のアタリ)に備える。アタリがなければ、竿を大きく持ち上げてリフト&フォールで誘いを入れる。
アタリは明確だが、瞬間的に「バシッ!」とアワせる反射神経が求められる。仮にハリ掛かりしなくても、エサが残っていれば「おかわり」のアタックがあるのもエサ釣りならではの強みだろう。フッキングに成功したら、魚の引きを存分に堪能しながら、一定速度でリーリングすればOKだ。


一つテンヤでアオハタをねらうなら、マダイねらいのような「軽さ」にこだわらず、確実に底が取れる重めのテンヤを選ぶのがコツだ。当日は25号の重仕掛が功を奏し、実釣1投目で本命が顔を出すという驚愕のロケットスタートとなった。また、テンヤの号数が重ければ、ベイトタックルで楽しめるのも魅力のひとつだろう。
その後、サバフグの猛攻で「貫撃遊動テンヤ(ハヤブサ)」のフック1本がカットされたのを機に「ジャックアイ キックボトム(ハヤブサ)」+エビエサ仕掛に変更したところ、2尾目となるアオハタを釣り上げるという快挙を果たした。



大失態…!!
3連続オデコ回避と引き換えに失ったモノとは…?

ところで、「3連続オデコ回避」という最高の展開に浮かれていた私を、悲劇が襲った。なんと、愛用のジギングタックル(総額7万円相当)を相模湾のど真ん中へと「奉納」してしまったのである…。一瞬の油断、そして、相模湾に響き渡る悲鳴。
「竿落としたぁあぁぁ!(涙)」
私の船釣り人生において最初にして最大の大失態。ゆっくりと金色のリールが沈んでいく光景は、いまだにハッキリと目に焼き付いている。
ここで私の脳裏には、あの有名なイソップ物語がよぎった。海の中から女神が現れ、「お前が落としたのは、この銀のリールか? それともこの金のリールか?」と問いかけてくるイソップ物語を。そう、私が落としたのは、まさに黄金に輝く「オシアコンクエスト(シマノ)」なのだ。正直者の私は、食い気味に「金の…金のリールです!」と即答する準備はできていた。

しかし、現実は非情だ。女神は現れず、目の前にあるのは冷徹な相模湾の海面のみであった。ところが、ここで奇跡が起きる。私の目の前に現れたのは、美しい女神ではなく、ジギングタックルを手にした船長。
「落としたタックルは、俺が釣るよ」
船長はすかさずジグをロングキャスト。すると、わずか2投目にして、海底へと消えた私の道糸に見事にジグを絡めてみせたのだ。まさに神業! 船長が慎重にラインを手繰り寄せると、まずは私のジグが姿を現し、続いて漆黒の闇から金色に輝くリールがゆっくりと浮上してきた。
相模湾の女神は、どうやら船長に姿を変えて現れたらしい。「お前が落としたのは、この金のリールか?」という船長の問いに、私は涙ながらに「はい、その金のリールです!」と答え、無事に愛機との再会を果たしたのであった。
なお、当日の「奇跡」の模様はYouTubeに公開しているので、ぜひチェックしてみてほしい(笑)。
最後の最後に本命を手にし、無事に「3連続オデコ」の十字架を下ろすことができた。船長の的確なポイント選定、そして娘からのエールに感謝したい。もし、これでオデコのままタックルだけ奉納していたら…と思うと、ゾッとする(汗)。


終わってみれば、アオハタ4尾、ホウボウ8尾、ソコイトヨリ2尾、サバ2尾、トラフグ4尾、そしてサバフグ30尾以上と、年末らしい賑やかな釣果となった。
今回紹介した釣法は、どれも力を使わないので女性アングラーにもぴったりだ。また、冬の魚は脂がのって最高の食味。みなさんも防寒と船酔い対策、そして「タックルの脱落対策」を万全にして、冬のオフショアフィッシングを満喫してほしい。さてと、私はさっそく釣具屋さんへ、命綱の「尻手ロープ」を買いに行ってこよーっと(笑)!
《vol.48》【大失態】2025年12月、釣り納めで総額7万円相当のジギングタックルを相模湾に奉納。からの、奇跡。
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レポーターREPORTER

東京都出身
父親の影響で3歳から陸っぱり釣りを始め、小学4年生のときに船釣りに初挑戦。その日はハゼ釣り大会だったが、ひどい船酔いで釣りにならず。ただ、最初の一投で釣れた奇跡の1匹で「ブービー賞」に輝く。幼心に“もう一生船釣りはしない“と心に決めたが、それから10数年の時を経て、運命のイタズラか「船釣り専門誌」の編集者になる。それを機に船釣りの魅力にどっぷりハマる。現在は船釣りメディアから離れ、おでかけメディアの営業マンとして従事。仕事の合間を縫って月に1~2度は船に乗り、周りの”船釣り初挑戦者“を巻き込みながら、船釣りの魅力を1人でも多くの人に知ってもらうために奮闘中。
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