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近年では釣りにまつわるさまざまな進化により、難しかった釣りターゲットも比較的容易に釣れるようになってきました。今回は、手軽なライトタックルでねらう極上の1尾、「オニカサゴ」釣りのご紹介です。
ライトタックルでオニカサゴ
そもそもオニカサゴとは?
オニカサゴ…その名の通り、トゲだらけの姿をした「鬼のような姿」をした魚。しかしその見た目とは裏腹に、味は極めて上品で、料亭でも高級魚として扱われるほどです。白身はしっとりとした甘味があり、刺身でも火を通しても絶品。
東京湾や相模湾では、水深80~150m前後の海底に生息しているといわれ、以前は「深場の釣り=重装備」でねらうのが常識でした。しかし最近では、船宿の工夫とタックルの軽量化によって、ライトタックルでオニカサゴ釣りを楽しめるようになりました。

私は今回、東京・羽田の船宿「えさ政」さんから出船し、ライトオニカサゴに挑戦してきました。
深場の釣りとの比較
従来のオニカサゴ釣りといえば、200号クラスの重いオモリと電動リールを使った「ディープな釣り」。一方で、今回のライトタックルでは40号のオモリで十分対応可能です。軽量ロッドとPE1.5号ラインの組み合わせで、底の感触や魚のアタリをダイレクトに感じられます。
えさ政の船長によると、「(この時期の)東京湾のオニカサゴは水深50m前後の浅場にいて、ライトタックルでも十分楽しめる。アタリも明確でゲーム性が高い」とのこと。この“軽快さ”が、ライトオニカサゴ最大の魅力といえるでしょう。

軽量タックルで楽しむ!東京湾での実釣
使用タックル紹介
今回使用したのはムーチングアクションのライトロッド。主流は7:3調子のゲームロッドですが、船長に相談したところ「面白いかもしれないからそれでやってみて」とありがたいお言葉をもらいました。オニカサゴ特有の小さな前アタリを弾かず、しっかり食い込ませることが目的です。
リールは軽量の電動リールであるレオブリッツ 200J(ダイワ)に、PE1.5号を200m巻いたもの。水深が浅いので手巻きもおすすめです。

オニカサゴの仕掛
仕掛は船宿で販売しているオニカサゴ専用仕掛と、「鬼カサゴ ケイムラフック 2本鈎2セット(ハヤブサ)」を準備しました(ケイムラフックがなんとなく釣れる気がしてこちらも用意)。ハリスは6号、オモリは40号を使用。エサは定番のサバの切り身を使いました。
釣り方は、着底後1~2回シャクって底を取り直し、10秒ほど静止。「コツッ」とした感触が伝わったら、軽く聞き上げてアワセます。ムーチングロッド特有のしなやかさが、オニカサゴの重みを心地よく伝えてくれるはずです。底を意識しつつも根掛かりを避けるために、底スレスレをキープするのが釣果アップのコツと、船長より教えてもらいました。

引き応え十分のオニカサゴ
えさ政さんの桟橋から、おかみさんに見送られながら出船。船は羽田沖を抜け、水深60m前後の航路へ。朝の東京湾はベタ凪で潮も緩やか。まさにライトゲーム日和でした。

最初の流しで隣の常連さんが早速ヒット。電動リールのドラグ音が鳴り響くなか、上がってきたのは25cmほどの良型オニカサゴ。「底から1mで止めるのがコツだよ(笑)」と教えてくれました。
そのアドバイスを受けて、私も仕掛を底から少し上げて静止。数秒後、「トン…」と微かな感触が。すかさず軽くアワセると、ガツンとした手応えが手元に伝わってきました。
カサゴに比べてオニカサゴは水面までガンガンと引いてくれます。ムーチングロッドがしなる幸せ。水面に上がってきたのは、真っ赤な魚体に鋭いトゲをもつ立派な1尾。ライトオニカサゴで本命ゲットです。そのあともユメカサゴやハタなど嬉しいゲストも追加できました。

【注意!】美味しいオニカサゴには毒がある!?

オニカサゴを釣り上げたら、まず注意すべきは「毒棘(どくきょく)」です。エラ周辺、背ビレ、胸ビレに鋭いトゲがあり、ここに毒が含まれています。刺されると激痛に襲われるため、素手で棘(トゲ)に触るのは厳禁。船上では以下の手順で安全に処理しましょう。
- ①トングやフィッシュグリップで魚をつかむ
- ②ハリ外しやペンチで慎重にハリを外す
- ③ハサミやニッパーで毒棘を切り落とす(船長またはスタッフに確認してもらうと安心)

もし刺されてしまった場合は、患部を40~45℃のお湯に浸けて毒を熱で分解し、すぐに医療機関へ向かいましょう。この注意点さえ守れば、オニカサゴは怖い魚ではありません。
その堂々とした姿と透き通るような白身は、釣り人にとって格別のご褒美です。
高級魚オニカサゴの調理レシピ

オニカサゴの楽しみは釣るだけでは終わりません。持ち帰ってからの料理こそ、この魚の真価が味わえる瞬間です。
オニカサゴのしゃぶしゃぶ
薄造りにした身を昆布だしの鍋でサッとくぐらせて、表面が白くなった瞬間が食べごろの「しゃぶしゃぶ」。ポン酢+紅葉おろしでさっぱりと、または肝を溶かして濃厚な味わいに。見た目も華やかで、冬場の食卓にぴったり! 女性にも人気の一品です。
オニカサゴのカルパッチョ
「カルパッチョ」も美味しい食べ方の1つ。刺身用に薄く切った身を皿に並べ、オリーブオイルとレモン汁を回しかけます。彩りにピンクペッパーとイタリアンパセリを添えれば、SNS映えも抜群。淡泊ななかにもコクがあるオニカサゴの旨味を、ワインやシャンパンとともに楽しむのもおすすめです。
アラは翌日、潮汁や味噌汁にして無駄なく使い切りましょう。上品な出汁が取れ、釣りの余韻をもう一度味わえます。
「深場の魚=遠い存在」…そんなイメージを覆すのが「ライトタックルオニカサゴ釣り」です。電車でアクセスでき、手軽な道具で高級魚をねらえるとあって、釣って楽しく、食べても極上。まさに“大人の遊び”が東京湾にありました。
次の週末は、あなたも羽田から出船してみませんか? 思いがけず釣れた真っ赤なオニカサゴが、きっと忘れられない1日を演出してくれるはずです。
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レポーターREPORTER

ワカサギからマグロまで、潮の向くまま気の向くままに突っ走る3児のカミナリ親父。船のエサ釣りメインですが、節操なく流行りの釣りに手を出しています。本業であるSEの仕事もそこそこに、週末は最高の食材を求め釣りに出掛けています。
